閑話 米西戦争
キューバ危機を語ろうと思ったのですが、その前にキューバの歴史を語りたくなりました。そこで、米西戦争の歴史を語らせてください。
個人的に、キューバの歴史を学ぶポイントとして、1898年に起こったアメリカ=スペイン戦争「米西戦争」が重要だと思っていますね
※そういえば、一橋大学でも、2008年度入試にて米西戦争がどのような戦争か記述する問題がありましたね。問題は、米西戦争が起こった原因(100字)と、米西戦争がフィリピンの独立運動に与えた影響(150字)を記述するものとなっています。
そこで、この戦争の解説をしたいと思います。
まず、背景として、1890年代のアメリカの動向を知る必要があります。
アメリカは、南北戦争が終わったあとにフロンティアが消滅したので帝国主義路線に進むようになります。
そこで、アメリカは共和党のマッキンリー大統領のもとで、カリブ海進出を目論みます。
そんな時に、キューバはスペインと独立戦争を行っていました。
※第一次独立戦争と第二次独立戦争があります。第一次独立戦争は、1868年~1878年に起こり、その後に「ホセマルティ」を筆頭に第二次独立戦争が起きました。
これを見ていたアメリカが、キューバの独立運動支持と米軍艦メイン号爆沈を口実に、スペインに戦争を仕掛けます。
※ちなみに、アメリカはキューバの製糖業に多額の投資をしていました。そのため、アメリカはキューバ問題に関心が高かったと言えます。
結果、アメリカはスペインを倒しました。
しかし、これでキューバが独立できたかと思いきや、アメリカはキューバに「プラット条項」を押し付けます。
プラット条項とは、キューバが独立したあと、キューバの憲法にアメリカが追加した項目です。
その内容は、キューバの内政干渉権や海軍基地建設、外交権の制約等となっています。
すなわち、キューバは米西戦争の後で完全に独立したとはいえず、アメリカの保護国になるのです。
※教科書では、主権を制限された独立等とも記述されます。
なお、米西戦争では、スペイン領であったフィリピンでも両国の戦闘が行われます。
そんな中で、フィリピンにおいても独立に向けた動きが活発化します。フィリピンの独立運動の中心にいたのは、アギナルドでした。
彼は、アメリカ=スペイン戦争でアメリカを支持しました。スペインを打倒し、フィリピンの独立を目指したのです。
そして、1899年にフィリピン共和国の大統領にアギナルドが就任しますが、アメリカはフィリピンの独立を認めませんでした。
その結果、同年にフィリピン=アメリカ戦争が勃発しますが、フィリピンはアメリカに破れます。アギナルドは、逮捕されフィリピンもアメリカ領になるのです。
この辺の知識を理解していると、一橋大学の入試で得点できるでしょう(笑)
なお、これは完全に余談ですが、アメリカ=スペイン戦争開戦前から、アメリカ国内では、新聞の捏造記事が多数執筆されました。
1897年の「アメリカ婦人を裸にするスペイン警察」という記事が有名です。これは、新聞記者が執筆した捏造記事でした。
これをきっかけに、新聞各社はスペインのキューバ人に対する残虐行為を誇大に報道し、アメリカ国民の人道的感情を刺激したといわれています。
その意味で、あまり米西戦争って覚えない戦争かもしれませんが、「ジャーナリズムが戦争を産み出した事例」として語られることもございます。
是非、これをきっかけにどのような戦争だったのか?頭に入れておいてください。




