その2 チビとネコがやってきた!
その2です。よろしくお願いします。
1
くねひとたちが住む異世界にたくさんある水たまりは、私たちの世界が見えるだけでなく、その中にとびこむと、映っている場所に行けるのです。
しかし、私たちの世界にくねひとが来ても、私たちは彼らの姿は見えませんし、彼らが話す言葉も聞こえません。
そして、くねひとのほうは、私たちの世界のものを、何ひとつさわることができません。
なので、くねひとが私たちの世界に来ることは、あまりいみがありません。
ですが、チビとネコは水たまりにとびこみました。
「あれぇ? この水たまりにチビとネコが入っちまったぞ」
のっし、のっしと、とても大きなくねひとが、チビとネコが入った水たまりを見ています。
あまりの大きさなのでこのくねひとは、この水たまりには入れないでしょう。
顔もおそろしく、頭の角や口の牙も、大きいです。
「おでもいってみるかな~」
のんびりと言う、このくねひとは、彼が入ることのできる大きな水たまりを見つけて、指でなぞって、ジャボンと大きなみずしぶきを出して、映った世界へ入っていきました。
「おいっ! 『でかゴリラ』! そこはダメだ!」
近くにいたくねひとがさけびますが、もう「でかゴリラ」というくねひとは、行ってしまいました。
「これってなんでダメなんだ?」
「出るところがふしぎな霧があるところなんだ。でもあまり人間がこないおくちだから、だいじょうぶだと思うけど……。そこでは人間たちはおれたちの姿が見え、声も聞こえるんだ。そしてその霧のあたりものはすべてさわることもできる」
このぎもんをした別のくねひとに、でかゴリラに注意したくねひとが答えました。
2
さて、チビとネコが来たところは、けっこう大きなまち。
お昼すぎですが、道路には多くの車がはしり、歩道もさまざまな人間たちが歩いています。
「12月なのに今日も暑いね~」
「コートは必要なかったな~」
道路でふわふわと浮いているチビとネコは、そんな声を歩道を歩いている人間たちの言葉を聞いていました。
ちなみにチビとネコにはたくさんの車がとおりすぎています。
これはくねひとが私たちの世界のものをさわれないからだよ。
みんなはあぶないからまねしないでね!
「ふぅ~ん。今は寒くないといけないのか? じゃあ、寒くすることができる人間が『やさしい人』だな!」
チビの言葉にネコは言いかえします。
「チビさん。それはなんか『やさしい人』というより、『すごい人』のようなきがします……」
くねひとは暑さや寒さをかんじません。
でも、人間がすごい暑さやすごい寒さを、にがてなことは知っています。
3
「それよりここはどこだ?」
チビは水たまりをなぞって、かくにんもせずに、ネコといっしょにとびこんだのです。
「話している言葉と、かんばんやひょうしきを見ると、日本のようですね」
「あっ、それっておまえの生まれたところか!」
「まぁ、ボクはすてられていたのですが。それにこのまちではないですね。ボクがいたのはもっと北のほうで、ここは東京という日本の首都ですよ」
「じゃあ、おまえみたいなすてられているどうぶつがいっぱいいるのかな? それを助ける人間を探そう!」
「そんなひどい人たちだらけだとは思いたくないんですが……」
「よしっ、まずは公園や広場へ行ってみよう!」
こうして道路の上に浮かんでいたチビとネコは、さらに浮きあがり、はしっている車とおなじはやさでピューと、とんでいき、どこかにある公園か広場をめざすのでした。
そこで何がおこるのか?
それは次回のお楽しみ!
その3へ続きます。