ボリシェビキとメンシェヴィキ 少数派のメンシェヴィキが多数派になる???
20世紀初頭のロシアを語る上で、もうひとつ重要なことがございます。それは、「政党の発足」です。
最初にお話ししたいのが、「社会革命党」です。1860年ごろからナロードニキ運動が活発になることをお話しました。ところが、ナロードニキ運動ではロシアの農村を動かすことができなかったので、テロが行われるようになります。
このテロは、厳しく取り締まりが行われましたが、ナロードニキ運動そのものを潰すことはできませんでした。そして、この運動に参加した人々が「社会革命党」という政党を作ったのです。
一方、1890年ごろから、ロシアの社会は一つの変化を迎えます。それは、「労働者の増加」です。
この時代のロシアは、西欧諸国に遅れながらも工業化が進んでいきますので、徐々に「資本家」と「労働者」という二つの階級が台頭します。
※これまでは、「農奴」と「地主」のみでしたが、そこに「資本家」と「労働者」が加わっていきました。
そんな中で、労働運動が盛んに行われるようになります。労働者は自らの権利を改善するために、社会主義国家を理想とするようになります。そして労働者を支持基盤として一つの政党が発足します。それが、1898年に発足したロシア社会民主労働党です。
当時、プレハーノフらがリーダーとなって政党を発足し、後に世界に名を残すレーニンたちも所属していました。
ところが、ロシア社会民主労働党は1903年の党大会で分裂します。
具体的には、ボリシェビキ(多数派)と呼ばれるグループとメンシェヴィキ(少数派)と呼ばれるグループに分かれてしまうのです。
※ここでいう「多数」とは、あくまで1903年の党大会での多数派という意味。多数か少数かという数で覚えると混乱しそうなので、きちんと組織的な違いを理解しましょう。
では、ボリシェビキとメンシェヴィキは何が違うのでしょうか?
それは、社会主義国家を実現する上で、どちらも革命を理想としたのですが…革命に対する考え方が根本的に違ったのです。
ボリシェビキは、少数の党員によって資本家と地主を打倒し、社会主義革命を行おうとする勢力です。そのリーダーが、レーニンです。
一方、メンシェヴィキたちは違います。メンシェヴィキたちは、資本主義革命を優先するのです。
さて、何故、こんな発想の差が生じたのでしょうか?それは、ロシアの社会が、マルクス主義で考えてみたときに今どんな社会なのかはっきりしないせいです(笑)
そこで、マルクス主義の考え方を勉強しましょう。
マルクスによると、国家の歴史とは、「階級闘争」の歴史になるのです。
中世封建制社会では「地主」と「農奴」という階級の争いが起こります。そして、封建社会の後の資本主義社会でも、「資本家」と「労働者」の争いがおきます。
これを乗り越えた先に社会主義が存在するという考え方が、マルクスの考え方です。
では、ロシアの社会はどうなのでしょうか?あれ?地主や農奴もいるし…資本主義も中途半端に導入している??分類が難しい(笑)
こうして、ボリシェビキ達が、ロシアを「資本主義社会」と考えていたのに対して、メンシェヴィキは、ロシアを「中世封建制社会」と考えています。
従って、メンシェヴィキたちはマルクス主義に基づき、社会主義革命はまだ早いと考え、資本主義革命を先に起こさねばならないと考えます。
そのためには多数の党員を集め、資本家と労働者と農民は協力し合い、地主の打倒こそ優先すべき問題だと考えるのです。
こうして、ロシア国内には、社会革命党やボリシェビキやメンシェヴィキといった勢力が台頭したのです。
さて、ロシア第一次革命が起こると、国会が建設されたことをお話ししました。国会には、今まで論じた各政党の党員が参加するようになります。
そして、ここは誤解しないでほしいのですが、第一次ロシア革命の直後の国会ではボリシェビキよりもむしろメンシェヴィキ達が支持されていたのです。
暫く、社会革命党やメンシェヴィキ達が、ボリシェビキよりも党数を確保します。
ですから、タイトルの通り「メンシェヴィキ」のそもそもの意味が「少数派」でも実際の国会にて「多数派」の時代が続くのです。
この名前考えた人バカですね(笑)と文句の一つでも言いたくなりますが、混乱せず覚えておきましょう。
あと、既にご存じの通り、レーニン率いるボリシェビキ達が勢力を拡大していき「ソ連」という国を建国するので、本来の意味の多数派が復活します。
その背景には、第一次世界大戦が挙げられるので、第一次世界大戦中のロシアを議論して行くなかでこの辺の話は深く解説します。
本日はここまでです。
立憲君主制を目指していたブルジョワジーたちも1905年に政党を作ります。それが、立憲民主党です。
後に二月革命が起きたときに、立憲民衆党による臨時政府が誕生します。
後書きになってしまいましたが、こちらも覚えておきましょう。




