その6 チビとネコ、またどうぶつえんへ?
その6です。よろしくお願いします。
1
チビとネコはふわふわと東京とその近くをとびまわっています。
ゆうえんちなどは、乗ものに乗れないので、あまり楽しめませんでしたが、さまざまなパレードなどは、見ていて楽しめました。
えいがかんに入って、えいがを見ましたが、チビもネコもあまり物語のないようがよくわかりませんでした。
みんなは、わかっていると思いますが、チビとネコはこれらの会場へ、お金をはらわずに入っているよ。
けっしてマネをしないでね!
デパートに行っても、売りものはさわれません。
レストランに行っても、食べものや飲みものは、そもそもくねひとはひつようとしません。
人間たちが、いろいろなところ行っては、さまざまなことを楽しむことを、チビとネコは見てきました。
こうかなものを買っては、よろこんでウキウキしたり。
おいしい食べものや飲みものをいただいては、しあわせそうにニコニコしたり。
2
「人間たちはいろいろと楽しんでいるんだな。でも、これだけの楽しさをあたえている人たちすべてを探すのは、たいへんだぞ」
「こうほしゃがいっぱいになっちゃいますね」
チビとネコは、こういったところで、はたらく人たちや、さらにそのさきのはたらく人たちを思い、あたまがぐるぐるしています。
おいしい食べものだけでも、それをりょうりする人、しょくざいを作る人、それらをはこぶ人……。
レストランで食べるひとつのおいしいものは、このように多くの人間がかかわっています。
チビとネコは、こうした人間の生活のスケールの大きさにビックリです。
なにしろ、くねひとたちが住む異世界では、ただ水たまりでこの世界を見ているだけですから。
ネコが言いました。
「そして、多くのよろこんでいる人間を、たずさわった人間が見たり聞かされたりたりして、たずさわった人間も、うれしいのではないでしょうか?」
ふわふわとうき、ねそべったしせいで、両手であたまのうしろをあてている、チビが言います。
「人間の世界は『やさしい人』だらけ? でもおまえはすてられていたよな。だからわるいヤツもいる。そういったわるいヤツをこらしめるのが、『やさしい人』なのかなぁ?」
ふと、チビが下をむくと、あるそれなりの大きな家に、どうぶつたちがはこびこまれていました。
「なんだあれ? 行ってみよう!」
3
家の1階にはいくつものケージの中に犬や猫がいます。
なんにんもの人間がこれらのどうぶつのせわをしています。
チビととネコはそれを見て、小さいどうぶつえんなのかな、と思いました。
「こんにちは~」
ある人間の家族がこの家にきました。
この家族はあるケージの犬。それもけっこう大きな犬のケージにいます。
「飼育場所と、さんぽのお時間は、だいじょうぶですし、ご家族にもなついていますね。譲渡は問題ありません」
「わかりました。ではこの子をひきとります」
すると、この犬はケージから出されて、この家族といっしょに出て行きました。
チビとネコはこの家の中で行われている、どうぶつと人間のやりとりをふしぎに思いました。
ふしぎなので、チビとネコはこのどうぶつえんのような家にずっといました。なんにちも。
そして、この家で行われていることを理解しました。
4
「ここはすてられたり、飼育がむずかしいどうぶつを保護する場所なのか。そして、『さとおや』という新しく家族にむかえる人間が来るところなんだ」
「はじめに見たのは保護されたどうぶつを入れていたのですね」
そうです。ここは犬と猫の保護施設。
チビとネコは、ここをどうぶつえんだと思ったのですが、どうぶつを保護し、あらたな飼う人たちをむかえる場所だったのです。
「保護して、『さとおや』が決まるまで、ここのスタッフさんたちがめんどうを見ているんですね。チビさん、この人たちこそ『やさしい人』ではないでしょうか?」
くねひとになる前にすてられていた、ネコが言います。
「そうだが、ひきとる『さとおや』さんたちも『やさしい人』だぞ。これはすごいこまった」
チビは「さとおや」が決まるまで、めんどうをするこの家のスタッフさんたちの苦労と、むかえる人間のやさしさを思って言います。
「そうですね。どちらもすばらしいですね。ボクもだれが1番『やさしい人』かわかりません」
さらにこまったチビとネコ。
さて、彼らの「やさしい人」探しの冒険は、どうなるのでしょうか?
それは次回のお楽のしみ!
その7へ続きます。




