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話し合い

楽しんでいただけたら嬉しいです。

「被害はどうですの」

アリシアの重い言葉が口から出る。


「はい。穀物類の三割をやられ、陶磁器類が盗難、及び破壊されました」

船員の言葉に険しい表情を浮かべる。


思っていた以上の被害ね。


「それでもこれまでの被害に比べれば軽微ですよ。お嬢様」

アリシアの表情を察してかフォローする船員。


これまで襲撃を受けた時の被害は今回の比較にはならなかった。

陶磁器類は全て壊され、商品の穀物、香辛料は盗まれていた。

「それで、他には?」

「はい。海賊に立ち向かい、負傷した船員が数人が最後です」

「そうですか」

アリシアはホッと胸を撫で下ろす。

あれだけの戦闘があったが死傷者がいなかった。


「アリシアさん。大丈夫?」

「大丈夫です。ありがとうございます。レティスさん」

レティスの言葉にアリシアは礼を言う。


「大丈夫。アリシア」

ヘレネは心配する。アリシアの表情が優れていないのが見てとれたためだ。

「大丈夫ですわ。と言いたいところですが、そう強く言える状態ではありませんわ」

彼女は精神的に疲労していた。

「シーランド嬢。あなたは先に休んでいた方がいい。この中であなたが一番休憩が必要だ。ヘレネ。頼んだよ」

エクラがヘレネを促し、彼女もそれに気づき、アリシアを連れて部屋を出ていった。


「それで、エクラ君。あいつらから何か聞き出せたの」

本題とばかりにレティスはエクラに聞いた。

「金品目的もありました。しかし、もう一つの理由も語りましたよ」

「もう一つの目的?」

「頼まれたらしいです。この船を襲うようにと」

「何ですって!?」

「つまり、誰かが貿易の妨害をしているというの、でもどうして」

「貿易をされると困る人達がいるのでしょう」

室内に重い空気が漂う。


「でも、そんな事をして何を」

「私達の学院は、シーランド商会が貿易を賄っている。

学院は、各国が管理する場所で、そこに隣接する町のほとんどがシーランド商会の影響がある。

もしシーランド商会に何かあれば、経済的な痛手となる。

継承者を独占、もしくはよく思わない勢力にとっては喜ばしいことだろう。


「困ったわね。ただでさえフォークライト君の件でもピリピリしているのに」

前途多難ね、レティスは呟く。

「それより、彼は大丈夫なの?」

「彼とは」

「逃げ足君よ。逃げ足君。彼のお陰で積み荷の被害を最小にできたんだから」

「無我夢中だったみたいで怪我をしているのにきづいて暴れていましたよ」

「それにしても彼の臆病が今回の功労者ね」

「そうですね」

エクラは彼女の言葉に苦笑するしかなかった。


「逃げ足君・・か。語呂がいいな」

「二つ名というよりは、あだ名ですね」

「それで、誤魔化せたか」

「はい。義兄上は、治療を受けていますと言っておきました。今ここにいるのは、私と義兄上だけです」

二人がいるのは、エクラの部屋。

畳二畳程度の広さしかないが。


「エクラ。あの話はしたのか」

「いえ。あの状況で言えば、皆がパンクしてしまいます」

エクラは、コクトが報告した情報でレティスにも言っていない情報を持っていた。

「神威使いがいるのですか」

「ああ。それもなかなかの実力だ。総合的な面でもランキング上位には入れるかもしれない」

「それは、」

それでは、学院のランキング上位者しか手におえないということだ。


「ですが、どうしてそんな奴が海賊に」

「堕落して、悪に走ったか、金で雇われた用心棒か、だが、」

「だが・」

「あいつはどう見ても裏工作を専門とする奴っぽかったな」

コクトは戦ってみていてそう思った。

近接格闘が得意で背後に回るのが、特に多く、手慣れていたように見受けた。


「あれは、海賊じゃない」

「ということは、」

「誰かが、糸を引いてる。海賊行為の裏で何かが動いている」

コクトの推理にエクラの表情は険しくなる。

コクトの推理が正しければ一大事なことだからだ。


「エクラ。貿易する港ではどんな予定だ」

「シーランド商会が手配した宿で過ごし、英気を養うために自由時間があります」

「お前は、ヘレネとシーランド嬢のところにいてくれ。今回の鍵はシーランド商会だ。彼女が狙われる可能性が大きい。頼んだぞ」

「義兄上は」

「俺も俺なりに動くさ」

「わかりました」

「ところでさ。目的の港町って何がうまいんだ?」

「そうですね。港町ですので海鮮類はほとんど、て、何言わせているんですか」

「ははははっ」

「調べると乗じて屋台巡りなんてしませんですよね」

「安心しろ。土産は買っておく」

「義兄上!!」


コクトの返事にエクラは叫んだのだった。


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