4
北の世界の中央にエルドラド帝国があり、その北方にルドース王国。北の海の島にアイギス王国。西方にアカストネロス聖国。
そして、エルドラド帝国の南方の内海に接している土地に、オミュロス教国があり、東方にアイルロシエ王国がある。
ルドース王国の若き国王となったフィスカ・アスはエルドラド帝国に宣戦布告なしに、奇襲をして、戦争を始めた。
その戦争の理由は、帝国がほかの王国に対して、あきらかな支配をしている、ということを主張し、その解放のための戦争であるといった。
そのフィスカの主張に賛同する人々も少なくはなかった。
エルドラド帝国は、南のオルドラド帝国と激しい戦争を続けていた。その戦争は前皇帝が死去したことで、停戦となったが、そのために北の世界は多くの犠牲を払い、そして疲弊をしていた。
フィスカのことを英雄と呼ぶ人々がいて、せっかく南のオルドラド帝国との戦争が終わったばかりだというのに、また戦争を始めた魔王と呼ぶ人々もいた。
ルドースには同盟国があり、アカストネロス聖国はルドース王国ととにも、エルドラド帝国に宣戦布告をした。
そして、ルドース、アカストネロス同盟軍は、奇襲にとり、エルドラド帝国の帝都を落として、そして同時にエルドラド帝国の同盟国である、北の海に浮かんでいる島国のアイギス王国を占領した。
セラムはアイギス王国をルドースが攻めているときに、祖国を離れて、アイギスの王女、フィナを連れて、燃えるアイギス城を脱出して、ここ、東方にあるアイルロシエ王国まで、逃げ出してきたのだった。
セラムはフィナと一緒にアイルロシエのお城にいく。
そこには、アイルロシエの王であるシエルと、その妹である王女ファミルがいた。
そして、もう一人。
セラム。フィナと一緒に、アイギスから逃げ出したアイギスの天才剣士。アクアムがいる。
アクアムは王の間にやってきたセラムとフィナをみて、優しい顔をして、ちいさく微笑んだ。