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結末

戦闘部分を加筆しました。

さらにダイルの持つ武器に関しても詳しく書きました。


楽しんでいただけたら嬉しいです。

「本気でいかせてもらうぞ」

自らの神器ムラマサを構えたフードの男。

その姿はダイルに勝るとも劣らない神威を纏っていた。

「っ」

これにダイルは戦慄を隠せなかった。

(汗!?俺は、怯えているのか!?)

額から流れる汗を拭った。

男に気圧されたのは彼だけではなかった。


「何なの!?この強大な神威は・・・」

ヘレネだった。自分にむけられていないとはいえその余波だけでも充分に影響を与えていたからだ。


「どうした?怖じけずいたのか」

挑発的な口調で男はダイルに語り掛ける。

「黙れっ」

ダイルは地を蹴り、両手斧オークを振りかぶる。

「ふぇっ!!」

ヘレネはいきなり男にお姫様だっこをされ、すっとんきょうな声をあげてしまった。

しかし。反論する暇はなかった。

迫る凶刃。息を飲む。自分の視界がぶれた。

視界が正常に戻った時にはダイルの背後で数メートル離れた位置にいた。

「え!!えっ。一体!!」

ヘレネは頭が混乱ししどろもどろになってしまう。


「早いな」

振り返るダイルはオークを肩に担ぐ。


「ちょ。ちょっと!?早く、おろ・・・し・・な」

ヘレネは自分を担ぐ男にむかって叫んだ。だが、その声は最後には掠れていった。

男にお姫様だっこされたために男の顔を下から間近で見ることができた。しかし。そこで彼女が見たものは衝撃的なものであった。


「あ、あんたは!?」

ヘレネの声には驚愕が交じる。

それほどにヘレネが見たフードの下にある事実は衝撃的なものだった。

「静かに」

しかし。ヘレネの声は男に防がれた。

そして再びヘレネの視界はぶれた。次には廃墟の入り口にいた。

「ここにいろ」

男はヘレネを下ろした。

ヘレネは様々な出来事の衝撃でその場にへたりこんでしまう。

「大丈夫だ。すぐに終わらせる」

男はヘレネに優しく言葉を掛ける。そして踵を返し廃墟の中に戻ろうとした。

「待って!」

ヘレネは男を呼び止めた。

「あなたは、何者なの」

問い掛けるその言葉は今の彼女の全ての気持ちが込められていた。

「一言で言えば。俺はお前達の剣であり、影。そう思えばいい」

男はそう言っただけで廃墟へと戻っていった。


ところ変わって廃墟の西側。

「はぁ!」

「は!」

互いの聖剣がぶつかり、火花を散らす。さらに神威の衝突も加わり、周りに及ぶ衝撃は大きい。


「!」

ここにきてエクラは感じ取った。顔をさっきまで自分達がいた廃墟の方へ向ける。


「余所見とは余裕だな!」

ラックスがカリバーンを振りかぶってきた。

エクラはそれを後方へと跳躍して回避。


「どうした?向こうのあの男が心配か」

「心配?何を寝惚けたことを言っている」

「なんだと」

「私ごときがあの人の心配をするなどおこがましいこと。まあ。私情では心配でしょうがないがな」

「随分とあの男を買っているんだな」

「ええ。買っていますよ」

「しかし。さっきから感じるこの強大な神威はなんだ?ダイルか」

「違うな」

エクラはバッサリと否定した。

「しかし。お前は良かったな」

「何がだ?」

「相手がこの私で」

「当然だ。お前は俺が殺すんだからな」

「そういう意味で言ったわけではない」

ここに来てラックスはエクラの言葉に首をかしげた。

「どういう意味だ」

「お前の相手があの人だったならそうやってお喋りをしていることがないからさ」

エクスカリバーの切っ先をむけ、地を蹴る。そして強烈な一撃を振るった。

ラックスは耐えきれずに後ろへと飛ばされた。


(あの人も動いた。こっちもカタを着けよう)

エクスカリバーを水平に構える。ラックスを見定める。


「終わらせよう。ラックス・フォークライト」

「なんだと」

「君の敗けだ」

「勝負は・・」

「着いたさ」

切り捨てる。ラックスの言葉を。

そして、エクラは地を蹴った。

ラックスは神威を込めた一刀を振るう。タイミングはばっちりだった。

だが、彼の一撃はエクラの一刀に防がれ、弾かれた。そして彼の目に入ったのは、正面から飛んでくる幾千もの光の一筋が自らを貫いていく光景だった。


「神滅一双流 白ノ型 白雷千雨(はくらいせんう)

それを聞いたのを最後にラックスの意識は遠のいていった。


廃墟内部。ダイルとフードの男が剣を交えていた。

「だぁ!」

ダイルの横凪をバックステップで回避する。

「ちょこまかと」

男の行動にダイルは舌打ちする。


「その手にあるのは、飾りか」

ムラマサを差す。

しかし。男は無言を通す。

「だんまりか。まあいい。ここで死ぬ奴に関係ないことだよな」

「・・・・?」

男がここで視線を外した。

ダイルはチャンスと思い、オークを振りかぶり、下ろす。

男は、初めて、ムラマサでそれを受け止めた。

ムラマサで受けた男は後方へと飛ばされた。

壁にぶつかる。

ヘレネは思った。

しかし。男は体を動かし、壁に着地。それに音はなく、静かなものだった。

そして壁を蹴り、壁を蹴った勢いを乗せた一撃をダイルに振った。

神器同士がぶつかり合う。

「ぐ、」

今度はダイルが飛ばされる番となった。

一気に振られ、ダイルは壁に激突。

「くそッ」

瓦礫を退かし立ち上がる。

「だったら。こうしてやる。犯せ!オーク!!」

オークの刃に神威が集まる。

それは周囲に漂う神威までも刃に集まっていた。

その現象は周囲に影響が出始めていた。


(神威が吸われている)

男は自分の神威が少しではあるが削られていくのを感じた。

さらに。

「う・・・・く・・気持ち・・悪い」

外に逃がしたヘレネが青い顔をして、苦しんでいるのが目に入った。

「そうか。それがその悪器の能力か」

「そうさ。神威の吸収。それがこのオークの能力だ」

神威の吸収。

これで納得がいく。

自分、周囲の神威が吸われ、ヘレネが青い顔をして気分が悪くなっている。

ヘレネの場合は、自分の神威が限界まで吸われて起きた神威枯渇。

神威枯渇に陥ると気分が悪くなり、乗り物酔いのような症状を起こすのだ。


「なるほど。どうりで彼女達二人がやられたわけだ」

学院でも上位にいる二人を捕らえる。しかも無傷は難しい難題だ。

それを可能にしたのはオークの能力によって起きた神威枯渇だったのだろう。


「お前の神威も残らず吸い尽くしてやる」

ダイルの手に力がこもる。

「それは、どうかな」

男は不敵な笑みを浮かべ

「ハアアアアアアアアーーーッ!!」

自らの神威を高めた。

その莫大な神威にダイルは驚愕した。

(す、吸い尽くせねぇ!?)

そしてビキビキとヒビ割れる音がなった。

オークの刃にヒビが入ったのだ。

「どうやら。腹一杯のようだな」

「クソォ!!」

怒号を放ちダイルが上段に構え向かっていく。


だが、それは一瞬のことだった。

男がムラマサを持つ手の力を抜いてオークを受け流したのだ。

オークは地面を叩き、クレーターを作り出す。

しかし。ここに来てダイルに大きな隙ができた。

「何!?」

これを男は見逃さない。

ここに男が動く。抜刀の構えをして、地を蹴る。ダイルとのすれ違い様に抜刀。


一筋の線が描かれる。


「ば、ばかな、」

ダイルは、たったの一撃で意識を失い、崩れていった。


「飾りじゃないさ。〝こいつ〟はな」

ムラマサを鞘に納める。


「後始末は頼むぞ。弟」

そう言い残し、男は廃墟から姿を消した。


ラックス・フォークライトの起こした事件はこうして静かに幕を下ろしたのだった。



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