仲間なんだから遠慮しないって決めた
「童はまず海鮮丼じゃ。(もぐもぐ)おぉ、サクサクした物が周りに付いておって中はプリプリしとる。これはエビーか、こっちはクラーケンかのぉ。旨いうまい」とご機嫌のココ。
「おいらのはメンチカツ。熱々だにゃ。ちょっと冷ましてからいただくにゃ」と大きなメンチカツを小さく切って冷ましておく。
「俺はまず『すじ煮込みー』お肉と味のしみた野菜が入ってて美味しー。コータ、これ絶対作ってー」と気に入った様子のリュー。
「そんなに旨いのか。後で大将に作り方を教えてもらおう」
「僕はこの照り焼きだ。思っていたより大きな魚の切り身だな。魚が食べられるなんてやっぱり王都はすごいなぁ」といろいろ感心しながら一口食べる。
「旨い!甘くてしょっぱくてご飯がすすむ味だ」とどんぶりのご飯をかきこむ。
「そんなに美味しいのかにゃ?」とラング。
「それが冷えるまで食べられないんだろ。これをちょっと食べてみるか?」とラングの皿によそう。
「いいのかにゃ」
「いいさ、いいさ。美味しいものは皆で食べよう」と気にするなという感じで手を振る。
「ほぅ、『皆で分けあう』。いい心がけじゃな。では童もちと食べてみようかの」と箸を僕の皿に伸ばしてくるココ。その手をペシッと払い、「お前は食べてるだろ。ラングはまだ何も食べてないからおすそ分けなんだ」と言うと、「冷たいではないか」と不満げなココ。
「冷たいって言うか、仲間なんだからもう遠慮したり、気を使ったりしないって決めたんだ」と腕を腰に当てて言い切る。
突然の僕の剣幕にびっくりしたような顔になりつつも、「仲間?」と不思議そうに聞く。
「そうだよ。これから一緒に旅をするんだ。遠慮してたら疲れちゃうだろ」と答える。
「ふふっ、仲間。仲間かぁ。それならしかたがない、ゆるしてやろう」となかなかの上から目線。
文句を言ってやろうかと思ったけど、嬉しそうに『ふふふっ。仲間じゃと』と笑う姿を見てやめた。
お皿が空になるとコハルが次を運んできてくれ、皆でお腹いっぱい楽しい夕飯になった。
「はぁ、食べた食べた。美味しかった。お腹もいっぱいになったし、風呂に行こうと思うんだけど、その前に大将にレシピを教えてもらおう」とコハルを呼び大将と話ができるか聞く。
「うーん。まだ飲んでる人たちで混んでるから、もうちょっと後がいいかな」
「そっか、じゃあ先に風呂に入ってくるよ。上がったらまた様子を聞きに来るね」
「いいよ。大将にも言っとく」
ということで、先に風呂に入ることになった。
「この間はゆっくり入れなかったから、今日こそのんびり入るぞー」と誰に言うでもなく宣言する。
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