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trip! -the special collaborations-  作者: 霧原菜穂、ジョン・ドウ、水成豊
6/18

【ジ】 fact ~後日談~ ※

この作品は、ボイスドラマ『HIROKANA』でヒロ(国枝浩隆)役・『エンコサイヨウ』で名杙統治役をお願いしているジョン・ドウさんに寄稿いただいたものです。

改めまして、素敵な作品をご提供いただきありがとうございました。



※作品をお読みになる前に、是非ともこちらのボイスドラマをお聞きください。

静かで大人な雰囲気の漂うモノローグ、本文への布石となる重要なドラマとなっています。

ジョンさんの素晴らしい演技はもちろん、ひたすら悩みまくる統治くんが堪能できますよー(非道)

ボイスドラマ『facter』(MQube)

https://mqube.net/play/20170925196571

「何か、お困りのようですね」

 背後からかけられるよく知った声。しかし――何か妙な違和感を感じ、後ろを振り返る。

「…雛菊ひなぎくさん!?」

「あらあら、驚かせちゃいましたか? すいません」

 相変わらずにこやかな表情でたたずむ雛菊さんの姿があった。

「雛菊さん…どうしてここに?」

「はい、先日興味深い事象がこのあたりで起こったものですから」

 やはり、何か知っているのだろうか。はやる気持ちを抑えつつ質問を続ける。

「興味深い事象…ですか?」

「異世界がこの世界と繋がったんです」

「………は?」

 まったく予想外な展開だった。……異世界? それは興味深いとかそんな簡単に済ませられる問題じゃないのではないだろうか。

「大丈夫なんですか? まさか世界が危機的な状況にあるなんてことは…」

「ご安心ください。一時的なことでしたし、いきなり世界がばらばらどっかーんなことにはなりませんから」

 どこまでもあっけらかんと答える彼女に安堵と苦笑しつつ、

「ばらばらどっかーんって…。では、取り立てて問題はない、と」

「そうですね。繋がること自体珍しいことなので」

「今回はなぜ繋がったんですか?」

「まだ詳しくはわかりませんが、統治さん、あなたにも一因があるようです」

「なんですって!?」

「先日、どなたかと出会いませんでした?」

 …やはり知っていたか。本当にこの人は底知れない。とすると、彼の正体も…?

「彼は、何者なんです?」

「あの人はただの普通の人です。パンピーですよ」

「……え? いや、ですが…」

「自分との『縁』は見えなかった、ですよね? そりゃそうです、あの人と統治さんは『縁』とは違う繋がりを持ってますから」

「『縁』とは違う繋がり…?」

「厳密に言うと繋がりともちょっと違うんですよね…何といいましょうか…その人を形作る要素の一つ…因子みたいなもの、それが同じなんです」

「俺と、彼とがですか」

「ええ。統治さんも似ていると感じたでしょう?」

「はい。とても他人とは思えませんでした…」

 素直な感想を口にした。…それにしても、気になる点が多すぎる。

「その…因子ですか、同じそれを持つ人が出会うとどうなるんですか?」

「別に何もありません。人によっては、疲れてしまうかもしれませんけど」

「…それだけ…ですか?」

「はい。さっきも言いましたが、同じ因子を持つ人が出会うこと自体が珍しくて、興味深いことなんですから。あ、あの日はお疲れになりませんでした?」

「いや、特には…興味深いというのは、雛菊さんが、ですか?」

「私もですけど…もっと高次元の存在が、ですかね」

「高次元の存在…?」

 話のスケールが爆発的に拡がった。雛菊さんの話でなければ到底信じる気にはなれない。いや、今でも信じがたいのだが、なんとか食らいついていこうとする。

「そのあたりのことは私もあんまり知らされてないんですよね…。とりあえず平たく言うと、おもしろいからやっちゃえーみたいなノリなんだそうですけど」

「…なんですかそれ」

 思わずため息が混じる。そんな得体の知れない存在の余暇に俺は付き合わされているのか。ここ数日の気苦労はなんだったんだ。

「ですから、そんなに深刻になる必要はありませんよ。今後、あなた以外の誰かが同じ因子を持つ人と出会うかも知れませんし。端から見ているとなかなか面白いですよ」

「興味深いというのはそういうことだったんですね…そりゃ事態を飲み込めていれば面白いでしょうけど…」

 ここまで言って、一つの疑問が湧いた。なぜ雛菊さんはこの因子のことを知っているのか。因子についてはもっと高次元の存在が関わっていることであって、雛菊さん自身は知らされていないと言った。…と、いうことは…?

「雛菊さん、ひょっとしてあなたも…?」

「それは、このあとの小説やボイスドラマに関わってくることなので秘密です♪」

「…ここまで必死に二次設定とか作ってメタな発言は控えてきたのに、最後の最後でひっくり返しますか」

「いいじゃないですか、楽しんだ者勝ちなんですから。では、私はこれで失礼しますね。」

雛菊さんはいたずらっぽく笑った。

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