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第95話 テント街



「テトラさん、ごちそうさまでした〜♪」


「はい、ルキナ」


 高級レストランから毎度ありー♪して街道へとでた。


 はわぁぁ〜♪

 めちゃくちゃおいしいかったよー♪



 瓶詰めや果物、

 サボテンのぬいぐるみをお土産にかかえてる。



 占い師テトラさんのオススメ料理解説コーナー。


 高級レストランは大盛況。

 とても気を良くした支配人さんやお客様の方々が



『料理のオススメありがとう、ぜひお礼をさせてくれっ』



 ご好意で料金はなんと無料タダとなった。

 ありえない展開におどろいていると。



「どうぞ、たくさんの花々が咲きますように」



 っと、金貨袋をまるごと水の神殿へと寄付した。

 そしてせめてものお礼にと笑顔で、たくさんのお土産を手わたされた。




「ルキナ、これからまだ時間をいただけるでしょうか?」


「え? はい~大丈夫ですけど」



 テトラさんが手荷物を抱えて問いかける。



「どこか寄ってみたい場所があるのですか?

 ――ギルドまわりならある程度は案内できますよ?」


 初心者用の観光ガイドはけっこう読み返したからね。

 ちょっとくらいはくわしかったりする。


 今日は遅くなることもふまえておでかけしているし。


 まだ時間の余裕はあるので、

 とりあえず用件をお伺いしてみよう。


 

 サボテンのぬいぐるみを抱いてテトラさんがほほ笑んだ。



「よろしければ、わたくしめの仮宿へとお越しくださいませんか?」



 とつぜんの話に目をまるくする。

 占い師が空を見上げて4色の髪が風でなびいた。




 ◇




 ガラガラガラッ


 馬車にのってギルド中心街の外側へとむかった。



「わぁぁっすごーい」


 ――テントがところせましとたち並ぶ。

 色とりどりの布が広がってまるで芸術みたいだ。

 魔法具のカンテラや旗、ちいさな看板に石や果物や野菜がたっぷりならんでる。



「ここはテント街。さまざまな露店がにぎわう区域エリアです」


「えええっここが噂の!?」




《迷宮のテント街》



 一攫千金をもとめ各国から集まった冒険者たち。


 諸事情で『最後の迷宮/ラストワールドダンジョン』へと

 足を運ぶことができなくなった人々が住まう場所だ。


 格安の宿、特殊な道具や素材、冒険にまつわる商売をおこなう。




「本やお話では知ってたのですが、ギルド中心街のこんなちかくにあっただなんて」


「フフッとても素敵な場所にてございます」



 うーん、地図でみるのと実際に目にするのではだいぶ印象がちがうなぁ。


 わくわくしながら、いっしょにテント街を歩く。




「よっ! なにか見てってよ、お嬢さん」


「あははっうまいよ、おとくだよ、おいしいよ~♪」


「王国最新版、たしかな品質。購入いただければ感謝だけではない、迷わないで」


「すっげぇーっサボテンのぬいぐるみだー」


「……っ!?」



 歩きながら声をかけられたり笑顔をむけられたりですごいことになっている。


 おもしろそうな道具に串焼き肉。綺麗な装飾品。

 たのしそうに子どもたちが笑いながら追いかけてきた。



「ルキナ、わたしから離れないで」



 さりげなくサッと抱き寄せられて、ローブで守られた。



 わわっ

 気がついたら占い師の胸の中。

 テトラさんが笑顔で、お土産を手渡したり祈ったりしている。


 こんなたくさんの人混みの中で、

 足をとめることなく親切に対応とか、回避とか。す、すごい。



「て、テトラさん……!」


 驚きすぎて、おもわずギュッと抱きつくようにすがってしまった。


「ああっすみませぬ。もうしばらくにてございますから」



 占い師がほほ笑みをうかべて、

 次々とあらわれる方々と会話や交渉しながら移動した。




 ◇




 すこし歩いてテント密集地帯を抜けた。

 木々が立ち並ぶ草原っぽい場所へと足を運んだ。


 テントもぽつぽつになった。




「あそこですよ、あの大樹のそばにある三角屋根のテントです」


「わぁぁっ」



 古い遺跡と隣接する大樹。その真下にテント。

 サーカスよりは小規模だけど、それなりにおおきさだ。


 

「世界中を旅する流浪の民たちの、ひと時の安息の地ですね」



 テトラさんが目をとじたまま見上げている。


 ――かわるがわる訪れる旅人が心穏やかに過ごす場所。

 


 巨大な根をはる遺跡の宿。って、かっこいいなぁ。

 城門外なのでわりとこういったところが今なおのこっていたりする。

 

 とても神秘的で木漏れ日がとても心地いい。



 さわさわさわ~


 いっしょに吹きぬける風の音にしばし耳をかたむけた。



 シャリラリラ♪


 テントの布をまくって、鈴が音をたてる。




「ようこそ、ルキナ。わたくしめの仮宿へ」


「はい。では、おじゃまいたします」



 ――――テントの中へと導かれた。

 水晶球を中心に星々の模様の布が垂れさがっている。

 お香が焚かれていてなんとも不思議な空間だ。



「ただいま、ウーゴはいますか?」


「あっお、お師匠さまっ」



 テントの中で作業をしていた青年が叫んだ。



「どこにいっていたのですか〜っ3日も帰って来ないなんて……さすがに探しにいこうかと……てっ、ひぃぃぃぃっ!」 


「うわあああぁぁっ」


 ドタドタ バターンッ


 垂れ幕をまくりながら歩く青年が驚いて叫んだ。

 たがいにとびあがって、とっさに天井からの布を掴む。



「わああああっ」


 ドササッ

 バサバサ〜ッと布がいっせいにおちてきた。


「うううっ……」


 仰向けに倒れながらうめき声をあげた。


 びっびっくりしたっ

 おもわずいっしょに叫んじゃったよ。


 頭上からふってきた刺繍で彩られた厚い生地。

 その中に埋もれてる……。

 あれ? これって身動きがとれないっ。



「だ、大丈夫ですか?」



 ハッとすると布の中、耳元で声がする。


 えっどうしてそんなちかくで?


 おそるおそる目をひらく。

 いっしょに声をあげた方に抱きかかえられている。



「きゃあああっ」


「すみませんすみません。驚かせてしまってっ」


 すぐに真っ青になってはげしく頭をさげはじめた。

 バッと身を離してあわてて重そうな布を払いのけている。


「お怪我は? 大事ないですかっ?」


「はははい、だ、大丈夫です」



 2人でわたわたする。

 やらかしてしまった真っ青な青年と真っ赤な村娘だ。

 たがいにとても恥ずかしい。



「おやまぁ……これはこれは」


 バサリッ


 占い師がおちた布からむくりと起きあがる。

 ペコペコしてるわたしたちをみて指を頬にあてている。


 のんびりした声に青年がふたたび叫んだ。



「お師匠さま、お客さまがいらっしゃるなら、はやくおしえてくださいよっ! ああっホントにすみません」


「ルキナ、こちらはわたくしめの弟子ウーゴでございます」


「……は、はい」


 テトラさんが笑顔でお弟子さんを紹介をする。

 布で大変なことになっている中で、とりあえずうなずいた。


 



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