その3 チビとネコ、サンタさんにあう
その3です。よろしくお願いします。
1
とんでいるチビとネコは、広い会場で、人々がにぎわっているのをかくにんしました。
「うわ~、すごく広くて、人間が多いな~。ちょっと行ってみるか?」
「小さな家がたくさんありますね。これらはぜんぶお店なのかな?」
チビとネコがとある会場にとうちゃくします。
ここはクリスマスマーケットです。
こういったイベント会場は入場料を払うことが多いよ!
みんなはちゃんと払おうね!
木でできた小さな家は、キラキラにかざられ、前は開いていて、かく家ごとに、飲みもの、食べもの、またかわいいコップなど、いろいろなものが売られている、ネコが言ったようにすべてお店なのです。
行きかう人々は、それぞれのお店にならんだり、買った飲みものや食べものを手にして歩いています。
ところどころにあるベンチで座って、食べたり飲んだりもしています。
2
だんだんと日がしずみ、空は赤くなりつつあります。
少しふく風もさすがにつめたいです。
「はぁ~、このグリューヴァインあったまる~」
「やっぱりなんだかんだ言っても、日がおちると寒いもんね」
グリューヴァインとはお酒です。
ホットチョコレートとかもあるから、みんなは大人になるまで、お酒はダメだよ!
チビが笑顔で言います。
「みんな楽しそうだな! そうだ、このパーティみたいなのをうんえいしている、せきにんしゃさんは、きっと『やさしい人』だ!」
「そうかもしれませんね。でもこの人だらけの中では、見つけるのがたいへんですね」
チビとネコはふわふわと会場をいどうしていますが、せきにんしゃさんを見つけることができません。
そのとき、「がら~ん、ごろ~ん」と大きな鐘の音が鳴りました。
3
「ご来場のみなさま。ただいまよりツリーの前で、サンタクロースによるイベントが行なわれます」
このあんないの音声がながれると、人々の多くは同じところへ向かって行きます。
「なんだ? なんだ? オレたちも行ってみるか?」
チビがそう言うと、ネコもうなづき、人々の中をすきとおって、大きな木がある場所につきました。
「うわぁ、すごい大きくってキレイですね。チビさん」
チビもネコも色とりどりにかざられた、とっても大きなクリスマスツリーに見とれています。
ツリーの前にはのりもののようなものがおかれていて、しばらくすると、赤と白のいしょうをした老人があらわれました。
「あれっ? あの人なんかお館様に似てない?」
まっ白なひげの老人。
そこはお館様に似ています。
しかし、お館様はやせていて、きているのは白い服です。
この人は、お館様とちがい、かなり太っています。
「サンタさんのとうじょうで~す!」
さきほどの音声と同じ声。
手をふっているサンタさんとよばれた老人につづいて、若い女の人もあらわれました。
4
サンタさんはツリーの前にある、のりものに座り、となりで女の人がせつめいをしています。
「今から、50組のかたがたと、サンタさんとの撮影をいたします。スマートフォンで来場予約をしたかたのチケットの番号を言いますので、がいとうのかたは、どうぞこちらまで来てください」
「もうしわけありませんが、番号をよみあげて、3分いじょうたったら、次のかたとなります。うしろのかたは、手をあげてください。スタッフがおつれしますので、むりに通らなくてもだいじょうぶです」
チビはネコにかくにんします。
「ネコ、おまえチケットもってるか?」
「あるわけないでしょう。それにボクたち見えないんですし」
番号がよみあげられ、家族やカップルやともだちたちが、つぎつぎにサンタさんが座るのりものまわりで、きねんの撮影をしています。
小さいこどもがいるときは、サンタさんがひざの上にのせたりしています。
「チビさん! あのサンタさんっていう人、ぜったい『やさしい人』ですよ! みんなすごい笑顔です!」
ですが、チビはなにやら考えこんでいます。
「いやっ! あの女の人が『やさしい人』だ! あの人がとても多くのことをしている!」
チビはだんげんしました。
ほんとうにこの女の人を「やさしい人」に選んで、だいじょうぶなんでしょうか?
それは次回のお楽のしみ!
その4へ続きます。