プロローグ
東京都某所。
寝静まらない夜のネオン街を歩く1人の男がいた。
橘 翔。
都立高山高等学校に通う2年生。黒髪のショート。成績は中の下、体力は人並みとごくごく普通な男子高生である。
しかしそんな彼にも普通ではないところがある。
「しかし、こんな時間に呼びたしとは…。何考えてんだあいつ。」
橘 は気だるそうに頭をかきながら歩いていた。
現在午前0時を回ったところである。しかし歩く街並みはギラギラと光る店の看板で埋め尽くされ、酔っ払ったサラリーマンやキャッチで賑わっていた。
「ここか。」
橘 は足を止め眩しく光る看板を見上げる。
店の名前は『エリーザ』。
どうやらキャバクラらしい。
「制服で来なくてよかった…。」
未成年なので店先で突っ返されるかもしれないと内心ドキドキだったが、店員はすんなりと通してくれた。
「やぁ 橘 君。ごめんね。こんな時間に呼び出して。」
通された場所はVIP席。
そこには両手に華で踏ん反り返って座っている1人の中年男性がいた。
東山 誠治。
この街では少し有名な男である。
「本当にいい迷惑だよ。しかもこんな店に呼び出しとは。いい加減にしてくれよ 東山 。」
橘 は大きくため息をついた。
「まぁまぁ。ここは一応僕の根城の一つでね。都合が良かったんだ。取り敢えず座って座って。」
東山 に反省の色はなく、隣の女の子とイチャつく始末。橘 は少し距離をおいて座った。
「んで、話って何だよ。また"仕事"か?」
橘 は問う。
「まぁそんなところ。最近この辺で暴れまわってるエセギャング集団がいてね。とりあえず軽く潰して来てもらいたいんだ。」
東山 が軽く答えると 橘 は再びため息をついた。
「軽く…ね。何て集団なんだ?」
「『ハイエナ』っていう5、60人ぐらいの集団だよ。左肩に"喰"って刺青が入ってるのが特徴ね。」
隣の女の子の左肩をさすりながら 東山 は話す。
「5、60人か、多いな。」
橘 は呆れたように呟き、席を立つ。
「まぁ 橘 君ならやれるでしょ。なんせ"血の双弾"だもんね。」
東山 はケラケラと笑いながら話す。
そんな中年オヤジを横目に 橘 はエリーゼを出た。
「この辺でギャングがいそうな場所といえば…あそこか。」
橘 はネオンで眩しい街を再び歩き出した。
はじめまして。
芦屋 たいちと申します。
今回から初連載ということで、至らぬことが多々あるかと思いますか、よろしくお願いします。
今回の作品は一応よくあるバトル物ですね。
如何せん初執筆だったもので、上手く描写の表現ができませんでした。
さて次はギャングのアジトへ橘が乗り込みます。
乞うご期待!