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刻印所持者の魔法  作者: 紅ノ月
1章:三度の喪失
5/26

5話:刻印所持者、面倒な勇者に迷惑する

12月24日修正しました。

- 刻印所持者の魔法 4話 リメイク -

「ししし、神聖刻印!?」



 ルルナさんは椅子を後ろに倒すぐらい勢い良く立ち上がった。2人ともテンションを高くして騒ぐ。俺は一体なんのことなのか分からず、頭に何個もはてなマークを浮かべていた。

 だが、ありがたい事に無知な俺を置いていくことはせず説明を始めてくれた。



「神聖刻印とはステータスの刻印のひとつで今確認されている刻印の中で一番の力を有しているんですよ!」



 説明ありがとうルルナさん。

 つまり、俺はとんでもないものを引き当ててしまったのだろうか?

 俺はテンション高めで俺の左腕を見ているメイドさんとルルナさんを見て思った。だが、ひとつ俺には疑問があった。



「そんな凄そうな刻印とかは普通、勇者とかじゃないんですか?」

「いいえ。勇者だからといって神聖刻印があらわれる訳では無いんです。そもそも、最初に現れるステータスは第一刻印、良くても第四刻印までが限界なんですよ。一般的にはそこからレベルアップして第三刻印、第四刻印となっていくんです。それに、確か神聖刻印は勇者祭の時に絶対神様から授かるはずでしたのですが……」



 ん? 最後の方はうまく聞き取れなかったのだが、勇者祭とか聞こえたんだが?

 勇者召喚を祝って祭りでもやるんだろうか。



 わかりやすく例えるならばゲームの初期レベルがカンストしている状態らしい。

 と、これだけ聞くと相当なチートっぽく聞こえるが俺の体に異常はまだ刻印しかない。つまり筋力とかは今までどうりだそうだ。だが成長具合は群を抜いていると予想されるとルルナさんが言っていた。俺の努力次第で強くなるかは決まる。



「ルルナさん」

「私にさんは付けなくて良いですよ」

「私のこともルビアとお呼びください」

「え? ええと……わかったよ。ルルナ、ルビア。それはそうと俺は強くなるために鍛えたいんだけどどこですればいい?」

「いえ、まだ鍛えるのは早いです。まずはレントさんにこの世界の常識を教えます。おそらくレントさんがいた世界とは異なる部分が多いとおもいますから」

「まず、お金について説明します。この世界のお金の単位はゼファーです。そして硬貨の種類についてですが多いので実物を見せます。ルビア」

「かしこまりました」



 ルルナが合図をするとルビアが部屋を出ていった。数分たつとルビアが戻ってきて硬貨と思われるコインを持ってきた。ルビアはその硬貨を机の上に並べた。

 これからはこの硬貨で買い物をしたりするからな、しっかり覚えないとな。

 ルルナさんが硬貨の説明をしっかりしてくれたおかげでなんとか覚える事ができた。



 この世界の硬貨は

 ''銅貨''、''鉄貨''、''鋼貨''、''銀貨''、''金貨''、''白金貨''の6つ。

 銅貨から順番に1ゼファー、10ゼファー、100ゼファー、1000ゼファー、10000(1万)ゼファー、1000000(100万)ゼファーである。



「お金のことに関しては理解できましたか?」

「ああ。多分大丈夫だよ」

「それは良かったです。それでは次に日付に関してです。1年は360日で初月から第1月、第2月、第3月、第4月、第5月、第6月、第7月、第8月、第9月、第10月、第11月、第12月となっていてひと月30日、1日は24時間となっています。ちなみに今日は第7月の2日です」

「へえ、俺がいた世界とは殆ど変わらないんだね」



 なるほど、確かに全然違う感じの部分もあるが日付に関してはほぼ同じだからわかりやすいな。そういえば那月さん達と一緒に説明を受けた方が良かったのではないだろうか。

 それとも、もうふたりには説明を終えているのか。

 



「那月さんと瑠里香には説明しなくてもいいの?」

「……そうしたいのは山々ですが私にも事務の仕事がありまして……まだしていないのですよ」



 よし。これはこの手を利用しない手はない。

 前回よりも情報を引き出せればいいんだがな。あまり、しつこいと怪しまれるからな。



「そうだよね……それじゃあ俺の方から説明しておくよ。ルルナは仕事に専念してていいよ」

「そうですか? それじゃあ、お言葉に甘えさせていただきます。それとルビアに食事を用意させますから3人で召し上がってください」

「ありがとう。お腹がすいて大変だったんだ」



 ルルナが再び、事務の仕事に戻ったので俺とルビアはそっと部屋から出ていった。

 俺はルビアの案内で那月さんと瑠里香の部屋に移動することになった。廊下に敷いてある赤い絨毯の上を歩いている途中にルビアがぽつりぽつりと話し始める。



「……お嬢様が独身なのは知っていますよね?」

「……ああ」



 昨日の窒息のことと、霧がかかったようにはっきりしていない夢の記憶を思い出す。

 ルビアの態度を見る限り相当真剣な話しだということは誰でもわかる。俺も真剣だという事は理解しているので真面目に話を聞く。



 歩きながら、廊下に置いてある数々の花瓶に入っている見たことのない花や天井にぶら下がっているシャンデリアに付属している魔法石を眺めながら歩いた。

 するとルビアはいきなり立ち止まり、深く頭を下げる。



「不躾なお願いではありますがお嬢様を幸せにしてくれませんか? まだ出会って2日ですがお嬢様は大変素敵な女性です。どうかよろしくお願いします」

「……何故出会って2日の俺にそんな願いをする?」

「メイドの勘です。レント様ならお嬢様を幸せに出来ると思いますので――それと実は私も独身なので私も娶ってください」

「おい」



 ルルナを幸せにしてほしいということで本当にルルナに尽くしていると思ったのに最後で色々と台無しだ。ルビアの言う通りルルナも素敵な女性なのだが俺はルビアも十分素敵な女性だと思う。

 ちょっと黒っぽい青色の髪、しっかり手入れをしているようで櫛にも引っかからない様なサラサラとした髪の毛である。さらに整った顔にきめ細かい肌。



 ルルナも然り、まだルビアたちのことをよく知らないので本当に素敵な女性かよくわからないがな。

 それでも、2人は本当に素敵な女性な気がする。

 ……日本にはこんな女性はいなかったな。でも、それでもい一番じゃない。



「てかなんでルビアまで……」

「メイドの勘です。なんだかいつかレント様に惚れる気がします」

「なにそれ」



 全くあてにならない根拠なんだが……。この世界の人たちはこんなにもアバウトなのか?

 俺はこのままだと、話が終わらないと思い再び歩き出す。そのあとをルビアがついてきて案内してくれた。

 そして、ようやく着いた2人の部屋。ルビアが朝食を持ってくるそうなので俺はひと足早く部屋に入り、情報を引き出すとしよう。

 俺はコンコン、と2回ノックする。



「蓮斗だけど。今大丈夫?」

「はーい。大丈夫ですよ〜」



 部屋から出てきたのは瑠里香だった。どうやら服を借りたようで制服ではなかった。部屋にいた那月さんも同じく服を借りたようだ。

 すると瑠里香がいきなりニヤニヤとしながら俺を見始めた。とてもいい気分とは言えない心境である。



「ルルナさんの感触はどうでした〜?」

「うるさいよ。こっちはおかげで死にかけたんだけど?」

「ふん。どうせ楽しんでいたくせに」

「……ねえ、どうして那月さんはあんなトゲがあるの?」



 俺は小声で瑠里香に聞いてみる。だが、瑠里香は「自分でかんがえてください〜」とか言って教えてくれなかった。うーむ、那月さんはそういう邪な考えを持った人間が嫌いなのか? 那月さんは真面目だからな、ありえない話ではないな。それに、よくそういう女性はいると聞くしな。

 まあ、嫌われているのは一歩譲っていいとして取り敢えず情報を引き出せてもらおうか。



「そういえば、この世界のお金について何か知っていることない? これから、この世界で生きていくにはちょっと不便でね」

「はいはい! 私、この世界のお金の単位知ってる! ゼファーって言うんだって!」

「へえ〜。全然知らなかったな。誰から聞いたの?」

「え? うーんとね」

「――メイドさんから聞いたのよ」

「あ! そうそう! メイドさんから聞いたの!」



 よし。瑠璃香なら、絶対に引っかかってくると思っていたぞ。

 そして、その瑠璃香のサポートに那月さんがまわる。

 俺は予想どうりの行動に、内心で笑みを浮かべていた。この調子ならもっと情報を得られるかもしれないと次の行動に移った。



「もしかして、他にも何か知っていることってある? 知っていたら教えて欲しいんだけど……」



 この時の、俺の選択は間違いだったのかもしれない。それに気がついたのはその言葉を聞いた那月さんと瑠璃香を見た後だった。



「「――この世界の宗教に興味ある!?」」

「うおっ!」



 2人とも、勢い良く俺に顔を近づけた。それに、興奮しているせいか顔が赤くなっている。

 少し危険な感じもするが、ここは有力な情報を手に入れるチャンスかもしれない。



「えーっと、まあ少しなら」

「本当!?」

「う、うん。えっと、どんな神様が信じられているの?」

「絶対神様を崇める、バレン教って言うのがあるのだけれどあなたもその宗教に入りましょう。とても素晴らしい宗教なのよ」

「な、那月さん?」



 ちょっと、雲行きが怪しくなってきたような気がする。というか、この2人はそのバレン教の狂信者のようなのだが危険な気がする。まったく、そのバレン教の神様も苦労するな。同情はしないがな。

 と、俺は延々とバレン教について語っている2人の話を聞いているような姿勢で聞き流した。









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