僕と同じ目線でいてくれ
部屋に戻って着替えやタオルを取り、風呂に向かう。風呂は前と変わらず、『男湯』『女湯』『従魔の湯』と分かれている。
「じゃあここでな。ココは女湯に行くだろ?」と言うと、
「童は従魔だ。一緒に入ろうではないか」と嬉しそうに『従魔の湯』の暖簾をくぐるココ。
「えっ、ちょっと待てよ。そのまま入るのか?一緒にだぞ?それはちょっ、ちょっとまずいだろう」と声をかける。
「何を慌てておる。細かいことは気にするな。ほれお主も来ぬか」と行ってしまった。
「おい待てよ」と引き留めようと暖簾をくぐると、ボフッと銀色の毛皮に埋まった。
「ふふふっ。『童は従魔だ』と言ったであろう」とキラーンとした目で振り返り、得意気に言う。
(しまった。またやられた)
「そうだったな。酒を飲みすぎた『天狐』だったな」と僕も負けじと言い返す。
『なにおぉーーーーー』とお互いの視線がバチバチ火花を散らしている中、いつも通り空気が読めないリューが
「早く入ろー。プカプカするのー」と言う。
「そうだな、早く入って大将の所に行かなきゃな」とココを無視するように、横を素通りして脱衣場に向かう。
「まてまて、童を置いていくな」と天狐の姿になっているのに威厳のかけらもないココ。
そんな僕らのやり取りを見て「まだまだ子どもだにゃ」と呆れ顔のラング。
今日もタイミングが良かったのか、他に誰もいなかった。(よかったー)
脱衣場で服を脱ぎ、この前みたいに洗濯をしようと持って入る。「ラング、お前の服も洗うぞ」と声をかけ、ラングの服も持って入る。(ラングの服も今度買ってやらなきゃだな)
リューを先に洗うとまたろくでもないことになりそうなので、何か良いものはないかと洗い場を見ていると、ブラシのように毛羽が立ったマットがあった。
「リュー。これいいんじゃないか?石鹸をこすりつけてやるから、この上でゴロゴロ転がったらきれいになりそうだぞ」と声をかける。
「わーい。自分でやるー」と返事が返ってきたので、石鹸をこすりつけてやる。マットの上でゴロゴロ転がるのを見ると何だか
「「自分の匂いをマーキングしてるネコみたいだ(だにゃ)」」とラングと意見が一致した。
「ラング、背中を洗ってやるぞ」と声をかけると
「お願いするにゃ」と背中を向ける。
「この間お前の背中を洗ってからまだそんなに経ってないのに、いろいろあったなぁ」としみじみ言うと、
「それが冒険にゃ。皆が無事だったんだからそれでいいにゃ」と笑顔で振り返る。
「ホントだな。明日からの旅でまたいろいろあるだろうけど、頑張ろうな。よし、背中終わり!」
(お前だけは僕と同じ目線でいてくれよ)
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頑張って書きます!




