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11.守護天使


 3時を過ぎた。ボクはタエコに目配せをして言う。

「本当にいろいろとお世話になりました。それに、たくさんご馳走になりました。ありがとうございます」

「そろそろ帰るわ。明日もあるし」

「そうか。じゃあ、恵一。よろしくな」とお父さま。

 恵一お兄さまは駐車場へ向かう。

「また、いつでも遊びに来てくださいね」とお母さま。

「東京出張のときは連絡するので、今度はツバサ君も一緒に食事をしよう」と恵務お兄さま。

「はい。楽しみにしてます」


 荷物を持って、タエコとボクは玄関に立つ。駅まで送ってくれるヨッシーさんは、先にバンへ向かう。

「ありがとうございました。末永く、お願いします」

 そう言うと、並んだ4人にタエコとボクは一礼する。

「気をつけて」とお父さま。

「あまり無理しないでね」とお母さま。


 玄関前に横付けされたバンに乗り込むと、車内から軽く礼をしながら、手を振る。

 玄関前の4人が手を振って見送る。


--------- ◇ ------------------ ◇ ---------


 新天歌駅を新幹線が出るのは4時過ぎ。待っている間、お兄さまとヨッシーさん、タエコが懐かしい話をしている。いろいろなエピソードについて、タエコがボクに解説してくれる。


 列車が到着する。タエコとボクはデッキに乗り込む。

「じゃあ。また」とお兄さま。

「二人とも元気でね」とヨッシーさん。

「ありがとう。二人も元気で」とタエコ。

「ありがとうございました」とボク。

 扉がゆっくりと閉まる。

 ホーム上の二人の姿が加速しながら後ろに流れていき、やがて見えなくなる。


 二人掛けの席に、往路と同じくタエコが窓側、ボクが通路側で腰かける。

「ふうう」とタエコが溜息。

「疲れた?」とボク。

「うん。それなりに緊張してたから。ツバサは?」

「そうだねえ。肩の荷が下りて、楽になったような気がする」


 遠くを見るようにしてタエコが言う。

「大学に入学するときに、同じようにアニキに見送られて新幹線に乗った。あのときは隣にマイがいてくれたおかげで、東京での一人暮らしに心細くなる気持ちが和らいだ」

「6年前になるのかな」

 ボクのほうを向いてタエコ。

「いまはツバサが隣にいてくれるから、全然心細くないよ」


 川を渡って、次の停車駅、十海とおみ駅が近づく。タエコが再び話し始める。

「たしかノエルくんは、ミカのことを『ダチ』と呼んでいた。タイシくんとミカは『同志』と名乗っていた。わたしたちの関係は、どう言い表したらいいのかな?」

「入籍したら『夫婦』だよね」

「法律の上の話じゃなくて」

「...ゲーム専門学校の『同期』。AGLの『同僚』。それに...ボクたちは、同じタイミングで『オトナ』になった」

「なにそれ? やだ...」

 タエコはそう言いながら、満更でもなさそうに、ボクのほうに寄りかかってきた。


 列車は十海駅を発車した。

「安心したら、眠くなってきた」

「ボクも」

「二人とも眠り込んだらヤバくね?」

「大丈夫。この列車は東京行きだから。もしもボクたちが眠っていたら、守護天使様がお出ましになって祝福してくれるのさ」

「守護天使様?」

「そう。JRの制服着て、『お客様、終点です』って言ってね」


 タエコは、ボクの二の腕に頭をつけると、すぐに眠りに落ちた。


 彼女の、そのかわいい寝顔を確認すると、ボクも目を閉じる...



<完>

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