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フェデルス王国建国記  作者: 自堕楽
親衛隊/婚約編
6/38

5話:騎士の少女

慣れない王宮内部へと足を踏み入れる

自分の爵位や立場から考えても普段は内部へ入る機会など無い

とは言えど、王宮の訓練場に日々足を運ぶ令嬢と言うのも異質であろう

王宮での夜会やパーティーにも碌に参加せず、訓練場の場所しか知らないなど貴族の子女としてはあり得ないことだ

だがエサージュはそれで良い、少なくとも本人や周りはそう思っている


「入隊の件、かしら?」


などと呑気に独り言を呟きながらも彼女はこの国の王宮では異質な格好で

女でありながらも訓練用の鎧と木剣を身に纏ったままアレンの執務室へと向かって行く


「失礼します、エサージュです。アレン様に呼ばれまして。」


と、()()通りに執務室の扉を叩く


「ああ、入ってくれ。」


返事を聞き、扉を開ける


「火急の用と聞いたので、訓練着のままでごめんなさい。」


「いや、知らせもなく呼び出したのは俺のほうだ、気にすることはないよ。」


少し申し訳なさそうに微笑む少女はここまで案内してくれたクレールの"鴉"をするりと撫でる


「ありがとうとクレール様に伝えてね。」


頷くような素振りを見せ、光を残して"鴉"は消える


「さて、用件に入ろうか。」


「はい。」


表情を一転させ、騎士の立ち居振舞いへと変わる

貴族として振る舞っている時より明らかに様になっている

貴族の子女としては異端と言われる庶民の色、黒が僅かに混じった灰桃色の髪にしなやかながらハッキリと筋肉のついた手足、騎士のような立ち方

貴族の振る舞いをしていてもアンバランスに見えるのは当然とも言えるだろう


「騎士として、我が親衛隊への入隊を。こちらからもぜひ頼みたい。」


「勿論、喜んでお受けしましょう。ただ、理由を伺ってもよろしいでしょうか?」


確かにエサージュは入隊希望を出した、しかし騎士としてとアレンから頼まれる理由がわからなかった。


「国の恒久的な平和のため、国民とも繋がる為だ。」


一見答えになっているとは思えない、だが彼女にとってそれは十分な返答だった


「騎士、エサージュ・テトス。国の未来の為、これから先、貴方の剣となると誓いましょう。」


微笑み、完璧な礼と共に忠誠の言葉を返事とする、彼女はやはり生粋の騎士なのだろう


「君が俺の騎士になってくれた、これ以上に心強い事はないよ。」


「王族で私にそう言ってくださるのはアレン様だけです。」


一見自分を卑下するようなその返事にアレンは苦笑いをした


「実力を評価できない人間に次代の王は務まらない、俺の弟が世話をかけたな。」


「いえ、非常に面白かったですよ?王族の方と手合わせできる機会はそうそうありませんから。」


にこりとそう返した少女にアレンは確信を持った


先ほどの彼女の返事は卑下ではない、あれはアレクに対しての皮肉であると


「そうか、訓練の邪魔をして悪かった。戻っていいぞ。」


「はい、では失礼いたします。」


完璧な騎士の礼をした彼女はそのまま部屋を後にしたのだ。

やっとエサージュ出せました……

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