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世界史講義録 ロシア史への誘い  作者: 鸛
ロシア史基礎編
26/75

ロシアの内政② 怪僧ラスプーチン ロマノフ朝の未来を予言した男

ロシアの皇帝ニコライ二世の唯一の息子であるアレクセイは、血友病でした。


そのため、僅かなかすり傷でも致命傷になる状態であり、アレクセイが血友病であったことは一部の人しか知らない「最重要機密」でした。


ここで、ラスプーチンという僧侶が台頭します。


彼について伝わっていることは、下記の点です。


①ある日突然、聖母マリアの声を聞いて巡礼を行ったということ。


②巡礼のあとで、妻でも見分けがつかなくなるほど容貌が変貌し、未来を予知する不思議な力や難病を治癒する不思議な力を得たこと。


③民衆の難病を数多く治癒し、神の人と崇められていたこと。


どこまで本当なのかはわかりませんが、ラスプーチンはストルイピンの娘も奇跡の力で治療したと伝えられています。


このような人物がいたということで、当然皇帝ニコライ二世や皇后アレクサンドラの目に留まりました。


そして、ラスプーチンはニコライ二世の息子アレクセイの血友病を祈祷によって治療して見せたといわれています。


これによって、ラスプーチンは、皇帝ニコライ二世と皇后アレクサンドラから絶大な信頼を得るようになります。


こうして、ラスプーチンは、皇帝や皇后に急速に接近します。


その後は、神秘主義に傾倒した皇后アレクサンドラから、下記の手紙が送られて公開されてしまいます。


「師よ、あなたが私のそばに座って、私はあなたの手に口づけし、頭をあなたの至福の肩にもたせかける時だけ、私の心は安らぎ、休息することができるのです。」


この手紙の内容は、ペテルブルク中に広がり、ラスプーチンと皇后は批判されるようになります。


そして、第一次世界大戦が勃発すると、ニコライ二世自ら指揮を執り、戦線に向かいます。


この時、政治に詳しくなかった皇后アレクサンドラは、ラスプーチンに相談しながら政治を動かすようになるのです。


しかし、ラスプーチンは貴族の人事についても発言したため、反対派の貴族を多数敵にまわします。


民衆も敵国のドイツ出身であるアレクサンドラと、ラスプーチンをドイツのスパイと噂したと伝えられています。


こうして、戦争時、ラスプーチンに振り回されて内政が行われますが、ラスプーチンは1916年に暗殺されます。


ラスプーチンは、死の間際に下記の予言を残したと伝えられています。



『私は1月1日までに殺される。私を殺した者が農民やいち市民であればロシアは揺らぐことなく安泰でしょう。ですがもし、私を殺した者、殺しを首謀した者の中に皇帝陛下の一族の方がおられれば、私の死後、皇帝陛下とご家族は無残な最期を遂げることになりましょう。それはロシアにとって長く続く血の歴史の引き金になるのです。』


この予言は、その後のロシアの歴史を見るとまさに的中するのです。


そして、ラスプーチンの台頭もまた、帝政不信のきっかけの一つになり、ロシア革命の一つの要因となったといえるのです。


なお、ラスプーチンそのものの不思議な力を説明することに、歴史学では成功していません。アレクセイを救った力は、薬だったとする説もあります。


いずれにせよ、ラスプーチンに関連する逸話の多くが歴史ミステリーとして現代に残る謎となっています。


※このページに限らず、ラスプーチンのミステリアスな生涯はいろんなところで論じられていますので、よければ、検索してみてください。


以上、ラスプーチンは革命の時代に現れた「怪僧」だったとお伝えしたいと思い、本稿を執筆しました。





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