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リーリンの花のように ~再び巡る~  作者: きみあきつき
3/3

あの日から1000年後

 里の集会場、少し開けたそこで皆が思い思いに過ごしている。おしゃべりを楽しむ者、お気に入りの椅子を持ち込んで昼寝を決め込む者、趣味の裁縫に(いそ)しむ者、様々(さまざま)に自分の時間を過ごしていた。


 ゆったりとした時が流れるそこに遠くの方から走って来る者がいた。大きく手を振って皆に自分の存在を知らせようとしていた。


「お~~いっ。お~~いっ」

「ん?誰か走って来るぞ」

「ミケじゃないのさ」

「どうしたんだ?そんなに慌てて」


「産れた。ついに産まれたぞ!?」

「おおっ、やっとか!」

「そりゃ目出度いね!今夜はお祝いだね!」

「それにしても難産だったねえ」

「そうだな。今日で3日目じゃなかったか?」

「そうなんだよ!おりゃもう駄目かと・・」

「確かにな。流石に3日苦しむなんて稀だよな」

「「「うんうん」」」

「何にしても良かったじゃないか。おめでとう」

「ありがとう」


 ミケはポリポリと頭を搔きながら照れたようにはにかんでみせる。

 その場に何とも言えぬ(なご)やかな空気が流れる。



 それから10日後。

 ゴロゴロゴロ・・・ドォーーーンッ!?山の一角に雷が落ちた。


「うぉ!?ビックリした」

「今日のはまた凄いねえ」

「ああ。おいっ、警備隊出番だぞ!」


「分かってるっ、今準備してるとこだっ」


 警備隊と思われる数人の男達が各々(おのおの)の武器を手にあちこちから集まって来る。ある者は槍を、またある者は弓を手にして今雷が落ちたであろう場所にわらわらと走って行く。


「しかし毎日毎日よく落ちるな」

「しょうがないさ、まだコントロールが出来てないんだから」

「自覚もねえだろうがな。何たってまだ産まれたばかりの赤子だ」

「・・・あれはマジな話なのか?」

「何だい今更。何人もの鑑定持ちが見たんだろ?」

「そうだけどよぅ。まさか雷魔法なんてもんが存在するなんてさ」

「それこそ今更だろう?雷魔法を使う魔物がいるんだ」

「だが雷魔法を扱えるなんて初めての存在だろうよ。疑いたくもなるわ」

「長老も動揺してたしな」

「あれにはちょっと笑えたねえ」


 クスクスとあちこちから笑いが起きる。普段は結界が張ってある里内に例え魔物が現れようとも梃子(てこ)でも動かない長老が、突如落ちだした雷の原因が先日産まれた赤子の鳴き声に(たん)を発しているとの知らせを受けてその子の元まですっ飛んで行った時の事を皆が思い出しているのだ。

 稀に見る俊足ぶりだった。長老の後ろには土埃が立つほどに。


「そのうち山火事が起きるんじゃないか?」

「そうならないように警備隊がいるんだろ」

「だがこう頻繁だとな」

「いつも暇だ、暇だってぼやいてたんだ本望だろう」

「わっはっはっ!違いねえな」

「いい傾向じゃないか。何もなかったこの里に活気が出て来たよ」

「ここは外界から遮断されてるからね。長閑(のどか)すぎるのさ」

「そこが良い所でもあるが刺激が無さすぎてな。若いのにはつまらなかろうよ」

「少しずつだが里を出て行く者も増えて来てるしね。何事も経験だ、それが悪いとは言わないけどね」

「そうさな」


 この里にはよそ者が決して辿り着けないように結界が何重にも張り巡らされている。まさに秘境の地。

 そこに誕生した世界初の雷魔法の所持者。人々は噂する、その者は神の子ではないかと。

お読みいただきありがとうございました。


この続きを書くかどうかは未定です。



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