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フェデルス王国建国記  作者: 自堕楽
親衛隊/婚約編
8/38

7話:愚か

「いいか、おれは未来の王さまだから、えらいんだぞ、おまえもおれの言うことをきけ!」


初めて顔を会わせたときに


「婚約者なんて関係ない、俺に指図するな。」


12歳の頃、初等科で授業態度について指摘した時に


「女の癖に生意気なんだよ、調子に乗るな。」


アレン王子が15歳になってすぐの夜会での貴族、来賓への挨拶について諫めた時


初対面の頃から私の事を嫌い、努力もしない

女だ庶民だと相手を下に見て、忠告を受け入れない

何時までたっても

いや、年を重ねる毎に高まっていく無駄なプライドと我が儘な態度

唯一の救いは基本的に無視をされ話しかけられない事だが、それでも関わらないというわけにはいかない


「アレク様、どうして本日の剣術の授業に参加なさらなかったのですか?あなた様は王族、人の上に立つならば、相応しい行動を心がける必要がありますわ。」


教師は王家の人間を叱り不利益を被ることを忌避し、アレクに注意するような学友は周りにいない

となれば、婚約者である自分が注意をするしかない


「チッ、しつこいな。そもそもお前に関係あるのかよ、俺に指図出来る立場じゃないだろ、お前みたいな女なんてこっちから願い下げだ、何故こんな奴が俺の婚約者なんだか。」


忠告、注意の言葉は全て指図


こちらこそ貴方のような愚かな方となど話したくありませんわ、と怒鳴りたくなる気持ちをどうにか押さえる


「指図ではありません、只の進言ですわ。アレク様は自らの立場に相応しい振る舞いが出来ていると言えません、現在の行動を改めない事には到底国の未来など背負えるものでは、」


「うるさいんだよ!」


話を最後まで聞かずに怒鳴って遮る、いつもと同じ


「振る舞いが出来てない、だ?良いか、俺は生まれながら王になることが決まってるんだよ!!お前以外に俺にふざけた事を言う奴はいない、お前が可笑しいんだよ!!」


それは貴方が王家の人間だからだでしょう


「そんなこともわからない癖に、何が進言だ!」


わかっていないのは貴方の方だと言うのに


「お前みたいなバカが婚約者だなんて俺の評判が下がるだろうが!!」


常識もわからないくせにどの口が言うのでしょうか


「二度と俺に近づくな。何が公爵家だよ、バカの教育も出来ないのか、只の無能だろ」


...は?


「今、なんと仰いましたか?」


私への暴言なら幾らでも我慢してみせましょう、ですが


「例え貴方がこの国の王となっても我が公爵家を愚弄すること、それだれは絶対に許しませんわ!」


普段声を荒らげる事のない自分の怒声に周りの視線が集まるのがわかる

王宮内で揉める訳にはいかない、私はこれ以上感情を高めるわけには行かない、ただそれでも


「お前ッ何様のつもり」


「我がシャルロット公爵家は祖父の代から国王陛下の側近として国の為に尽くしてきましたわ、父は現陛下の近衛として、母は文官として現在も国務に携わっています、兄上も姉上も決して無能などではありませんわ!!取り消して下さいな、貴方が今言ったことは到底許せません!!」


我が公爵家を愚弄することは許せない


「お前何様だよ、いい加減にしろ!!貴族なんてみんな一緒だろうが、王族かそれ以外か、それしかないんだよ!わかったらとっとと。」


「まぁまぁ、2人とも落ち着きな。」


二回連続で言葉を遮られ不満げなアレクが振り返り怒鳴ろうとし、その姿を認めて固まる


「ん、なんじゃ?お主、第二王子ではないか、まさか王宮内で揉めるとはのぅ、カミーラ、お前が声を荒げるとはな、珍しいこともあったものだねぇ。」


コロコロと変わる話し方に特徴的な光の無い目

男物の簡易な礼服に修道女のヴェールを改造したような布を被っている

非常に印象的で一度会ったら忘れることはないであろう、誰とも違う雰囲気を纏う、そして古くから王宮に住まう存在


「リーフ様……聞いてらしたのですね。」


幼い頃から王宮で幾度も会っているリーフを見、カミーラはどうにか心を落ち着ける


「おい、第二王子、余り過ぎたことを言うものじゃあないぞ、余計な敵を作ることになる。ひとまず頭を冷やすことだね。」


と、固まったままのアレクに告げて指を鳴らし、その一瞬でカミーラと自身を別の廊下へと転移させる

ほんの一握りのものしか使えない空間転移魔法

それを使う実力があっても王宮内での役職は不明

そして、カミーラが初めてリーフを見かけた六歳の頃から容姿も何も全く変わっていない


「止めてくださり本当にありがとうございました、あのままでは私は……何より私自身が家名を貶めることになっていましたわ。」


「いやいや、丁度君に用事があってねぇ、そのついでだったからのぅ。」


ニコリと笑い、カミーラの耳元に口を寄せる


「アレンが集めている証拠の一部にあやつの発言を加えられれば、良いことがおこるかもしれないぞ、ではな」


カミーラ以外に聞こえないような声でそう告げるとまた一瞬で何処かへと消える


「……そうよ、その手がありましたわ」


そしてリーフの発言から今後の行動を決めたカミーラは久々に笑顔を浮かべ、アレンの執務室へ向かい歩き出す

実はこのリーフ、我が友人がモチーフなんですよ

とてもユニークで私が特に気に入っているキャラクターの一人です

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