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第47話 街へいこう





 さて、裏庭の作業もすんだし。

 手を洗ってさっそく朝ごはんの支度にとりかかろっと。


 焼きたてパンと新鮮サラダにスープ。

 

 『竜のあくび亭』の定番メニューだ。


 「ん〜、どの組みあわせでいこうかなー?」


 リヒトくんからおまかせされてる野菜スムージーとサラダ。

 あきないように見た目や彩り、味の組みあわせを変えている。


 ちょっとしたささやかな楽しみらしい?


 おもしろいし、うれしいしはりきって作ってしまう。



 ガサゴソッ バタンッ


 魔道具の冷蔵庫からソーセージを取りだした。


 テオドールさんには先日手作りをした、

 香草入り『特製ハーブソーセージ』をやいて〜っ

 あっ私の分も。ちょっと多めにだね。


 あまったらお昼にもまわせばいいわけだし。うんうん。


 こころでうなずきながら、

 笑顔でフライパンでジュウジュウした。



 トンッ トンッ トンッ


 二階の宿泊部屋から靴音を鳴らしながら降りてくる。

 《聖職者リヒトくん》と、《騎士テオドール》さんだ。



「おはようございます、ルーシアさん」


「リヒトくん、おはよー♪」


「ふふっ今日も元気ですね」



 本と杖をかかえて降りてきた聖職者のリヒトくん。

 光のかがやいて、あいかわらず天使みたいだ。



「ふぁぁ〜、おはようさん」


「おはようございますテオドールさん」


「うお〜うまそうな匂いだなー♪」



 大げさにすんすんと匂いをかぐ騎士のテオドールさん。

 笑いながらついでとばかり食事トレーを受け取り席につく。



「ルーシアさん、よろしければ朝食をご一緒にいかがですか?」


「んだなっ遠慮はいらないぜ〜♪」


「はーい♪ありがとうございます」



 いつもの様に笑顔で朝食を誘われる。

 天窓からふりそそぐ光の中。

 3人でいっしょに朝ごはんをいただくことになった。



 ◇



「冒険者ギルドへですか?」


 朝食の席でリヒトくんがすこしびっくりした。



「うんうん〜回復薬を届けに、だねー」


「ああ、前に言っていたやつか」

  

「はい、ようやく完成したので届けに行こうかと」



 《冒険者ギルド》


 冒険者を統括する組織。

 ダンジョンでの探索やモンスターの討伐、

 街での困り事や素材やアイテムの買い取りなどなど、

 クエストと呼ばれる依頼書を発行し受注したりする機関だ。



 『回復薬をつくってね』

 冒険者ギルドから直接届いた依頼書クエスト


 いつでもいいよ〜っと言われずっと放置してたけど……。


 ようやく完成したから、依頼の品を持っていかないとだ。

 ……ずいぶんとおまたせしちゃってるし。


 えへへ、と笑ったわたしに、

 テオドールさんがうなずきながら何やら考えてる。



「あのあたりはずいぶんとにぎわってるし……その大丈夫なのか?」


「はい、何度か行ってますし。あとはついでに……」


「ん?」


「……職業ギルドへも足を運ぼうと思って……求人募集の件で……」




 《職業ギルド》


 おシゴトにまつわること。

 人材派遣、紹介、募集、育成などを統括する組織だ。




 『竜のあくび亭』の開店前に求人募集をした。


 幸運なことにすぐさま採用が決定♪

 数人の方々にきていただいたることになった。


 ――――けれど、雇い入れる前に採用された方々が、

 個人的な理由で全員が辞退した。



 それからは定期的にお手紙で連絡をいただいている。

 採用のことに関してはあいまいな返事ばかりで。

 よくわからない状況になっている……。



「なるほどなぁ〜、確かに今のままだとアレだもんなぁ」


「そうですね……1人ではとても大変ですし」


「はい」



 宿泊客はいっぱいなのに……宿屋の主人のわたしだけ……。



 今まではどうにか? なっていたのだけれども。


 先日、宿泊客がでそろったり、

 いきなりの来客レオンハルトが訪れたりと大変なことになった。


 まぁ、すれ違いばかりの宿泊客の方々が

 顔合わせでできたりと、とてもうれしかったけど。



 もうムリムリムリ。

 宿屋をわたし1人でまわすのは大変だよ〜。



 けっこう良い案件で募集しているらしいけど。


 ……なにか見落としでよくない条件あるかもだし、定期的に来る連絡はあいまいだし、おまかせしているとはいえ今はとにかくどういう状況なのかちゃんと確認したい。

 

 ――――そのためには行かなきゃ。



「とりあえずくわしい話をきいてきます」


「そうだな、こういうのは直に相談が1番だしな」


 うんうんとうなずきながら、ハーブソーセージをかじってる。

 口に入れた瞬間、目がかがやいていたのでご満足いただけたみたいだ。

 美味しそうに食べてるし良かった。



「しかし、あの場所はなぁ……ホントにやばいくらいにぎわってるからな〜? まさに混沌カオス。それに『冒険者ギルド』も……施設自体が迷宮ダンジョンみたいなものだろ? 迷子にならねぇかわりと心配なんだが」


「ふふっ大丈夫ですよー♪ でも、気をつけて行ってきますね」



 気づかいに感謝しつつあかるく返事をした。

 テオドールさんがフッと笑ってやさしげな表情でみてる。



「ん、十分気をつけて行って来てくれ」


「はい、お気づかいありがとうございます」


 ぺこりっ


 ギルドにも行ったことあるし。……たぶん大丈夫。

 人混みにはじゅうぶん注意しないとだけど。



「ずいぶんとにぎわっている場所なのですね……僕はまだギルド周辺には行ったことはないのですが……」


「えっほんとー?」



 リヒトくんがすこし困ったようにうなずいてる。

 

 まだギルド中心街に行ったことないんだー。

 聖職者のリヒトくんは外国から来たばかりなので、まだ詳しくはない。


 よく城下街には行ってるみたいだけど……?

 王城近くのとこしか行ったことないのかな?



「うんうん〜ギルド周辺はね、あたらしいお店がいっぱいでおもしろい場所だよー。すっごく楽しいところだよー♪」


 なんとか楽しさを伝えようと身ぶり手ぶりで説明する。


「スイーツの可愛いお店がいっぱい立ちならぶ場所とか〜、季節限定のアイスクリーム屋さんとかもあるよ? まだ食べてないけど焼きめが特殊なワッフルのお店とか、苺たっぷりのクレープ屋さんに移動式のミルクティー屋さんも気になってるのっとってもおいしいんだってー」



 わたしの様子にリヒトくんがおどろいて笑った。



「そうなんですか、とても素敵なところなんですね」


「うんうん〜♪」



 とてもうれしそうにほほ笑んでる。

 ギルド周辺の楽しさちゃんとつたわったみたい。

 よかった〜♪


 ばんばんばんっ テオドールさんが机をたたいた。



「あっははははっ〜」


「ええっ、な、なんですかテオドールさん」


「ふふふっ」


「リヒトくんまで、なになにー?」



 大笑いするテオドールさんと、くすくす笑うリヒトくん。


 なっなんなんですー? お店の紹介しただけなのに。

 なにがおかしいのかな? た、確かにちょっとお菓子屋さんがやや多めの紹介だったけれども。だって今話題のお店だし気になるじゃないですかっ

 

 うううっまたなんだか変な感じになってる?

 いわゆる不利な状況ってやつだ。


 リヒトくんが、すこし悩む素振りをして何やら考えてる。

 ……ん? 急にどうしたんだろう?



「あの、ルーシアさん」


「う、うん?」


「……もし良かったら僕も……ご一緒させていただけませんでしょうか?」



 リヒトくんの突然の申しでに驚いた。


 えっ今から一緒に? ギルド周辺にってことだよね?

 急なお願いだからかなんだか申し訳なさそうに話してる。

 

 話をきくうちに行きたくなっちゃったのかな?

 いっぱい気になるお店紹介したんだものね。なるほど〜。


 あああっ

 でも一緒に行きたいけれど、今回は時間があまりないし。

 いろいろと案内できないそうにないなぁ……。


 うううっ

 仕方ないけど、また次の機会の方がいいよね? 



「ごめんね、リヒトくん。今回は別の立ち寄る場所があって……」


「そうですか……わかりました」


 笑っているけどちょっと落ち込んでる?

 もしかして今すぐギルド周辺に行きたかったのかな?


 んんんっ?

 なぜかテオドールさんもびみょーに残念そうな顔……。

 うーん? よくわからないけど何なんだろう?


「今回はムリだけど、次のおやすみの時とか一緒に行くのはどうかなー?」


「えっ」


「案内したい場所とかお店がいっぱいあるの。もし良かったらだけど……」


 わたしの言葉にリヒトくんがとてもびっくりしてる。



「いいんですか?」


「うんうん♪ いっしょに行こう」


「ありがとうございます。ルーシアさん」



 とてもうれしそうにほほ笑んだ。

 先ほどまでの落ち込んだ雰囲気がいっきにふき飛んだ感じだ。

 花がほころぶようなその笑顔でわたしもつられて笑った。



「あーははははっ〜! お前ら、面白すぎぃ」


「ええっ、なんですかテオドールさん」


「ふふふっ」


「リヒトくんまで、なにー?」



 大笑いするテオドールさんと、くすくすと笑うリヒトくん。

 笑い声の中、朝食をいっしょに食べた。


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