6話:2つの真意
「おい、聞いたか?あの話、トーマがアレン様の隊から離れたってさ。」
「ああ、噂になってるよな、あいつがアレク様につくってことは、宰相家もってことだろ?」
「やっぱり継承権一位はアレク様のままか?」
「早々に噂になってますわよお兄様。」
アレンの親衛隊を解体した後数日、アレクの隊に入るものは移籍をし、完全に離れるものは隊から離れた
さらにトーマが残らないという話を聞き、残っていた学友たちも除籍や移籍を希望して去って行った
「当たり前だろう?トーマは公爵家でアレンの学友だ。宰相家がアレンを身限ったと思われて可笑しくない。」
「そうですわね、表から見ればトーマ様とアレン様は学友と言えどそこまで親しくは見えませんわ。本当はお兄様と同じくらいアレン様と仲がよろしいのに。」
「それに気付き、今回の件の真意を理解しているのはお前を含めて一部だけだろう?だからこそ策が有効に働いている。」
「ええ、ですが、懸念すべき要素が1つありますわ。トーマ様はアレク王子が嫌う典型的な性格をなさっています、上手く取り入り、参謀の位置にでも収まらねば策も無駄に……」
「おい、トーマ次はどうする。」
タイミング良くアレクがトーマを呼ぶ声が聞こえる
何時も通りアレクは彼に意見もしない無能な子息達を引き連れ、そしてトーマを自らのすぐ後ろにつかせている
「懸念すべき要素とは?トーマは優秀だ、お前の心配は無用だぞ?」
ニコリと笑いながらそう告げるクレールの顔はカミーラにとってはさぞかし苛々とするのだろう
「どうやら杞憂だったようですわね、流石はお兄様ですわ。」
ニコリと形だけの笑みを返し、それでは、と歩き出す
兄妹は似ると言うが同じ笑みをしている事に二人は気付いていない
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「トーマ、あの忌々しい兄を落とすにはどうする、お前の仕事は考えることだぞ。」
「アレク様がアレン様より優秀だと証明すれば良いのです、例えば王宮内での主要な人物、出来れば昔から居るような古参の方を味方につける、など。」
「ふん、昔からいる奴か。」
誰か思い付いたのかニヤリと笑うアレクはトーマの言葉の真意が理解できていなかった
お前はその点 "魔導騎士団長を敵に回しているだろう" と言う裏の意味を
自分で書いておいて何ですが、アレクが嫌いすぎて……
カミーラとの会話を書きたくないですね……
まぁ書きますけど