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第64話 星空の下で


 テーブルに広げられた古代遊戯のカード。


 数々に襲いかかる試練の中(おもにテオドールさんとユリウスがひどい目にあって大変だったけど)ようやく無事にクリアした。


「おっけー、とりあえずはお疲れさん♪」


 テオドールさんが最後の手札をながめつつも笑った。

 ジョーカーにあたるカードを引いて幸運を手に入れた。


「あははっすごくおもしろかったです」


 ユリウスが笑いながらちょっと体を動かしている。

 

 手札から襲われてこれまた大変な目にあってた。たしかにダンジョンに挑む心構えでなければクリアは難しかったかもしれない。


「ゲームってとても楽しいものなんですね」


「うんうん、だねぇ」


 リヒトくんがカードをながめながらほほ笑む。

 はじめてゲームを遊んでとても嬉しそう。


 わたしとリヒトくんはとっても楽しかったかな?

 花とお菓子にあふれたカードばかりだったし。



「ふん、どうやら古代の遊戯ゲームずいぶんと楽しめたようだな?」


 ヴォルフガングがニヤリと笑う。とても満足そうだ。


「はい、ヴォルフさんありがとうございます」


「こちらこそだ。礼を言うぞ」


 リヒトくんとヴォルフガングが笑い合う。



 うんうん。

 みんなで遊べてよかった〜♪


 ヴォルフと2人きりのジョーカー抜きゲーム。つらい日々からの卒業。ようやく訪れた機会に、わたしはほろりと涙した。


 

 ◇



 いつのまにか夕暮れとなる。

 皆、温泉へとむかい一緒に夕食をつくって食事した。



 ある程度片付いたあと1人温泉へと入りくつろいだ。

 星々はきらめいてる。



 湯上がり後、宿へとつづく渡り廊下をあるく。


 ん? あれは……。


 精霊や妖精さんたちがゆっくりと飛びかう中、大樹に人がいた。



「……ユリウス?」


「あ、ルーシア」


「今日はお疲れさまでした」


「あははっお互いそうだね」



 大樹の木の下で、互いに満天の星空を見上げる。



 幼い頃からこうやって一緒に……。


 なんだか、なつかしい。




「俺は冒険の色々な場所でこうやって星空を見上げるんだけど」


「……うん」



「ジイさん……師匠も今あの星々の何処かで、旅をしているのかなって」


 精霊がユリウスのまわりをふわりと舞う。

 ほのかに光りゆらめく。


「……そう考えるだけで、どんなに遠く離れていても……一緒にいるような不思議なあたたかい気持ちになるんだ」


「ユリウス……」


 瞳を閉じてまるで祈りを捧げるかのよう。


「うん、そうだね」



 おじいちゃん冒険大好きだから……。

 きっといろんな場所を、星々を、旅しているのかも。


 それってすごく素敵な考えだ。



「ありがとうー」



 ユリウスにとびきりの笑顔をむけた。


 はなれていても互いに家族を。

 おじいちゃんを思っているんだ。とても嬉しい。


「あははっどういたしまして」


 幼なじみが笑って返事した。



《異世界転生者》のおじいちゃんは今も星のどこかで……。

 もう一度、夜空を見上げる。



 きらりと光った気がした。



「ルーシアそろそろもどろう?」


「うん」


 


「そうだ、ユリウス前に話してたダンジョンの話聞きたいな」


「うん、いいよ」



 星空の下『竜のあくび亭』へと戻った。




 読んでいただきありがとうございました。


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