星詠の占い師+ 踊るサボテンをたべよう
陽気な音楽。もりあがる高級レストラン。
――占い師と村娘の赤ずきんのもとへ飲みモノが運ばれた。
「水の神殿、オアシスの聖なる水でございます」
キラキラキラキラ〜♪
きらきらと光る水。
水晶でつくられたようなグラスにそそがれる。
で、でたーっ
コレはおそらく高レアリティってヤツだ。
――前に魔術師イグニスがそんな話をしていた。
「ではルキナ、どうぞ召し上がりくださいませ」
「は、はい。ありがとうございます」
テトラさんが手をひろげて楽しそう。
わぁぁっとっても貴重な飲みモノ。
いろいろと、わきあがる気持ちはあるけれど……。
『竜のあくび亭』の湧き水とはちがった、
かがやきを放つ水をこくこくと飲みほした。
「はわぁぁ、おいしいです♪」
すごーいっ
からだのすみずみまで、うるおい満たされる感じ。
とってもおいしいよー♪
ああっここは精霊が踊るオアシスの花畑……。
「ええ、とっても美味ですね♪」
やさしくほほ笑みながらうなずいてる。
ほわほわしあわせ気分。
いろいろな席でお客様の方々がキラキラと光かがやいてる。
ジャンジャカ ジャカジャ〜♪
ちりりりーん♪
陽気な音楽とともに注文の呼び鈴がなった。
◇
さらにもりあがる高級レストラン。
支配人の方が、テーブルであいさつをして一礼する。
「おまたせいたしました。こちらが、当店自慢の人気メニュー。『羊肉のローストラム』『海竜の香草蒸し焼き』でございます」
コトッ コトトッ 料理がならべられた。
「わぁぁ♪」
四角のプレートがあわさった小皿。
それぞれに料理がもりつけられている。
キラキラキラキラキラ〜♪
うわぁぁっさすが高級レストラン。
またかがやいているよーっ
花のようにぐるぐるに巻かれた羊肉。香草で彩られた魚料理。フルーツとまぜ合わせた野菜に極上なスープ。
カタチや彩り。料理にシュッと描いたソースの螺旋。
――まるで芸術だ。
「とっても素敵です♪」
「ふふっ気に入っていただけたようでなによりです」
テトラさんと顔をあわせて笑顔になる。
やっぱり職人さんの技はすごい。
『竜のあくび亭』の料理ももっと良くしたいなぁ。
ンジュージューパチパチッ♪
音をたてて焼きあがるぶ厚い葉のステーキ。
「こちらは『踊るサボテンステーキ』。当店自慢の期間限定オススメ料理でございます」
わぁぁっ一気に料理がきた。
貴族向けの1品づつではなく冒険者式だ。
「踊るサボテン、ですか?」
「――砂漠地方のサボテンモンスター。民族楽器を奏でる部族とともに、踊り楽しんださいに落とす貴重なサボテンの葉にてございます――5年にいちどの奇祭。その葉を食したモノは『おおきな幸運』を手にすると言い伝えられております。そして、もちろんとても美味でございますよ」
「「「おおお〜っ」」」
観客、お客様の方々が感嘆の声をあげた。
「5年にいちどの奇祭。――今が食するその時か?」
「ここはひとつ長旅の祈願として」
「おおきな幸運? 取引交渉にあやかりてぇ」
ちりりりーん♪
わぁぁっまた呼び鈴がめちゃくちゃ鳴り響いてる。
――その売上、計り知れない。
目の前にはアツアツのぶ厚い葉ステーキ。
こんな貴重なステーキ、食べていいの?
「ではルキナ、どうぞ召し上がれ」
「はい。では、いただきますね♪」
手をあわせて感謝の祈りと言葉を捧げる。
テトラさんもそれをまねておなじ動作をした。
さてさて〜。
ずらりとならぶナイフとフォーク。
えっと、たしか外側から使えばいいんだっけ?
「ふむふむ。これはこれは〜」
テトラさんが声をあげた。
ひょいぱくっと綺麗な仕草、素手で食べはじめた。
「とても美味しいですよ?」
手をきよめながらフルーツをもぐもぐしてる。
お、おおっ……!
異国的なフリーダムな感じ。
さり気なくフォローしてくれたのかな?
遠慮なくナイフとフォークであつあつのサボテンをきりわける。
ジュワーッと葉汁があふれてすごくおいしそう♪
「あーん、もぐもぐ♪」
んんんっ!?
絶妙な葉肉のかみごたえと、ちょっとしたぬめりがあっておいしいー♪めちゃくちゃかみまくってまるで口の中でサボテンが踊るみたい。
ああっここはサボテンたちが踊る花畑……。
「ふふふっルキナ〜♪」
テトラさんがうれしそうに笑った。
支配人さんも笑顔でひたすらにうなずいてる。
お昼ごはんをおいしくいただいた。




