2 大世界戦争の始まり
大世界戦争の始まり
あなたのことなんて、信じられるわけないじゃない!!
はっとセラムは夢から目覚めた。
とても穏やかな朝だった。
ここはどこだろう?
一瞬、そんなこともわからなくなってしまう。
自分がどこにいて、なにをしようとしていて、誰なのかも。
わからなくなってしまうことがあった。
しばらくの間、セラムはベットの上で横になったままでいる。
するとばたばたと足音がして、ドアが開いた。
「あ、セラム。起きてたんだ」
と開いたドアから顔を出した少女が言った。
とても美しい少女だ。
年齢はセラムと同じ十六歳。
黄金色の長い髪をしている少女の名前はフィナと言った。
フィナ・ラダ。
北の帝国、エルドラド帝国の同盟国である剣の王国。
アイギスの王女。
祖国であるルドース王国を裏切って、エルドラド帝国に亡命したセラムと一緒にルドースに武力によって支配されたアイギス王国から逃げ出した亡国の王女である。
「セラム。みんなもう集まってるよ。早く行こう」とフィナは言う。
「うん。わかった」と言って、セラムはお城にいく準備を始めた。
セラム・アス。
ルドース王国の若き王、兄、フィスカ・アスの実弟であり、兄の思想と行動に逆らって、国を抜け出したルドース王家の血を引くもの。
十六歳の若い少年は、今、大陸の東の端にある東方と呼ばれる王国。
アイルロシエと呼ばれる王国の王都にいた。