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進展

物語の展開が早く感じると思いますが、ご了承下さい。

これから先、展開の間に加筆や修正をしていく予定ではあります。

楽しんでいただけたら嬉しいです。

謎の襲撃から三日が経過した。


ランキング戦で突如として起きたカオスの出現。

そのために必要な道具召喚剣コールの使用。

ランキング戦は中断。

学園は事後処理に明け暮れた。

三日も経てば学園内を落ち着いた空気が出始めている。

しかしその影響は大きく学園内では、学生を守るために生徒会議が動いて監視と警戒を強化して動いている。

学園内は今だに緊張状態にあった。


「張り詰めているな」

「呑気に言うな」

教室の様子を見ていたコクトの言葉にヒノは呆れる。


「でも、今の状況で平常運転なお前を見ていると、〝今〟がどれだけ平和なのかっていうのかを実感させられるぜ」

「実感しろ。実感しろ」

コクトはいつものように授業が始まるのを待っていた。

「?」

しかし、そんな時に気づいた。

自分から見て隣の四人目にいる彼女。ヘレネに。

今の彼女の表情は、いつも通りの表情をつくっていた。

しかし、コクトは彼女の瞳。目を見ていた。

彼女の目には、怒りの火が灯っているのを見たのだ。

コクトは彼女の様子を教師が来て授業を始めるまでの間気づかれないように見ているのだった。



「コールを使用した者の形跡は今のところは掴めない・・か」

レティスは手渡されたA4サイズの紙を見ていた。

使用されたコールの発生源の場所は特定できたが、やはり逃げられた後であった。

「それともう一つの件ね」

そう言ってもう一枚の紙に手を伸ばす。

紙に書いてあったのは闘技場での出来事についてだ。

闘技場はカオスの数が多かったために全員が避難してもぬけの殻になっていた。しかし、後になって闘技場を見ると、地面に右斜めに斬られたような跡が残っていたのだ。

カオスの仕業だとは考えられない。

レティスとしての心当たりは、あの時。

ゲートのむこうから聞こえてきたカオスの断末魔。

あの時、あの場で戦っていた何者かの仕業によるもの。


「どうしました。会長」

「フォークライト君」

自分の目の前にラックスがいた。


「例の闘技場での件ですね」

「ええ。そうよ」

「私が思うんですが、あれをやったのは実行した犯人の仕業でしょう」

「理由は」

「証拠隠滅のためにですよ」

ラックスは自信に言う。

「随分な自信ね」

「そうとしか考えられないからですよ」

その言葉にしばし沈黙していたレティスではあったが

「いい意見だったわ。ありがとうね」

「いえ。お役に立ててよかったです」

そう言ってラックスは部屋を出て行った。


(くそ。どうしてこうなった)

ラックスはさっきまで見せて笑みとは逆に苛立っていた。

それは計画の失敗が起きたためだ。

(一応は、疑いの目を向けさせてはいるが、彼女は)

レティス・ローネテンスは、普段はおっとりして、明るい性格ではいるが、一度神器を手にすると何十もの軍勢をも無双する戦士に変わる。さらに、頭も切れる。


(彼女は、要注意だ。場合によっては対峙する可能性が出る)

ラックスは思考を巡らしていく。

そして、今最もラックスが考えている事にシフトチェンジした。

エクラ・ポリデウスの抹殺。

本来は、あの闘技場で始末される予定だった。

しかし、予想以上の学園の動きと、エクラ達の底力、闘技場に出現した謎の人物の活躍。

イレギュラーの多さで計画は失敗に終わった。


(だが、手はないわけじゃない)

ラックスは、次の行動に移すべく連絡をとり始めた。



「ううーーーっ」

ヘレネは剣を構えながら唸っていた。

「ヘレネ。あなた、さっきから何を唸っているのです」

杖を構えていたアリシアが訪ねてきた。

「どうして。事件が解決しないのよ!!」

「また。それですか」

またか、とアリシアは思った。

「お兄様をあんな目に合わせた奴ら。まだ捕まらないの!!」

ヘレネは無意識に叫んでいた。

ヘレネは、ある意味ブラコンな所がある。それは、アリシアも認知している。

それが、憧れからくることも。

だが、友人としては、少しばかり心配な部分があった。

「こうなったら私が調べて。止めなさい。ヘレネ」

それをアリシアは止める。

「あなたは、実力と知恵があるけど、身内や知り合いになるとすぐに熱くなるところがありますわ」

アリシアはいつもの言い方で彼女を止める。

「でも」

「でももありませんわ。もし、あなたの行動であなたのお兄さんが危険になったらどうするんですか」

「そ、それだけは、やだぁ!?」

さっきとは一変して涙目になるヘレネ。

その様子は、我儘な子供をあやす母親の様。

「さ。雑談は終わりにしましょう。覚悟はよろしいですね」

杖を水平に構えるアリシア。

「いいわよ」

ヘレネもキリッとした表情になり、剣を構える。

今は授業中。

二人は、研鑽のために労力を訓練につぎ込むのであった。


「終わったわね」

「相変わらずなお手並みね」

「当たり前よ」

訓練を終えて廊下を歩いていた二人。

「ヘレネ」

「お兄様!」

そこにエクラがやってきた。

「すまないがシーランド嬢。席を外してほしいのだが」

「わかりました。では、ヘレネさん。後で」

アリシアは優雅に一礼してその場を後にしていった。

「お兄様。どうなさいました?」

「いや。丁度見かけたからさ」

「そうですか」

「最近。大丈夫かい」

「大丈夫とは?」

ヘレネは首を傾げる。

兄に心配されるような事をしただろうか。

「いやね。お前のクラスの人が、妹の様子がちょっとおかしいって言われたからね」

「そ、そんなこと!?」

慌てる彼女。それと同時に驚く。

教室では悟られないようにいつも通りの自分でいたはずなのに

(そんなにわかりやすかったの。私)

「お前のことだ。また、僕の事もあったから神経質になっているのだろう。自分で何かしようと思っているだろう」

「あ・・・・う・・」

口ごもってしまう。それは事実を言い当てられ、反論することができないためだ。


「ヘレネ。このさいだから言おう。今回の件。狙いは僕だろう」

「!」

兄の突然の言葉に驚いた。

「この前の闘技場での出来事。あれはどう見ても僕を狙っていた。犯人はまだ捕まっていない。だから、関係者であるお前にも危害が及ぶかもしれない」

「そんな!」

兄の言うことが信じられなかった。

「だからヘレネ。馬鹿な真似はしないでほしい。常に周囲を警戒しろ。市街地に行けば猶更だ」

兄が自分を射貫くように見てくる。

それが、逆に自分の立場が危ういことだと実感させられた。

「わかりました。お兄様。気を付けます」

「ごめんな。怖い思いをさせて」

「いえ。話してくださりありがとうございます」

「ありがとう。じゃあ。お昼の時間だし、シーランド嬢と合流してお昼にしようか」

「はい!」

ヘレネは満面な笑顔で答え、兄の手を握る。

そうして、兄と妹は仲良く手をつないで廊下を歩いてゆくのだった。


「?」

エクラは突然歩き止め、背後を振り返る。

「お兄様?」

「・・・・いや、なんでもないよ」

再び歩き出す。

背後には、食堂に向かう生徒でごった返していた。

しかし、エクラは感じていた。

自分達に向けてくる異様な殺気に。



夜。ラックスの部屋。

「おい。あれは準備はできているのか」

「ええ。準備は上場ですよ」

ラックスの問いに男は前と同じようにうやうやしく答える。

「しかし。大丈夫なのか」

「ええ。今回は、大丈夫ですよ」

「どうだかな」

「何。我々を信じて下さい」

「ふん。我々・・か」

こいつらは、得たいの知れなさがある。

しかしこいつらは父親が雇った者達。目的は不明だが、父親の話によれば突然接触してきたらしい。

得体が不明だが、莫大な財力とルートを持っている。

歒に回さない方がいい相手らしい。

使えるものは使うしかない。


「結構はいつに」

「それは俺がする。お前達はその時に動け」

ラックスはそう言うだけだった。そして、グラスに入ったワインを飲みほした。


「今のところ、動きはなしね」

「そうですね」

「気軽に言うけど。あなたは一応狙われているんでしょう」

レティスは目の前にエクラは

「大丈夫です。一応、今のところは」

苦笑した。


「それで、目星はついているの」

射ぬくように見てくるレティス。

全てを見透かすように見てくる視線。

「いえ。まだ」

しかしエクラはそう返答した。

「そう。残念ね」

レティスも追及せずにそのままにした。

「では、私はこれで」

エクラはそう言って部屋を出た。

その後ろ姿を見ていたレティス。

「無茶だけはしないでほしいわね」

小さく呟いた。


生徒会議室を出たエクラはそのまま街へと足を進めた。

エクラ達が通い、そして住んでいる学園。そこは大陸全ての国の少年、少女達が学びに来ている。ここには大陸の全てが一つになっている場所といっても過言ではない。そのために、街の通りでは様々な人種、文化が入り乱れている。


(ここは、世界が一つになった場所)

エクラはこの街の様子をいつもそう言葉にしていた。

何食わぬ様子で街を散策する。

そして暫く歩いていくうちに人気のない路地裏に出た。

「そろそろ出てきたらどうですか」

エクラだけの場所で彼は叫ぶ。


「へへ、やっぱり気づいていたか」

エクラの言葉が合図だったのか、ガラの悪い男達が続々と出てきた。

「私をつけて来ていたな。私が誰であるか知っててのことか」

「それは依頼者からの口止めだ。答えは聞けないな」

「そうか。それだけ十分な返答だ」

エクラは不敵な笑みを浮かべ、腰を落とす。

「おい。おい。街での神器の使用は禁止だぜ」

エクラの動きを見ていた男は言う。

「確かに我々、継承者は街での神器の解放、及び使用は校則で禁止されている」


エクラの言葉に男達は勝ち誇る。

学園で学ぶ継承者達は神器が使えるだけしか取り得のない存在だと思っている。

つまり、神器を使えない生徒はいい獲物。そう思っていた。

しかし


「お前達は、こう思っているだろう。この学園にいる生徒達は、神器を使う事しか取り得のない存在。校則に縛られた私達は、何もできない弱者だと」


ここで男達は知る事になった。


「舐めるな」

その言葉だけで場が緊迫した。


「神器に頼り過ぎなど、愚の骨頂。己の愚かさ、浅ましさに他ならない」

エクラは地を蹴った。

しかし、それに気づき、目で追えた者はこの場にはいなかった。

彼らからはエクラが突然消えて、自分達との距離を一気に近づいたように見えていただろう。


「な!?」

気づいた時には手遅れ、男はエクラのアッパーをまともに受け、沈黙。

その他の者達もエクラの素早い動きについて行けずに倒されていく。


「くそ!?」

一人だけ残ったリーダー格は仲間を見捨て、逃走した。

それを見送るエクラ。

「さて、案内を頼みますか」

エクラは男の後を追う。


男は外れた廃墟に辿り着く。

「くそ。聞いてないぞ。こんなの」

悪態をつく。

「よくやってくれた」

「!」

背後の声に男は振り返った。そこには仮面を着け、フードを被る男が二人いた。

「あ、あんた」

男は二人の出現に驚く。

音もなく現れる彼らはそんな男のことなど無視する。


「お、おい!言うとおりに襲ったぞ。約束の報酬をいただこうか」

「いいだろう」

「へへ、ありが・・・ぐっ!?」

一人が男に近づくと、一瞬の内に抜いた短剣で差し貫いた。

男は絶命。


「そろそろですよ」


「見つけたぞ」

エクラが廃墟に駆け込んできた。


「待っていましたよ。エクラ・ポリデウス」

「そうですよね。狙いは、私なんですから当然でしょう」

「気づいていたのですか」

「猿芝居は、そこまでにしてくれませんか。ラックス・フォークライト」

「・・・・・・やれやれ。気づいていましたか」

フードを脱ぐ。

現れたのはエクラが学園で何度も顔合わせしてきたラックス・フォークライトだった。

「何故こんな事を、と聞きたいとこですが、検討はついています」

「だろうな」

ラックスは逃れるわけでもなく認めた。


「ですが、何故今になって」

「お前達が国のトップにたつ事をよしとしない者達がいるんだよ」

「なるほど。それが、隣の方ですか」

今だにフードを被り、顔を隠す者を指差す。


「その通りですよ」

「だが、そんな事は、国を、いや、大陸を混乱に落とすことになるぞ」

エクラの国は、大陸でも五大大国の一つと位置付けられる国。ここで、トップが突然の鞍替えした日には、混乱は確定だ。


「ご安心を、それくらいなど、いくらでも黙らせることなどできますよ」

フードの男はそう言ってフードを脱いだ。

フードの下からでてきたのは、ラックスより背が高い、少し痩せた中年の男だった。


「お前は」

「名乗るのが、遅れてしまい申し訳ございません。私の名は、ダイル。この者の依頼を遂行する者です」

恭しく一礼。

「できるな」

先ほどからの動きを見ていて悟る。こいつは、できる、と。


「これは、光栄ですな。学園最強と名高いあなたに評価されるなど」

「よく言う」

「エクラ。お前の終わりだ」

「フォークライトさん。あなたは、こんな事をしていいと思っているのですか」

「なんだ。甘っちょろい説得か」


エクラは、会話を交える間、徐々にではあるが二人との距離を縮ませる。


「共和国の王子殿も人が悪い。すぐにでも、我々を倒そうと動いていらっしゃる」

「それは、当然だと思うけど」

「しかし。あなた一人で、何ができますかな?この状況から!?」


ダイルが懐から取り出した物を地面に叩きつける。

地面に何かが刺さる。

それは、短剣だ。しかも、黒く、禍々しい装飾の施された短剣だ。

そして、刺さった場所が中心となり、魔法陣が展開されていく。


「それは」

エクラの脳裏にランキング戦で起きた現象が映る。


「そう。コールですよ。一度見ているでしょう」

得意げに言うダイルを見るエクラ。

しかし、カオスが魔法陣から出現して二人とエクラを分断するように立ちはだかった。


「さあ。舞ってもらいましょうか。あなたの最後の舞いを!」



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