第60話 夕食をたべよう
―――夕暮れ近く。
『竜のあくび亭』に扉がノックして鐘がなる。
トントントンッ
カラン♪
「ただいまー♪」
「あっおかえりなさい〜」
冒険者のユリウスが帰ってきた。
「ユリウスさん、こんばんは♪」
「うぃ〜す! おひさー」
聖職者のリヒトくんがパッと笑顔をむけて、騎士のテオドールさんが指でジェスチャーした。早めに帰ってきていた2人が出迎えた。
「こんばんは〜、リヒトくん、テオドールさん」
「今回はずいぶんと長旅でしたね」
「んー、ちょっとダンジョンの攻略に時間かかってしまって……クリアできたから良かったけど」
「まぁ、無事で何よりだわな」
「はいっおかげさまでありがとうございます」
食堂で集まった3人はわいわい雑談している。
楽しそうな声を聞くだけでこっちも楽しくなるなぁ。
ささっと温泉にむかった3人。
そのあいだに夕食の準備しよーっと。
んー、今夜はがっつりな夕飯がいいよね。
手を洗ってキッチンで作業をする。三角巾を口にあてドウゾさんから届けられる新鮮なお肉や野菜。さっそく調理だ。
野菜をよく洗う。たまねぎ、にんじん、じゃがいも、ブロッコリーを切りわけてトレイにのせた。
ンジュウウゥゥー♪ パチパチッパチッ
バターでやさしくやく音が心地よい。おおきめにきった牛肉を炒めてしっかりと火をとおす。葡萄酒と材料、庭でとれた薬草をいれてあくをとりつつ魔法具の鍋でとろっとろに煮込んだら『ビーフシチュー』の完成♪
「いいにおいー、おいしそうー♪」
サラダと野菜スープもささっと用意した。
◇
――食堂にて、そのまま夕食の流れになった。
リヒトくん、テオドールさん、ユリウスとテーブルをかこんで食事の感謝と祈りを捧げる。
「「「いっただきまーす♪」」」
アツアツのビーフシチューをスプーンですくいあげておくちへとはこぶ。
「もぐもぐ、んめぇーじゃねぇかよっ」
テオドールさんがガツガツ優雅に食べながら果実水をぐびぐび飲みほして叫んでる。
「うん、うまい。野菜も食べごたえありつつもイイカンジでやわらかい……牛肉にも味が染み込んでいるし、んぐんぐ……下ごしらえにひと手間かけたのかな? 葡萄酒がすごくいい仕事してるね」
ユリウスの解説実況がはじまった。目を閉じてむぐむぐしてる。
「ん、おいしいです」
リヒトくんがキレイな仕草でゆっくりと食べ、ほほ笑んだ。
ふー、ふー、しながら笑って食べた。
あっさりめのサラダもおいしいしよけいにスプーンがすすむよー♪
「おかわりはあるんだろーな?」
「んー、むぐむぐ〜?」
「ふふっみなさんと食事楽しいです」
「あはは〜っ♪」
◇
夕食をおえて、それぞれが食堂でくつろぐ。
ユリウスがすこしトーンをおとしていたわるように声をかけた。
「……そっか、募集の件……大変だったんだね」
「うん、まだちょっと時間かかりそうな感じかなー」
あははっと困りつつ笑った。
うーん、あの様子だとまだまだ先はながそうな感じ? わたしは来てくれるなら誰でもというかそんなにこだわりはないんだけど……。
ん?
わたしの話をきいて3人がなにやら考えてる。
「俺、『竜のあくび亭』ココにいる間は手伝うからね。食事やそれに掃除とかいろいろまかせてよ」
「えっと、ホントに?」
「うんうん。料理したいし保存食も作りたい……掃除とかはそのお礼だよー♪」
んんん?
でも、それって……。
なんだかわたしがかなり得してるような……?
「ここは俺にとっても大事な場所だからね」
ユリウスが食堂を見渡しながら笑う。
子どもの頃ここで過ごし、その後はおじいちゃんの弟子になってふたたび通いつつ。
ついでに『竜のあくび亭』の酒場もお手伝いしてたね(……誰もお客さまがいなくてほとんどおじいちゃんの晩酌に付き合わされてただけだけど)
たしかにユリウスにとっても大事な場所かも。
「………うん。わかった」
こくりとうなずいて「ありがとう」そして「どういたしまして」と笑いながらやり取りした。
そんなわたしたちをみてテオドールさんが話の間に入る。
「あー、食事の件だけどよ、今回教えてくれるんだろう?」
「テオさん、まだまだ見習い中ですが、俺でよかったら」
「うぇーい♪んじゃよろしくな〜ユリウス?」
「はい、ではさっそく明日から」
ガッ
2人がたがいに手をあてて笑った。
わぁー、テオドールさんが料理? ホントに?
いいなぁおもしろいー。
「ルーシアさん。あのっ僕も明日はお休みなので……朝の水かけ参加しても良いですか?」
「うんうん、いいよ〜♪」
そういえばリヒトくんハーブ園の水かけやりたいっていっておねがいしてた。野菜大好きだから植物も育てることに興味もったのかな?
「リヒトくん、よろしくねー♪」
「はい、こちらこそです。ルーシアさん」
2人で笑いあった。
テオドールさんとユリウスがそれをみて、くすくす笑いながら果実水をあおる。
「あ〜、そーいや明日はいよいよゲーム集会か?」
「そだねー」
《ゲーム集会》
ヴォルフは『竜のあくび亭』に皆さんが集合したあの日、皆とゲームをすることを約束した。
『貴様たちもゲームに興味があるようだな? いいだろう、《神々の光と闇の遊戯》果たしてついてこれるかな?』
――挑むように、腕を組みながら皆に投げかけていたヴォルフガング。
あれはゲームに誘うにしてはちょっと強引すぎる言葉だけど、みなさんがうれしそうにしてたからいいのかな。
「ハハッっ俺、ゲーム楽しみだなー♪」
「僕もです。みなさんと遊べるのとても楽しみで」
「んだな〜♪」
みんなで集まって遊べば、
あのよくわからないゲームとかも楽しいかもしれない。
「それにレオンさんも会えますし」
「うんうん、楽しみー♪」
「ギルティアさんも参加してくれたら良いですね」
「だなー、いきなり2階からでてくるわけがわからん吟遊詩人だが……」
そうなのだ。
宿泊部屋6号室から《吟遊詩人ギルティア》さんはやってくる。
子どもの頃いきなり『竜のあくび亭』の酒場に居たんだけど。
まさか2階から来てたなんてぜんぜん知らなかった。
ずっと住んでいるおうちなのに………。
なんだか不思議な感じだなぁ。
読んでいただきありがとうございました。




