第15話 回復薬をつくろう
「いつもありがとうね~♪」
屋敷妖精さんにお菓子をふるまって、
疲れたので少しお昼寝。起きてふたたび作業に戻る。
さっそくたまった薬草で一気に回復薬を作ろう~。
回復薬は簡単なものと、
いつでもイイよと言うギルドからの依頼がある。
湯で身を清めて工房とは言い難い薬品室に入る。三角巾をして口にも布をあてる。庭で採れた薬草と、幼なじみであり冒険者のユリウスから貰った貴重なモンスターの素材を用意した。
「さて、衣装に着替えてっと」
黒いローブにささっと着替える。
回復薬を教えてくれたお師匠様に何事もカタチから入れと言われていた。
魔女の格好するだけで性能が上がるってホントなのかな~?
……何かカッコいいから良いけど。
「はーい。では、さっそくはじめたいと思いますー。今日もよろしくお願いします~」
パチパチパチパチ~ッ
あたまの中で拍手を鳴り響かせる。
カチッ カチカチッ
魔石の火打ち石で火をおこし、浄化された水を沸騰させながら順番よく材料を鍋に放り込んでいく。
「いーひひひっい~ひひひ♪」
口にあてた布越しに笑いながら鍋をかきまぜる。
笑いながら作ったほうが効果が増すらしい。
でも、コレでちゃんとあってるのかな……?
回復薬作りを教えてくれたお師匠さま。
……大魔女さまが言うのだから間違いないんだろうけれど……。
くすくすくす……。
笑い声とともに何処からともなく屋敷の妖精たちも集まってきた。不穏な空気をまとい薄気味悪い笑い声が聞こえる。
「いーひひひっい~ひひひ♪」
たぶん雰囲気作りに貢献しているのだろう。
優秀なスタッフたちだ。
いつもとはちがう精霊や妖精さんたち。ふだんでてこない子もこのときばかりは集まりだす。皆の協力のもと、一緒に回復薬をつくる。
『――色を持たぬ精霊よ、名を持たぬ妖精よ、深淵と混沌の狭間より水面から幾多、数多の手を差し延べ力をあたえ給え――』
回復薬の鍋をかき混ぜながら高らかに叫び笑い声をあげる。
ロウソクの炎がゆらめく中、気分は絶好調だ。
「いーひひひっい~ひひひ♪」
よーっし♪ お師匠さまのモノマネ、今回はすごくうまくできた! と思う。
精霊や妖精さんたちと笑いながら作る回復薬作りは楽しいな♪。
「えーっと、最後に何だっけ?」
パン、パン、パパパン♪
『月の光よ雫となりて、其処より力を求めたる杯へと星を降りそそげ☆ぐるぐるぐる~☆にゃん♪』
両手を頭にあげて耳の形を作り可愛く首を傾げる。
ボンッ
七色の光を放ちながら、回復薬は完成した。
「……。」
ううう、恥ずかしい。
……大魔女様、本当にコレやる必要あるんですかね……?
成功率があがる動作とか言われて毎回ちゃんとやっているんですが……。
でも、これをやらないで失敗して材料破棄になるのもイヤだしなぁ……。
教えてもらったのもだいぶ前だから……。
「……今度大魔女様に聞いてみよっと。うん」
鍋が冷めた後、熱湯消毒した瓶に慎重に移し替えていく。
コルクをやや強めに締め、紙で封を施し完成だ。
「ふぅ、おわった~」
バコッ
熱気であてられて熱い。バコッと部屋の窓を開けて換気する。
「うまくできたかなー?」
瓶の中で七色の虹をまとった光がゆらめいている。
「ふふふっいい感じかも〜♪」
ひさびさに作った回復薬。
なんとかうまくできたみたいだ。
本当は教えてもらったもっと大掛かりな魔法薬とかも作りたいけれど……。
火をずっと管理は難しい。
結構やり始めたらのめり込む体質の為、宿屋の管理もしながらだとコレが精一杯だ。
いつもはすぐできる簡単なモノだけ作るようにしている。
息抜きできるしちょうどいいもんね。
――いつの間にか夜空に星が瞬いている。
天窓がガラスになっている場所に移動する。
回復薬を月の光が照らす作業台の上にそっとおいた。
ギルドの依頼品、幼なじみの分と。
あとは御近所さんに湿布薬や風邪薬、余った薬草を持って行こーっと。
「みんな、ありがとうね~♪」
協力してくれた精霊や妖精さんたちにお礼をしつつ
一緒に月をながめた。




