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刻印所持者の魔法  作者: 紅ノ月
1章:三度の喪失
15/26

15話:刻印所持者、昔を思い出す

投稿遅れてしまいすみません!

今回は短いですが次話は今日か明日に投稿します!

屋敷に帰ると屋敷の近くに一軒家くらいの大きさの囲いがあった。どうやらルルナが土地の確保をしてくれていたようだ。どんな家が建つのか俺はわからないが一般的な家なのだろうか。いや、セラに限ってそれはないか。

 俺はセラの建てるであろう家に期待を抱きつつ屋敷に帰った。ちなみに、セラは1度神界に行くとか言って姿を消した。故に今は俺1人である。



「レントさんッ!」



 屋敷に入るや否やルビアが走って来た。話を聞くとどうやらいい話ではないようで公爵の貴族が突然訪れて召喚した勇者以外の3人、つまり俺、瑠里香、那月さんの誰か1人を差し出せと言ってきた。たとえ勇者ではないとはいえ魔物と少しでも戦えるように訓練するらしい。

 これは国王の命令だと言ってきてとその証拠もあったそうだ。いくら勇者召喚を任され、それなりの地位にいるルルナも国王の命令には逆らえないそうだ。



「レントさん。どうしますか……?」



 俺はふう、と1つ息を吐きデートのせいで疲弊しきった脳を無理矢理に働かせて思考する。

 話を聞く限りこの中で最も適しているのは俺だ。瑠里香と那月さんは結構仲が良く、離れると精神的に厳しい面もある。ここは召喚された中でも1人も知り合いがいなかった俺が行くのが妥当だろう。



「わかった。俺が行こう」









「ほ、本当に大丈夫なんですか? レントさん」

「あぁ。大丈夫だ。だからそんな不安そうな顔をするなよ」

「でも、でも!」



 俺は不安そうな顔をしているルルナを落ち着かせる。ここまで心配されるのは実に久しぶりだ。何を言っているのかと思うかもしれないが俺は嬉しい。きちんと俺のことを考えてくれていると実感することができた。



「あ、それとセラによろしくと伝えてくれ」



 何気に気がかりなのがセラなのだ。今日、セラとデートしてみてわかったことがある。セラは俺のことになるとかなり過剰な部分がある。決して自意識過剰ではないと思う。もし俺がデートの最中でセラが怒ったことだって



「セラは俺のために怒ってくれた? ないない、きっとデートの邪魔をされて怒ったんだよ。それにデート? それはセラが言ったことで俺とセラはデートするような関係じゃないから」



 なんて言ってみろ、見事に俺は鈍感の烙印を押されてしまう。それにまだそれだけならばいい。下手をすればセラを傷つける結果になってしまうかもしれない。それだけは絶対にしないように気をつけなくてはいけない。

 まあ、もしかしたら本当は俺のために怒ってくれた訳では無いのかもしれないしデートだって気を使って言ったことかもしれない。だが、セラの性格を考える限りそれはほぼ0%に等しいのだが……。

 おっと、あまり深く考えすぎると止まらなくなるからここまでにしよう。



「……わかりました。絶対神様に伝えておきます」

「ありがとう。それじゃあ行ってくる」



 俺は今、これからどうなるかわからない未来へと進もうとしている。果たしてこれが正解だったのかどうか、それは未来にならないとわからない。だが、俺は後悔はしていない。女の子ふたりを救えたのかもしれないのだから。



 俺はその後人生で初めての馬車に乗り、案外乗り心地が悪いことに気がついた。考えても見ればそうだろう。日本みたいに整備された道路があるわけでもない。でこぼこな道を走るしかなかったのだ。

 その上、車みたいにシートがあるわけでもないのだから。



 乗り心地が悪いのはもう、どうでも良くなってしまった。頭の中で雑念を払うように景色を楽しむことにした。だが、どうしてもセラのことが頭から離れない。

 ――まるで、何年も一緒にいた家族のような……。



「……ちっ」



 嫌なことを思い出してしまい、とても小さかったが舌打ちをしてしまった。幸い、近くにいた貴族の男に聞こえなかったようだ。

 俺は家族というものに良い思い出がない。

 俺の家族は父、母、俺、妹の4人家族だった。はっきり言って最悪の家族だった。父は乱暴な男で俺が物心がついた時から殴る、蹴るなど暴行を繰り返していた。小さかった俺は泣いた。痛くて、苦しくて最悪の日々だった。

 母は俺が虐待されていても全くの関心がなかった。そしてすぐに他の男と蒸発した。母が出ていったと父が知ったのか、更に俺への暴行は酷くなった。



 そんな中でも俺が耐えられたのは妹――神田(かえで)の存在だった。楓は俺の1つ下の妹で、俺のことを「兄さん」と言って慕ってくれた。















 「……楓の声が聞けなくなったのはいつからだっけ」


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