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第41話 カレーと狼たち sideオオカミ② 



 バタンッ


『竜のあくび亭』、その食堂の中は暗い。


(もう冥府ってオチはないよな?)


 キョロキョロとあたりを見廻す。

 今のところ皆、無事みたいっスね〜。


「ルーシア、夜分遅くにすまない来たぞっ!」


「うわっ……何だこの匂い?」


 グーッキュルキュル〜


(めっちゃいい匂いやん、腹鳴る〜)



「あれー? 外からだと渡り廊下とか灯りがついてましたけど、……食堂もつけていいですかね?」


「かまわん、好きにしろ」


 ドカドカドカドカッ


「ルーシアっどこだっ私が来たぞ!」


「もうさすがに寝てるんじゃないっすか?」



 靴音をはげしく鳴らす主様に一応突っ込んどいた。

 誰もいないからとはいえ、いくらなんでも夜中にうるさいですよ、それは。


 はじめて『竜のあくび亭』に訪れた仲間たちは警戒しつつも食堂をキョロキョロしながら散策している。


「た、大変です! キッチンで大量のカレー発見!」


 ガタッ


「な、何だってー!?」


「あれれー? たしか『竜のあくび亭』朝の定番メニューはシチューですよね? 他の客も明日の昼過ぎや夕方に……帰って来るんでしょ?」


「も、もしかして、ルーシア様が我等の来訪を予期して……俺たちの為にカレーをっ?」


「そんなっヤバい泣きそう」


「朝から何も食べてないよー」


「たった1日で文句を言うな、3日目から言え」


(キビシー! 腹が減っては何もできぬゾ)


「わーん、ヒドい職場だー! ヴォルフさま〜これ食べていいですかー?」


「かまわん、好きにしろ」


 わあああぁぁぁっ


 我等はガッツポーズで大歓声をあげた!


 ドカッとヴォルフ様が腰かけ足を組む。


「必要なら食料はなんでも食べていいと言っていた。足りなければあとで補充する」


 パァンッ


「「「よっしゃあぁぁぁ!」」」


 我等は大きく振りかぶって手を鳴らす。


「わぁおー! おいっパンと米、全部だせっ足りない分は作るぞ〜♪」


 わいわいっ わいわいっ



「ヴォルフさま? ルーシアさまは?」


「風呂だ。温泉に使用中の立て札があった」


「なるほどですー! ではではっ」


「いっただきまーす♪」


 飢えたオオカミたちが一斉に飛びかかった!



 ◇



 ガツガツッガツガツッ


「はふっはふっがつがつ」


「……。」


「ルーシア様、なんか遅くねーですか?」


「こんな時間にかなーり長いよな?」


(たしかにそうだなぁ……)


「んぐっ! 一理あると思いま〜す!」


「もぐもぐっこんな夜中に長湯はね〜? ちょっと見てきましょうか? 心配ですし……ヴォルフ様?」


 ガタッ


「いや、私が見てこよう」


 ドカドカドカドカッ


「あらら、いっちゃった〜」


「い、一瞬もとめるスキがなかったナ」


「温泉に突撃して大丈夫なんすかね?」



 我等は温泉へ向かう主様を見送った。




 ◇




「よーし生地! 宙の舞ぐるぐる〜」


「ぎゃははっ」


「カレーうめぇ! このチーズなんだ?」


 どんちゃん♪どんちゃん♪

 我等はひさびさの飲めや歌えの大騒ぎ。


「この宿屋……ヤバ過ぎ! わけがわからない食材とか魔法具いっぱいダヨー」


「おーい、ナン追加焼けたゾ〜」


「ん? あれは……! て、天使!?」


 キラキラキラキラ〜♪


 食堂入り口、温泉へと繋がるその場所で――。

 脳内の翼を広げた天使がそこに居た。


「ルーシア様発見〜! 食堂の入り口で、なんか固まってるねー?」



(オイオイオイッ『竜のあくび亭』とは楽園か! 宿屋の主人が天使とかきいてないぞっ!)


「おー、湯からあがったんだな?……ってヴォルフ様、背後から声かけて、びっくりしてるやん」


(ありゃ〜、主様……。それはかなりアウトっす)


「素人に気配消すなんてヒドいわー」


「ホントになー、ルーシア様がかわいそうだよ」



 それぞれがむしゃむしゃと食べながら、主様とルーシア様のやりとりを批判しつつもほのぼのとみてる。


「お、こっち見てるよ」


「カレーありがとうございました〜♪」


「すげぇ、美味かったッス!」


 我等は頭をさげ、手を振ったり、カレー皿にかかげて礼をとった。


 とまどいつつも会釈して手をふり返してくれた。

 ああ、可愛すぎるだろこれー!


「あっ、笑ってるマジ天使!」



 ガシッ

 ずるずるずるずる〜っ


 ヴォルフ様が天使をかっさらった。



「あーあ、ルーシア様、ヴォルフ様が連れていっちゃた〜」


「今夜は朝までお楽しみらしいゾ」


「へぇー、じゃあ飯補充しつつ休憩だねー」



 笑いながらさっそく食べはじめる。

 いろいろ喰い尽くしながら美味しいごはんを皆で楽しんだ。


  

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