第96話
すみません後日加筆修正いたします。
よろしくおねがいいたします。
――布があっという間に片付けられた。
すぐさまミルクと茶葉でつくったあつあつのチャイがだされた。3人でひと息ついてたしなむ。
午後の時間に、ふんわりとおいしい。
「……ふむ、茶はよいですね」
「はい、とってもおいしいです♪」
淹れたお茶にほわわんとする。
赤くなりながらウーゴと呼ばれたお弟子さんが、ぺこぺこしながらもじもじしてる。
「ふふっ彼はとてもはずかしがり屋なので」
どうやらとてもてれ屋さんみたい?
植物のようなめずらしいグリーンの髪色がゆれてとてもかわいい。――のは失礼にあたるかもしれない。一見性別をまちがえてしまいそうな感じだ。
「あ、あなたがルキナさん……なのですか?」
「……は、はい〜」
ウーゴくんがうつむきながら、ボソリと話しかける。長い前髪が目元までかくれているけど、すごく真っ赤になってる。
『ルキナ』じゃなくて『ルーシア』なんだけど……。
今はややこしいので。
そっとうなずいておく。
「お師匠さまから話はうかがっております……僕の先輩にあたる、お方ですよね?」
「いえ、弟子とかではなく……」
た、たしかに。
幼い頃、テトラさんに星の詠み方を習ったり、いっしょに踊ったり歌ったりしたらしい?
『ほらルキナ、あれが1番星ですよ』
『わーい、キラキラ〜♪』
でも、子どもといっしょに遊ぶそんな感じだ。
弟子と呼ばれるにはいろいろとはばかれる。
「えっと、それほどたいそうなモノではなく。学んだことも恥ずかしながら、あまりおぼえていないので……ただの生徒な感じですよー?」
「……なるほど〜。でも、やはり先輩ですね」
ウーゴくんが頬を染めながらも、笑顔でうなずく。
うーん?
どうして『やはり先輩か』はわからないけど……。
とにかく後輩的な存在だよーっといいたいのかな?
「では、あらためまして……占い師見習いのウーゴと申します。どうぞよろしくおねがいします」
深々と頭をさげて礼をとる。
「わわっウーゴくん」
いきなりかしこまった挨拶をされた。
2人で自己紹介をする。
テトラさんが満足そうにうなずいた。
◆
「さっそくですが、ルキナを占ってもよろしいでしょうか」
「は、はい〜」
いきなり占い集会。
予言の占い師、そして占い師見習いの弟子。
幼い頃ちょっと遊びながら学んだ生徒。
3人で水晶球をとりかこむ。
とつぜんだけど占ってもらえるなんて。
ありがたいなぁ。
『竜殺しの勇者』と『予言の占い師』の約束。
幼い頃はよくケガをしたり、あぶない目にあっていたからね。
心配してお願いをしていたんだ。
うううっ
おじいちゃんありがとうございます〜っ
じんわりとしながらも心で手をあわす。
「こちらの水晶球に、あなたの運勢をうつしだしてごらんにいれましょう」
占い師が水晶球に手をかざす。
――あやしげな身ぶりと手ぶり。
ゆらりと長い髪がゆれてニッコリと笑った。
す、すごい。
一気にそれっぽい占い師だ。
「な、なんとっ水晶球までお使いになられるのですかっ!? これは……まさに本格的な儀式ですね。ぜひとも学ばせてもらいます。ありがとうございます! ルキナ先輩♪」
「わわっいえいえ〜」
わぁぁっ
占ってもらう立場なだけなのに、
なぜかウーゴくんにとても感謝されている。
なにもしてないのに、こまるよーっ
それにしても占いかぁ。
ちょっと興味はあったりする。
村に貼りだされる掲示板の魔女のオススメや、雑誌の運勢占いコーナーはかかさず目を通してしまうし……。
今月の運勢はまぁまぁよかった。
世界を旅する占い師がじきじき占ってくれるという、
またとないチャンス。
――『竜のあくび亭』の宿屋にまつわる運気とか。
いつもたすけてくれる精霊や妖精さんたち、
そして宿泊客の方々がたのしく快適に過ごせる環境づくり等など。
アドバイスなどをいただけるとうれしいなぁー。
ぽわわんとして花畑でわくわくする。
「では、星々に祈りを――」
「は、はいっよろしくおねがいします」
占い師テトラさんがうなずいて
目をとじたまま意識を集中し祈りはじめた。
――水晶球をみつめて上を見上げる。
テントの内部に描かれている星空。
いくつかの植物のような幾何学模様が展開されふちどられている。
魔術式とはまたちがった模様で不思議だ。
「……あれ?」
なんだろう?
ザワザワッ ザワザワッ
なにか変な感じがする。
テントの中がきゅうに薄暗くなった?
夜の帳がおりるように、
闇がまわりをおおい隠す。
占いの演出効果ってすごーい。
青白く光を放つ水晶球。
ドカッーン ビシャーン すがががーん
黒い稲妻がはしり轟音が鳴り響いてる。
どこからともなくケモノような雄叫びがきこえた。
うわぁっナニコレ。
「……おや? これはこれは」
テトラさんが顔をあげてあたりをみまわす。
水晶球を中心に黒い影がゆらめいた。
垂れ絹をはためかせながら何かがぐるぐると渦まいてる。
「ひぃぃぃぃっお、お師匠さま〜!?」
「あはは〜、ちょっとこわいですね」
す、すごい。
まるで『オバケ屋敷』みたいだ。
村のお祭りの期間限定イベント。
ホラー系はニガテだけどちょっとだけ好きかなー?
占いって、けっこう大変なんだ。
「……ふむ。これはなかなか」
テトラさんが眉をひそめ指先を頬に呟いた。
「すこしばかり前途多難な状況になるようですね」
「そうなんですか?」
「はい」
目を閉じたままうなずいてる。
すこしよくない感じなんだ?
……ちょっとだけ、だよね?
ひび割れた水晶。なんだか禍々しい気配。
うむむ。
ガタンッ
「ああっルキナさんそんな……!」
うわぁっ
ウーゴくんが涙目でガタガタふるえてる。
青ざめながらボロボロ涙をながしてる。
涙声でひたすら天に祈りを捧げはじめちゃってるし。
だ、大丈夫なのかな?
こわい系がかなりニガテなのかもしれない。
「ルキナ」
テトラさんのやさしい声。
のびてきた手に抱きとめられる。
花や植物の刺繍がほどこされたヴェールが頭にふんわりとかぶせられた。
すぐさま片膝をついて懇願するように手をとる。
「わたくしめにすべておまかせください」
「テトラさん?」
「――聖なる水、幸福の植物、海底の竜をもってしても足りないようでしたので――ルキナのために星々へと祈りを捧げましょう」
テトラさんがくるりと廻って一礼する。
あれ?
もしかしてお昼ごはんって。
しゃんっ 鈴の音がなり響いた。
すぐさま装着した足飾りをふみならしている。
「さて、では踊りましょうか」
「え?」
「とりあえずは踊って運気をあげましょう?」
しゃんしゃんしゃんしゃんっ♪
テトラさんが笑いながらくるりと廻る。
4色の色がなびいて線を描いた。
ポロンッ♪
「ルキナさんっ僕も微力ながらお手伝いします」
「ウーゴくん?」
涙をぬぐってフードを祓った。
立てかけられた楽器を手にとり演奏をはじめる。
「さぁ、ルキナもいっしょに」
テトラさんが手をさしのべてほほ笑む。
ああっこれは。朝の水かけの曲だ。
すっかり忘れていたけれど。
歌と踊りってテトラさんから教えていただいたものだったんだ。
赤い絨毯のうえで裸足で鈴を鳴らした。
――花と種と星々の枝分かれする神聖幾何学模様。
その中心でまるで魔法のように光が展開する。
「らんらんるーららら♪」
「ふふふっルキナ」
テトラさんのそのうつくしい踊りと、ウーゴくんの楽器の音色と、村娘の歌声と。
3つがあわさった。
幾何学模様が光だして光を放つ。
す、すごい。
さすが勇者御一行を導いた占い師。
文献によっては8人目と数えたりするし。
そしてその弟子のウーゴくん。
奏でる旋律。
まるで場をつくりあげ歌と踊り音楽を1つにしてる。
テトラさんが舞うたびに光をともなって虹色の線を描いてる。ウーゴくんの旋律が渦をまき2人の光に引き寄られるようにわたしも光かがやいた。
スッ ぱぁぁぁあああっ
キラキラキラキラ〜♪
「わぁぁっ」
テントの中が光でみたされた。
読んでいただきありがとうございました。
追記 2022/04/25
※あとすこしだけ加筆修正があります。
今しばらくお待ちいただけると幸いです。