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第48話 道具屋の女将 ―ソフィア―





 つくった回復薬と薬草をカゴに入れてーっと。

 さくっとしたくをする。


 玄関先の姿見のおおきな鏡の前でくるりとまわる。


「うん、大丈夫だよね」


 さぁ〜ってあとはこれをつけてーっと。


 赤い頭巾ずきんを身につける。


 スゥッ


 キラキラキラキラ〜♪


 髪の色が銀色から金色へと変化した。



「あははっきれーい♪」


 いつみてもこの髪の色がかわるの魔法みたいで楽しい♪

 ……まぁ、魔法の服なんだけど……。


『魔法の服、赤ずきん〜』


 おじいちゃんの知りあいがつくってくれた魔術がほどこされた赤ずきん。――加護や祝福がかかってお出かけのさいにはかならず装備……着ていくようにとおねがいされている。


 ついでとばかりにお揃いのワンピースとエプロンドレスもいただいた。

 なにやらこれも赤ずきんとともに魔法の術式があるらしい。



『君をオオカミから守るためだからね』



 裁縫師の方がいっていた。

 たぶん対モンスター用に防御力があるのだろう。


 この服をとめる三ツ葉のブローチにも同じ効果がほどこされてフードをはずしても髪色はそのまま金色の髪になったままだ。2重に仕掛けられている。


 銀髪はちょっとめずらしいから念のみたい。


 おじいちゃんの髪色にあわせて金髪。

 おなじ色ってやっぱりいいなー♪

 うん、孫娘にみえる。………見た目だけだけどうれしい。


 カラン♪ 扉の鐘が鳴った。



「では、行ってきまーす♪」


 静寂せいじゃくをたもつ宿屋におでかけの声をかけた。



 ◇



 さっそく馬車へと乗り込み冒険者ギルドを中心とした繁華街へと向かう。


 ―――その前に。

 街の途中で馬車からおりて知りあいの方の道具屋に立ち寄った。



 シャラン♪と扉の鐘が鳴る。


「ソフィアさん、こんにちは〜!」


 お店の中をのぞく。

 たくさんの商品がところせましと並べられていっぱいある。


 あー、よかった。いたいた〜♪


 商品を補充しているスラリとしたソフィアさん。

 わたしに気がつくと明るい笑顔をむけた。



「あらあら、まぁまぁ〜ルーシアちゃん♪」



 キラキラキラキラ〜♪


 ま、まぶしい!

 ソフィアさんの女神のようなほほ笑み。

 いつ見てもステキなお姉様……御婦人だ。



「あら〜? ルーシアちゃん、元気してた? ちゃんと食べて……食べているようね。良かった♪」


 ……ん? んんん?

 何だか今、乙女として、引っ掛かってはいけない部分に判定をいただいた様な……気がするんだけど……。



「はい、おかげ様で元気です♪これ、良かったらどうぞです」


 いくつかまとめた香草と活き活き薬草の束、

 ハーブを練り込んだ焼き菓子を手渡す。



「あらあらあら〜! いつもありがとねルーシアちゃん♪ これホント大好きなの♡ ありがたく使わせてもらうわね♪……ところで今日はおつかい?」


「はい、冒険者ギルドの方へ依頼の品を届けにです。あと、職業ギルドの方へも少し立ち寄ろうかと思って……」



 求人募集をしている職業ギルド。

 なかなか連絡が来ないので、冒険者ギルドに立ちよったあと行くつもり。

 施設は、わりと近い場所にあるので今日はついでにむかう予定だ。



「あら? そうなの……もしかしてまだ従業員の方は雇って……ないということよね? 宿屋の方はどうなの上手くいってる?」



 心配そうにうかがうソフィアさん。


 ソフィアさんはおじいちゃんが宿屋の主人の時に

『竜のあくび亭』酒場のキッチン担当としておシゴトを手伝ってもらっていた方だ。


 誰もお客様がいなかったのを理由に……。

 ついでとばかりに、お家での料理をたのしく教えてくれた。

 料理が好きなのはソフィアさんの影響が大きい。



「はい、おかげさまで何とかやっています。宿屋はまだ募集中ですが、今のところ、おつかいにでられるくらいには……。大丈夫ですよ〜」


 まぁ、お客様がいるけど、ほぼ宿屋にいないからだけど……。

 

 あとは民宿的なゆるい感じとか、

 ありがたいことに屋敷の妖精さんたちが

 手伝ってくれていたりとかもいろいろある。


 あんしんさせるために笑顔をむけると、ソフィアさんが少し困った顔をして私の手をとって、やさしくなでてくれた。


「ルーシアちゃん、困ったコトがあったらすぐに言って?……どんなささいなことでもいいのよ? 無理は……ダメよ絶対。従業員の方もちゃんと雇う事。何かあった時のために……そうね、あと2、3人は欲しいもの」


 ……うううっソフィアさぁん。


 心配しているソフィアさんのやさしさに、じんわりと胸があたたかくなる。


 宿屋をはじめると決めた時も。

 いろいろと手伝ってもらったり支援してもらった。


 非常時の時もすぐにかけつけてくれる約束をしている。

 ソフィアさんには感謝してもしきれないほど恩がいっぱいある。


「はい、ありがとうございます。宿屋のこと、職業ギルドの方で相談してみます」



「そうね。ちゃんとお話してきて。1人だと何かと大変だし、とても心配よ?……あ! ごめんなさい、だいぶ長話になってしまったわ!」


 ふるふると頭をふる。


「……ああっそういえばトーマスにも用があったかしら? あの子、今日は隣町に行ってて戻らないかもしれないの」


「いえいえ、今日は通りがけに薬草を届けたかっただけなので」


 学友である友だちに、会えなかったのはちょっとざんねんだけど……。

 定期的に会う約束があるので大丈夫だ。


 それに、今日はソフィアさんに会うのが目的だったし。



「そう? ごめんなさいね。あの子にも来たことつたえておくわ。こっちから連絡する様にするわね」


「ありがとうございます。では、また」



 笑顔で手をふりお店をあとにした。



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