第三章 迫り来る闇
「ゲーム?」
「ええ、そうです。向こうの世界へと行った時、簡単なゲームさせていただきます。」
「簡単なの?」
「ええ、簡単です。ただ…「生き残れば」よいのですから。
アリス様、お好きでしょう?こういう類のものは。」
白兎の口はいっそう引きつる。
どうも変な感じのする男だ、とアリスは思いました。
白兎の不気味な笑顔に恐怖さえ感じたのです。
「もう一度聞くわ。貴方は一体何なの。」
「ではもう一度お答えします。
私は不思議の国からやってきた白兎…シロウサギです。
アリス様を不思議の国へと招待するシロウサギなのです。」
「役目、とはそのこと?」
「いいえ、違います。それとは関係ございません。」
白兎がまた喉で笑った。
暗い道でくっくっくっ…と聞こえてくるのはすごく不気味であろう。
アリスは呆れてまた歩き出しました。
「おっと…アリス様。道を知らないでしょう。
ご案内させていただきます。」
「そうしてくれるかしら。」
アリスはためいきをつきながら言いました。
白兎は「わかりました、アリス様。」と言って前方を歩き始めました。
アリスは白兎の後ろを歩きました。
歩きながらアリスは白兎の揺れ動く耳を見つめていました。
先程白兎は「シロウサギ」と言っていたが
本当にうさぎなのだろうか…そう思っていました。
そして最大の疑問…
「うさぎって人間の姿をしてるの?」
アリスの唐突な問いに白兎は驚いた表情をしていました。
そしてまた笑い出しました。
…この人は笑ってばかりいるけど変なものでも食べたのだろうか…
「アリス様、うさぎが人間の姿をしているのではありません。
私がうさぎの姿をしているのです。」
「訳がわからないわ。」
「いいですよ、そのうちわかります。」
謎の多き男だ。
謎というか、訳のわからない男だ。
何を考えているのかもわからない。
こういろいろと考えながらひたすら歩いているが
いつになったら着くのだろうか…
その「穴」とやらに…。
白兎はアリスの前方を歩きつづける。
「…いつになったら「穴」に着くの?」
「もうすぐですよ。」
そう言って白兎は歩いて行く。
アリスはふと今まで歩いてきた道を見ました。
「何も見えない…。」
「何ですか?アリス様。」
「今まで来た道が…無いのよ。暗くて見えないのかしら。」
「早く…行きましょうか。」
白兎の表情から笑顔が消えた。
アリスには何が起こっているのかわかりませんでした。
でも、自分の歩いた道が暗闇に包まれていくのがわかりました。
「何よこれ…。」
「止まらないでください。飲み込まれますよ。」
白兎の声には厳しさが感じられた。
アリスは足早に白兎の後をついていった。
「…アリス様、もう少し速く行けますか?」
「ええ。」
そう言ってアリスは足を速めた。
だが何かに足をからめとられたように躓いた。
「あっ…。」
アリスが転ぶ瞬間後ろから迫りくる「闇」はすぐ足元にまで来ていた。
「アリス様!」
聞こえたのは白兎がアリスを呼ぶ声だけだった。
「白兎 」
アリスは闇に飲み込まれました。
「白兎」とアリスが初めて呼んだ声は
暗闇に消えました。
実はこれが
独房ゲームの始まりなのです。
書きました、第三章。
そしてつかれました。
書こう!と思うと一日で終わらせちゃうタイプなんで…。
今回はまだ歩いてる場面ですね。
この後から書いてる側としてもおもしろくなりそうです。
読む側としてはどうかわかりませんが…
でも楽しみにしていただけるとうれしいです。