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リーリンの花のように ~再び巡る~  作者: きみあきつき
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あの日から180年後

「またここに来てたのか」


 ポンッと頭に乗せられた掌の感触、それと同時に降ってきた声。


「父さん」

「お前はここが好きだな」

「そう言う訳じゃないよ」

「じゃあ何だ?」


 ザーッザーッと吹き抜けていく風を全身で感じながら遠くに視線をやる。少し小高い丘に腰を下ろしてどこまでも続く草原を眺め続ける。


「思い出せないんだ」

「うん?」

「何か大切なものがあったんじゃないかって」

「母さんからお使いでも頼まれてたのか?」

「違うよ。そう言うんじゃないんだ」

「じゃああれか!ポッポちゃんとデートの約束でもしてたとか!」

「何でポッポ?」

「何でって、仲が良いだろ」

「幼馴染だからね」

「女の子は変化が早いんだぞ?幼馴染だからってずっと一緒に居られる訳じゃないんだ。分かってんのか?」

「いったい何の話だよ。ポッポの話はどうでもいいんだよ」

「はぁ。(むく)われねえなぁ」


 隣に座ってきた父さんを見やると眉を下げて切なそうな表情をしていた。何故ポッポの話で父さんが悲しげな顔をしなくちゃいけないんだ?不思議そうに見つめている僕の頭にもう1度手を乗せ、今度は少し乱暴に髪の毛をグチャグチャにかき混ぜようとする。


「何するんだよ!?」

「お前が乙女心を全く理解してないからだ」

「意味分かんないよ・・」

「で、何が思い出せないんだ?」

「分からないんだ。でもとても大切なものだった気がするんだ」

「ふ~ん。ここにいたら思い出せるのか?」

「さあ。でもどこまでも続く草原を眺めていると、その先に何かあるんじゃないかなって思うんだ」

「・・・この島を出たいのか?」

「えっ」

「その先に何があるか見たいって事じゃないのか?」

「う~ん?ちょっと違う気がするよ。でも大事なものだった気がする」

「もしかして唯一の相手を求めてるのか?父さんが母さんと出会ったように自分にも相手がいるんじゃないかって事か?」


 その言葉にちょっとだけ引っ掛かりを感じた。でも何かが違うんだ。それを言葉で表すのは難しいのだけど。

お読みいただきありがとうございました。

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