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世界史講義録 ロシア史への誘い  作者: 鸛
ロシア史基礎編
47/75

スターリン⑫ 大戦中のポーランド ポーランド国内軍をドイツに殺させた。

ヤルタ会談でポーランド処分がどのように行われたか?ということは、冷戦を理解する上でとても重要なことだと思っています


※ヤルタ会談の大部分の話し合いが、実はポーランド問題でした。


しかし、それを行うにあたって、大戦中のポーランドの動向をしる必要があります。


多分、殆ど教科書に載っていない話を含みますが、これこそがヤルタ会談で非常に重要な議論と思います。


それでは、始めましょう。


第二次世界大戦は、ナチス=ドイツのポーランド侵攻によって始まりました。特に、ナチス=ドイツがポーランド西部に侵攻すると、ソ連もまた、ポーランド東部に侵攻を開始します、


この時、ポーランド政府はロンドンに亡命します。強国であるソ連とドイツに挟みうちにされるわけですから、逃げざるを得なかったのです。


この「亡命政府」は、イギリス政府の承認を得るとともに、亡命先ロンドンから国内軍を結成するように呼び掛けて各国の侵略に備えようとするのです。


しかし、この動きを面白く思っていなかった国がいました。ソ連です。反共産主義のチャーチル率いるイギリスが、ポーランド政府を主導するなどソ連から見たら許せないことなのです。


そもそも、ソ連はこの地域を支配したいから東部から侵攻しているわけです。イギリスに余計なことをやられたら、戦後、ソ連がポーランドを支配できないのです。


また、大戦中、ポーランドの亡命政府にとって許せない事件も起きるのです。なんと、ソ連の捕虜となったポーランド人将校、数千人がソ連内のカティンの森で密かに虐殺されたことが解ったのです。


亡命政府は、カティンの森のことをソ連にたずねます。しかし、ソ連はヒトラーにやられたと一点ばりであったので、亡命政府は納得しませんでした。それをみて、スターリンも亡命政府に激怒し、ソ連と亡命政府は対立するのです。


そこで、ソ連は何をしたか?


ソ連は、なんと、亡命政府に対抗して共産党政権をポーランドに樹立します。


実は、独ソ戦が開始すると、ソ連はポーランド東部を奪われてしまいます。しかし、ソ連は徐々にドイツ軍を撃退していきますので、ポーランド東部を取り戻します。そして、ポーランド東部の中心にあるルブリンで、共産党政権を樹立させました。これがいわゆるルブリン政権です。


ここからが、ソ連軍のエグい話になります。


ソ連がルブリン政権を樹立すると、西に進撃を開始して亡命政府の国内軍に対して蜂起を呼び掛けます。これが、ワルシャワ蜂起です。


ワルシャワ蜂起によって、国内軍は、一時ドイツ軍を追い詰めるにいたります。


しかし、こんな蜂起を行えば、ドイツが報復します。


そして、ドイツが報復の空爆を行ったタイミングで、なんとソ連軍は進撃をとめるのです。ソ連は、亡命政府の国内軍なんて認めていませんでしたし、蜂起を焚き付けたあと、ドイツ軍に殺させようとしたと考えられています。


結果、ワルシャワ市内の建物は大部分が失われ、15万人以上もの死者がでました。


こうして、国内軍が降伏すると、そのタイミングでソ連が進撃を再開します。このとき、ソ連軍はルブリン政権をつれて、ワルシャワに入場し、ポーランドの支配権を獲得しました。


ソ連は亡命政府を否定し、ルブリン政権を正統な政権と認めさせようとするのです。※そのためには、国内軍が死のうが知ったことではなかったのです。


この問題があったからこそ、ヤルタ会談におけるポーランド問題はとても拗れます。その話を次回させてください。



NHKの映像の世紀にて、紹介されていたワルシャワ市民の回想が個人的にとても印象に残っているので、作品としてではなく、後書きとして紹介します。


「今日は美しい天気。だけどやっぱり爆撃が始まった。悔しいがこれには味方は手が出ない。高射砲が無いのだ。それを良いことにあの恥知らずの鬼どもは高度をグッと下げて好きなだけ機銃掃射をする始末だ。耐えずじりじりとイギリスかソ連の飛行機を待っているが一向ダメ。私たちの上を飛び回っているのはただドイツの黒いカラスばかりなのだ。」


ワルシャワ蜂起の時のワルシャワ市民の回想。

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