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三つ巴戦になるとこやったんや!

作者: 天音空
掲載日:2026/10/08

久しぶりにファミレス行った時のことや。


店員が「二人用のテーブルならすぐご案内できます」言いよった。

ワシらは「ええで」と言うて、そのまま案内してもろた。


ワシが壁側の長椅子、知人が廊下側の椅子に座ったんや。


夕飯を一通り食べ終えた頃や。

ガタガタ……誰かがワシの椅子を揺らしよる。


子どもか?


めちゃくちゃ揺らしとるな。


そう思って仕切り越しに隣を見たら――

おっさんと目ぇ合うた。


おっさんの目も「誰が揺らしとるんや」いう目しとる。

ワシが白やと思ったらしい。


「……あっ、どうも」


おっさん、会釈しよった。


ワシも「……あっ、どうも」


会釈返した。


その瞬間、誰かが小声で「地震や」言いよった。

天井見たらシャンデリア揺れとる。

廊下の方では子ども二人がテーブルの下に避難しとる。


どうやら他所の県で地震が起きたらしい。

ケガ人出てへんかったらええな……そう思うた。


――せやけど、不思議やな地震の揺れって。


店全体を揺らして、

因果の理を超えて、

なぜかワシの腹を直撃しよった。


「うっ……」


静かなボディーブロー


あかん……トイレいこ……


この前の試験の時に懲りとるからな……


「ちょっとトイレ行ってくる」


そう言うて席を立ったら、遠くのおっさんも立ったんや。


ワシ、トイレ一歩手前でおっさんと目が合う。

二人同時に会釈や。

なんやこの“同志”みたいな空気。


頼む……小であってくれ……


そう願いながら見とったら、

おっさん、そのまま大に吸い込まれていった。


大か……


しゃあない、戻るか……


席に戻ったら知人が言う。


「どないしたん。早かったな」


「大しよう思たら先客おったんや」

そう言いながら、おっさんが出てくるのを待つ。


そして、トイレに入る。


――ワシ、固まった。


便器が……

“無念の顔”しとる。


おっさんの魂が成仏しとらんやないけ!


確かにワシが確認したとき、出てきたんはあのおっさんだけや。

だから、これは……おっさんのや。

間違いあらへん。


なんやろな。


さっきまで“同志”みたいな空気やったのに、


一気に他人になった。


もしかして、さっきの地震で流れんようになったんか……?


ワシの次に入る人、

「流れません」言うて二人分は可哀そうや……

いや、その人の分も足したら三人分や!


巻き込むにもほどがあるで……


でも、もし流れんかったらワシが店員に言わなあかん。

そしたら店員はワシが詰まらせたと思うかもしれへん。

そのときは、ワシが被らなあかんかな……


と、考えたの0.001秒。


「うっ!!」


腹に強烈な右ストレート。

腹が「出すか、出るか、どっちかにせんかい!」いう顔しとる。


ワシ、トイレを流してみた。


――普通に流れるやないけ。


安心したで。


そして、出すもん出して席に戻る。


「お腹、大丈夫ですか?」

知人が聞く。


「うん、スッキリしたで」


でも……思うんよ。


トイレは“流して確認するまで”がトイレや。



―了―

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