その1 こまったチビとネコ
あらすじにも書いていますが、冬の童話祭2021の「チビとネコ」の続編みたいな感じです。
この作品を読まなくても、問題ありませんが、できたら読んでください。m(__)m
はじめに
これはチビとネコとよばれるオニともアクマみたいなヘンテコなコンビが冒険する話だよ。
チビとネコについては、まえに書いた物語をよろしね!
では、チビとネコの冒険話のスタートです!
1
ここはどこでしょう?
魔界でしょうか? 妖精界とも、もののけが住むところといっていいかもしれません。
ようするに私たち人間が、ふみ入れることができない異世界だと思ってください。
そこには「お館様」といわれる老人と、「くねひと」という異形のものたちが住んでいました。
くねひとたちはたくさんいます。彼らはみなおなじ姿をしています。
まず肌は灰色で、着ているのは布いちまいの、さらにこい灰色です。
耳は尖がっていて、歯は上下の犬歯が口からはみ出るほど。
そして、きわめつきはあたまの額から、2つの黒い角が生えています。
くねひとは悪魔とも鬼ともいえる姿なのです。
彼らの役割は、毎年の12月25日の夜までに、お館様に私たちの世界で「やさしい人」をそれぞれ探がしだし、紹介することです。
そしてお館様がその中から1番だと思もった人へ、その年に最高のプレゼントを贈くるのです。
くねひとたちはどうやって私たち人間の世界を見て、「やさしい人」を探しているのでしょうか?
それはこの異世界で彼らは、私たちの世界を見ることができるからです。
くねひとたちは朝から夜おそくまで、いえ、彼らは眠ることがないので、ずっと私たちの世界を見ることができるのです。
ごはんもお水もとらなくても生きていけます。
くねひとが悪魔とも鬼とも言わるれのは当然ですね。
2
さて、ここに2匹のくねひとたちがいました。
くねひとには私たちのような名前がありません。彼らは他のくねひとから「チビ」と「ネコ」と呼ばれていました。
このようにくねひとたちは自分たちを区別するために、いろいろな呼び名で言いあっていました。
大きければ「デカ」。耳の尖がりが特にすごいのは「ミミ」。顔にホクロがあるものは「ホクロ」といったぐあいです。
チビはそのとおり、ちびなのですが、ネコはこのチビより小さいです。
チビのあとにくねひとになったので、ネコと言われています。
ネコは耳がネコのようになっていて、顔もちょっとネコっぽいです。
この異世界には数えきれないほどの水たまりがあります。
この水たまりに私たちの世界のいろいろなところが映っているのです。
チビとネコはその中のひとつの水たまりをじっと見ています。
「あっ、この人すごいぞ! すごいたくさんのお金をきふしている!」
ネコが水たまりに映ったその人を見て言いました。
「チビさん。前もダメだったでしょう。それだと『やさしい人』はお金をたくさん持っている人ってことになるでしょう」
3
「う~ん。たしかになぁ。でも『やさしい人』って、どんな人なんだろう?」
チビはネコを助けたことがあります。そのことを思いだしたチビはネコに言います。
「ひょっとして、『やさしい人』って、命を助ける人なのかなぁ?」
「でも、きふも命を助けることにつながっていますよ」
「お金ではない、もっと別の助けが、お館様のねがいなんだよ。きっと」
チビは考えこみます。
「……よしっ! また現世に行くぞ! ネコ、おまえも来い!」
「えっ、ボクたちって、現世では見えないし、何もさわることができないんでしょう?」
「いいから、行くぞ! おまえを助けたとき、オレが『やさしい人』に選ばれたからな!」
チビは水たまりを指でなぞります。
すると、映っている私たちの世界が変わるのです。
なんか、スマホみたいですね。
こうして、チビとネコは選んだ映っている、水たまりの中に入って、私たちの世界に来るのでした。
ちょうど12月のはじめごろです。
さて、チビとネコは「やさしい人」を見つけることができるのでしょうか?
それは次回のお楽しみ!
その2へ続きます。




