第十八章 入り口
アリスとファドは賑やかな街の中で周りを見渡しながら歩いている。
「ところでアリスの師匠は誰なの?」
「私の…師匠?」
「いないの?」
「いや、いる。リンって名前だったと思う。でも…」
「でも?」
「消えた。」
アリスは空を見上げた。
その目には何が写っているのかファドにはわからなかった。
「突然、消えた。連絡もよこさなくなった。私しか宛てがないはずなのに。」
「そのリンってどんな奴?」
「…どんな奴…金髪で腰まであって、瞳は…蒼い、綺麗な女性。」
「それが…リン?」
ファドは口を半開きにしてアリスを見つめた。
今ファドの目の前にいるのは、
金髪で腰まであり、瞳は蒼い、綺麗な女性だ。
「あんたが、リン?」
「何を言ってるの、リンは私の師匠よ。」
「だってアリスと外見まったく一緒じゃないか!何、それは姉か何かなの?!」
「違うわ!赤の他人よ。それに外見まったくって、私綺麗なわけ無いじゃない!」
「綺麗だって!」
そんな言い争いが進む中、日が落ち始めていた。
「アリス、今日は止めておこう。人探しも暗かったらわからないよ。
それに、暗い道を歩く方が危ない。いつ誰が僕らを狙っているかわからないし。」
「そうね…あっ!もしかしたら最初に白兎と一緒にいた建物の中にいるかも。
行ってみよう、ファド。こっちの路地から行った方が近いかもしれない…。」
アリスはそう言って暗い路地の中を進んだ。
「待てよ、一人は危ない…。」
ファドはアリスの前方にいる斧を持った男を見て息を呑んだ。
「アリス…!」
アリスには前方の男が見えていなかったのか、
え?と首を傾げながらファドの方を振り返った。
その瞬間アリスに斧が振り下げられた。
アリスはそれに気づき、宙返りして後ろへ後退した。
「な、何こいつ…?!」
アリスの前方にいたのは身長3メートルあるのでは?と言うほどの巨体の男だった。
男の手には体のサイズに合うくらいの大きな斧。
何故この男がこの路地に入れたのだろうかというくらいの狭さなのに、
男は平然としていた。
「女の子にいきなりかかってくるなんてちょっと礼儀がないんじゃない?」
「………。」
「ちょっと。何か言いなさいよこの巨体野郎。」
「………。」
「?」
アリスは片眉をあげた。
この男は何も反応しない。
アリスがナイフを持つと男は口を開いた。
「貴様、クリストの命令、殺す。」
アリスが聞き返そうとした時男はその巨体で走ってきた。
「きゃー!来ないでよ!その体で!脂ぎってそうで嫌ー!!」
「アリス!そんなこと言ってる場合か!逃げるぞ!」
ファドの声を聞き、アリスはファドの方に向き直った。
そして走り出す。
街中へ入ると男は追ってこないと思っていたが、
男は街中へと入り、人込みを掻き分けて2人に近づいてきた。
「もっと遠くに…」
「わかってる。」
「アリスもっと早く!」
「わかってる!」
アリス達はすぐ横の路地へと入った。
路地は何故かとても長くて遠くに光が見えた。
2人は路地を出た。
出たそこは…
「何この迷路。」
唖然としているアリスに後ろから先程の男が斧を振り下ろそうとしていた。
「アリス…!!」
アリスはその男の気配に気づかないでいた。
少ししてから自分の頭上を風を切る音がして、ふと振り向いた。
あ、死ぬ。
アリスはビタッと動きが止まった。
だが、男もそれと同時に止まった。
斧はアリスの鼻先すれすれだ。
「おい、脂ぎった巨体のおっさんが…なーに人のお姫様に危害加えようとしてんの?」
巨体の肩に足を乗せ、若い男が座っていた。
夜のはずなのに太陽が出ていて、逆光のせいでその若い男の顔が見えなかった。
「お前、は、誰、だ。」
「俺?俺は…お前を死に誘う死神さ。」
と言ってその男は銃を男のこめかみにつけ、引き金をひいた。
バンッ…
男は倒れた。
その肩に乗っていた若い男はくるりと宙で身を翻し、着地した。
「やぁやぁ、お姫様。お怪我は?」
「あんたは…。」
「おや、この顔をお忘れで?」
戦闘シーン…これでいいのだろうか。
ま、いっか!自己満足できれば♪(おい
たぶん(?)次から独房ゲームの大部分が…
わかるのだろうか。
まぁ迷路に入ったことだし。
って言っても読者には何もわかんないって。
では、どうか次章も楽しみにしていてください。