プロジェクト III 香港
「あっ・・おい!やめろ!!」
「やめろって言われてやめるばか、どこにいる?」
「ふっなかなか入ってるね、お・じ・さん」
「やめろっ・・・お・・俺は観光客なんだ!!」
「だから?それにあんたしつこいよ・・やめろやめろと。」
「おい小僧!・・・こんなことしたら立派な犯罪なんだぞ!」
「ご忠告ありがと、これはもらっとくよ」
「ま・・・まて・・せめてその写真だけは返してくれ!大事な・・・娘の写真なんだ・・・」
「あん?あぁ、これ?くだらねぇもんに固執しやがって。」
「お願いだ!その金は全部やる!!だから・・・」
「そんなに大事なの?また撮ればいいじゃん・・・」
「離婚したんだ・・・」
「ほらよ。」
「・・・え?」
「なんだよ・・・」
「諦めてた・・・・。」
「・・・う〜ん・・なんか金奪いにくい相手だな・・・」
「なら返しなさい。この国の経済格差がひどいことは知っているから警察にも黙っててやる。」
「んじゃ、寄付ってことで、おっさん日本に帰るのにいくらかかんの?」
「そのチケットとタクシー代があれば帰れる。」
「へ〜、ありがと。」
「ん!?」
「俺、日本行くわ。」
「まて!?おい!!」
「あ、情報料としてこれやるよ!」
「・・・死ね!!!くそがき!!!」
「日本でまた今度。」
中年男性の手には、500円玉が一枚、握られていた。
「・・・どうすりゃいいんだよ・・・・」
フニャーーーーーー!?!?ガガーッ・・・ゲ八っ・・・
「何だ!?」
「・・・・・猫か・・・死んでる。」
(って何独り言言ってるんだ。・・・今死んだのか?・・・不気味な死に方だ・・・)
モゾッ・・・・
「わっ!?」
(・・・まだ生きてたのか・・・!?!?)
ブチッ・・・ブチブチブチッ・・・・・
(な・・・なんだ!?)
猫の死体の胸板あたりの皮膚がもぞもぞとうごめく。
プッシュッ
「うっ」
中年男性の顔に猫の血が飛んだ。だが、男の目は一点に集中している。
・・・・キィーーア!
「!?」
(と・・鳥!?だが・・・なぜ鳥が猫の体から・・・食べられた鳥か?・・いや、猫は丸呑みして食べることは不可能だ・・・このサイズの鳥ならなおさらだ・・なぜ・・)
鳥は首をかしげた。そして、瞬間的に消えた。
「うっ・・・ぐぁあああ!!!!」
(・・・寄生鳥か!?だがそんなもの・・・うっぐぁぁぁぁあ!!)
・・・・・ゲ八ッ・・・
(・・・俺は死ぬのか・・・・・?・・・胸が・・・心臓が・・グアァッ・・・ヌゥゥウ!?
アァァァァァ!!!・・・)
ブチッ・・・・・キィーアッ・・
鳥は、くちばしに真紅の直径5ミリほどの管をくわえていた。
そして、毛づくろいを一通り終えると、路地裏の闇の方へ消えた。
ククククククッ・・・キィーーーアッ・・・
羽音はまさにハチであった。
・・・スタッスタッスタッ
チッ・・・マタニガシタ・・・・・・アッチカ。
スタッスタッスタッスタッ・・・・・・