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第52話 冒険者のギルド長 ―パウロ―


 

 ――冒険者ギルドの奥の部屋。


 通された後、紅茶と焼き菓子がだされた。

 冒険者ギルドマスターのパウロさんとわたしはほのぼのした。



「はぁ、おいしいですねぇ……」


「ああ、ホントだねぇ……」



 ほわほわほわわ〜ん♪


 2人で紅茶を飲みうっとりとほこほこ顔になる。

 ミルクと砂糖たっぷりミルクティーを飲む。



「これは『六つ目ヤギの極上ミルク』と言ってね、先日知りあいからいただいたモノなんだけど……美味しいねぇ……」


「そうなんですか〜、とってもおいしいです」



 あまーい。おくちのなかがしあわせ〜♪

 

 はわ〜、ひとくちづつ飲むたびにとろけそう。



「……紅茶に最初にミルクを入れようと考えた人は誰なんだい? すっきりさっぱりとした熱い紅茶が白き衣をまとい互いに溶けあい混ざりあう。ああっ砂糖がまるで雪の様にあたりに降りそそぎ、溶けあった紅茶とミルクを甘く……甘く引き立たせる。これは運命の出会いなのかー!?」


 恍惚こうこつな顔でうっとりとパウロさんが語る。

 とっても幸せそうだ。私も一緒に笑顔でほころぶ。


「パウロさん、パウロさん声にでてます」


「はははっミルクティーにあてられちゃったね」


「おいしいですもん、しょうがないですよ〜」


「だねぇ〜♪」



 2人でわいわい紅茶を飲んでいたらだいぶ落ち着いた。



「シアちゃん、今回はホントにすまなかったねぇ。」


「いえいえ〜大丈夫です」


「今、ギルド(うちは)はねぇ……数年前から計画していた増築、改築、システム変更でえらい事になっててね。職員が大幅に増員したうえになかなか現場が把握できてないんだよ」



 カップに残ったほぼ乳白色の紅茶に瞳を落とす。


 うん、たしかにすごかった。

 もう冒険者ギルドは迷宮ダンジョン認定してもよいと思うくらい。



「なるほど〜とてもびっくりしましたが……お忙しい中ホントにすみません」


「いやいや、ぜんぜんかまわないよ〜。むしろ迷惑をかけたのはこっちだからね」


 パウロさんがやさしくほほ笑んだ。


 うううっなんとおやさしい。紳士さんだー。



「あと、こちらの依頼品でよかったですか?」


 テーブルの上に赤と黒のトレイにのる回復薬。

 チラリと目をむけた。


「ああ、ありがとうね。シアちゃん、今回の依頼はどうしても帳簿に残しておきたくてね〜」


「?」


「……個人的な依頼ではあるのだけれど、一応ギルドの《シークレットクエスト》からの依頼にしてるんだ。でも帳簿にはしっかり明記するからね?」


 ……シークレットクエスト?


 秘密の? 内緒のクエスト?

 聞き慣れない言葉……いったいなんだろう?


「ああ、《シークレットクエスト》は一般の人や職員が閲覧出来ないクエストなんだ。――特殊な調査や納品、討伐。……あとは国からの依頼……とかね? まぁ、重要なやつだね」


 ニコリと笑うパウロさん。

 話せる範囲で言葉を慎重に選んで話してる。




「あのー? どうしてこの回復薬が秘密シークレット依頼クエスト何ですか?」


「まあ、あまり一般に見られたくないからかな? 変な勘繰り入れる面倒くさい連中もいるからね……。依頼主の意向だよ。隠せるモノは隠したいのさ」


 ああ! 依頼主さんがクエストを隠したかったんだねーっ

 なるほど〜みられたくない依頼品。


 取引自体はちゃんと帳簿に記録すると言っているのでたぶん大丈夫だろう。



「そうなんですか〜。まだまだ帳簿はつけるだけで精一杯でよくわからず……勉強不足ですみません。シークレットクエストの件についても了解しました」



 ペコリと頭を下げた。

 依頼クエストは消えてなかったみたいでホントに良かった〜。


 冒険者ギルド長パウロさんがうなずく。



「……実は今回、対応した職員やまわりに《シークレットクエスト》の閲覧権限を持っている人がたまたま居なくてね……しかも職員が君が事件に巻き込まれてるかもと心配してしまって……」



 えええっ 犯罪に巻き込まれたって……。

 えっと、わたしのことですよね……?



「職員はまったく悪くないんだよ? こたびの件は、完全に責任者である私の落ち度だ。本当にすまなかった」


 青ざめていた受付係の青年がうかんだ。



 うわぁっ……!

 とても良く丁寧に対応していただいたのに、心配までかけていたのか……。


「……。」


 去り際に警備隊に何かを訴えたり説明していた感じだし……。

 なにかしら、かばってくれてたのかな?

 

 うううっこれは申し訳ない気持ちになる。

 これ誰もわるくないよー。色々な事がたまたま同時に重なった結果だ。



 パウロさんは再度頭をさげた。

 私もあわてて頭をさげる。


 おたがいにぺこぺこだ。


 冒険者ギルドがいろいろ大変な時期なのに……。

 

 状況がわからず厄介事みたいに納品してしまった〜。

 反省して、今後はちゃんと相手の都合をもっと考えなきゃだ。




 部屋の空間が一瞬シンッと張りつめた空気になる。



「ん?」


 ぱぁぁぁぁぁぁあああっ


 突然、部屋の中の床が光った。


 円状に数字や記号、模様が等列され光りながら描かれ廻りだす。

 ―――魔法陣が展開され突如出現し光の中、一人の男が現れた。



「待たせたな。パウロ、ルーシア?」



 肩ほどの黒髪を揺らせながら、

 幾重にも重なった複雑なローブをまとい長い杖をかまえている。



「ひぇぇっオオオ、オズワルドさん⁉」


 わたしは突然床から現れた魔術師に驚いて、思わず飛びあがりのけぞった。




「ようやく来たか……お前にしてはずいぶんと遅かったじゃないか。オズワルド?」


「黙れパウロ……!! 貴様の失態はすでに把握しているぞっ」



 2人が無言でにらみ合う。何か凄い状況になってるんですが……。





 お読みいただきありがとうございます。



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