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刻印所持者の魔法  作者: 紅ノ月
1章:三度の喪失
10/26

10話:刻印所持者、ルビアと勉強する

12月24日修正しました。

- 刻印所持者の魔法 10話 リメイク -

目も覚めたので屋敷に戻り、昼食を食べることにした。ちなみにその前にルビアに1発デコピンをかましておいた。「あう」と可愛らしく声を出していた。

 それはさておき今日はあっさりと食べられる野菜中心だった。俺は今日の食事にも物足りなさを感じた。そう、白米だ。

 だが、1つ問題があり、この世界には白米がない。もしかしたらほかの国に行ったら似たようなものでもあるかもしれない。ただ、俺が見る限りパンが主食になっている。パンも美味しいんだがあまり種類がなくどうも飽きてしまう。それにルルナの話によれば食糧難が起こっているところもあるらしい。そこも考えて行動しなければいけない、とのことだ。

 やはり魔物の仕業なのだろうか。だが、それにしても昨日の魔物を見る限りそんなに危険そうには見えないんだがな……。まあ、知能が低い魔物は本能だけで生きているのだろう。誰か強力な魔物が統一すれば早い話ななんだがな……。

 って、それが魔王となったらダメか。



 悶々と考えていたのだがついに疲れて思考を止める。ひとつ息を吐いて頭を冷やすために窓を開ける。なんだか無性に体を動かしたい。この世界に来てから異様に力が有り余るように感じる。

 そうだ。街に本でも買いに行こう。幸い、買い物の時にもらったお金が余っている。1度ルルナに返そうとしたのだが自由に使ってください。と言ってお金をくれたのだ。せっかくなので街で本を買いに行こうと思う。



「あれ、レント様? どこかお出かけですか?」

「ん? ああ、ちょっと本を買いに行こうかと」

「それでしたら私もご一緒してもよろしいですか? ちょうど買い物がありまして」



 そんなことで俺とルビアで一緒に街に買い物に行くことになった。せっかくなので面白い本でも教えてもらおうと考えたが1つ心配なことがあった。



「やっぱり読めない……」



 そう、ここは異世界。故に文字が日本語とは限らないのだ。その文字は英語でもフランス語でもドイツ語でもない。恐らく地球上には存在しない文字ではないかと推測する。だが、それを考えるとなぜこの世界で使われている言葉はすべて日本語なのだろうか。色々な謎が飛び交うが今の俺にわかることはない。もしかしたら歴史が違うため、たまたま言葉は日本語で文字は全くの別物となってしまったのかもしれない。



「ねえ、ルビア。これって何語?」

「人類語ですがなにか支障でもありましたか?」

「……いや、元の世界と文字が異なるから文字が読めなくて……」

「そうでしたか。もしよければ文字を教えましょうか?」

「……お願いします」



 日本では文字を当たり前に使っていたので今更文字を教えてもらうとなると何故か気恥ずかしく感じる。まあ、この世界ではどうなのかはわからないが……。

 早速ルビアに文字を教えてもらうことになり、早急に屋敷に戻った。あまりルビアにも迷惑をかけられないので出来るだけ早く文字を覚えようと思う。



「これは――で、これが――です。よって――になるんです」



 正直言ってルビアのことをなめていた。俺が机に向かって勉強している。そしてルビアは俺の右斜め後ろで教えている。時々、俺の間違いを指摘してくれる。



「わかりましたか? それではここをやってみてください」

「うん」









「それでは今日はここまでに致しましょうか」



 ふう、やっと終わったか。時々、ルビアが教えてくれる時になんだか柔らかい感触がしたんだが気にしない方が懸命か。



「ありがとう。ルビア」

「いえ、お役に立てたなら良かったです」



 ルビアのおかげで少しは人類語がわかるようになった。本当にルビアには感謝しなくてはいけないな。と、勉強が終わった頃はもう日が暮れていて最近は時間が経つのが早く感じるようになった。

 夕食を食べ終わり、さっきの勉強の復習するためさっさと部屋に戻った。さあ、勉強しよう。と思ったのだがそれはベッドに座っていた『彼女』に阻止されることになった……。


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