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9.冒険者と初めての依頼

 ショウリュウの都、志吹の宿の外。主に冒険者を狙った店が立ち並ぶその通りをロロ、瑞葉、ハクハクハク、竜神の四人が歩く。

「ロロ、依頼内容は覚えてるかな?」

「竜神さん、馬鹿にしてるだろ。畑を荒らすフクレドリの討伐だろ」

「畑の場所は? 荒らされた回数は? 具体的にどんな風に荒らされてた? フクレドリの数は? 大きさは?」

 矢継ぎ早に飛んでくる質問にロロは頬を引き攣らせる。

「え、っと……。場所はここから北の方で、大荘園? なんだろ。それで畑の砲葉菜が荒らされてるんだったな。フクレドリの数は……、書いてあったっけ? あー、駄目だ、覚えてない」

「ハクハクハクはどうかな?」

「え、あ……、えと。先月から三回ぐらい、荒らされてます。あと数は最低でも五、ぐらいだったと……」

「そうだねえ。大体あってるかな。瑞葉、正解は」

「はい! え……、はい」

 瑞葉が襟元を摘んで考え込む。畏怖する竜神からの指名に間違えるわけにはいかないと気負い、それと共に口の中が渇いていくのを感じていた。

「場所は都の北方にある石原の大荘園の砲葉菜畑、先月に初めて荒らされて二週間前と一週間前にも荒らされてる、フクレドリに砲葉菜が食べられているのが目撃されていてその際に五羽のフクレドリがいたのが確認されています、大きさは遠目だったので確実ではありませんが人の腰ぐらいの大きさだったそうです」

 ほとんど息継ぎもせず早口で言い切った。少し面食らったような竜神の顔に瑞葉は何か間違えたかと下を向く。

「うん、うん、あってるね。でもそんな早口に言わなくてもいい」

「え、……はい。すみません」

「謝るほどのことじゃないけどね」

 その竜神の言葉が瑞葉に届いていたかは定かでない。

 道中に四人はつらつらと適当な会話をしていたのだが、その中で竜神は引率的な立場として三人のことを観察している。ロロは少々頭の弱い部分があるが精神的に二人を引っ張っていこうとする部分がある。瑞葉は様々なことに慎重である部分が良くもあり悪くもある。ロロと互いに弱い部分を補い合っているのだろうと感じていた。問題はハクハクハクだった。話を聞くに前日に二人と出会ったばかりの彼女は未だ完全に打ち解けている雰囲気ではない。内気で引っ込み思案な彼女と完全に連携を取るというのは不可能に近いだろう。竜神は三人の討伐をどう見守るべきか考えながら歩き続ける。

 ショウリュウの都郊外、砲葉菜畑。冒険者が四人、畑の持ち主である石原と共に一面に広がる砲葉菜の前に佇んでいる。

「どうですかうちの砲葉菜畑は。余所よりもより大きく瑞々しい品種を育てているんです。手間はかかりますが味は最高で、あの美味洪水亭にも卸しているんですよ」

「美味洪水亭か。何度か行ったけど確かにあそこの料理は旨い。砲葉菜も餡掛けに入っていたのを食べた記憶がある。確かにあれは旨かった」

 石原と竜神が世間話をする最中、他の三人は少し後ろに控え小声で話す。

「美味洪水亭ってあの有名な?」

「王様が視察に来た時の夕食があそこだったって聞いたことがあるけど」

「す、すごいね」

 実際この石原の大荘園はショウリュウの都の中でも特に名が知れており、手間をかけてでも味の良い作物を育てていると評判が良い。故に畑のごく一部を荒らされたと言ってもそこにかけられた手間や時間は並大抵のものではなかった。

「今のところ荒らされたのは畑の端の一部だけですが、既に三度は来てますからね。おそらく放っておけば次が来るでしょう。しかも次はもっと多いかもしれません」

「その通りで」

「フクレドリの討伐、頼みますよ」

「お任せください」

 石原が何か必要なことがあれば遠慮なく言ってくれ、と言い去っていく。残された一行はそれからどうするのか。

「これからどうするんだ? 次が来るまで待ちぼうけは嫌だぜ」

「そんなわけないでしょ」

 ロロの言葉に反射的な突っ込みが入る。

「瑞葉の言う通りね。待ちぼうけはあり得ない」

「じゃあフクレドリを探しに行くのか。あいつらってどこにいるんだ?」

「それは今から調べることになる」

 そう言って竜神は畑の方に目を向ける。

「とりあえずフクレドリの目撃者を探そうか」

 竜神は周囲の畑で働いていた者に話を聞き、目撃者の元へ案内してもらう。幸い、数分もせぬうちに目的の人物と出会うことができた。

「初めまして。私たちはフクレドリの討伐を請け負った冒険者です」

 竜神が胸元に着けたバッジを見せて自己紹介をする。

「初めまして。……二等星ですか? フクレドリの討伐にわざわざ出向いて頂けるとは」

「今回は引率ですので」

 竜神がロロたちに目を向ける。目撃者もつられて目を向け、三人が着けているバッジを見て合点がいったように頷く。

「だとしてもありがたいことです。私に答えられることなら何でも答えますよ」

 それを聞いて竜神は瑞葉を手招きする。突然の指名に息が詰まる思いをするも、緊張を飲み込み瑞葉は前へ出る。

「何の御用でしょうか」

「私が全部やっても仕方ないだろう? 目撃証言をどう聞き出すのか、やってみるといい」

 竜神の言うことは一理あるので何も言い返さない瑞葉だが、後ろからじっと見つめられているのが落ち着かないように見える。聞くべきことを頭の中で整理しながら、ロロかハクハクハクが呼ばれていれば、と少し思ったが即座にあの二人にこれは向いてないだろうと思い直す。それから改めて目撃者の方へと向き直り襟元を正す。

「えっと、私たちはあなたがフクレドリが畑を荒らしていたのを目撃したと聞いています。それはいつのことですか?」

「一週間前だね。ここから向こうに真っ直ぐ行ったところの畑だよ」

「時間帯は? 夜中ですか?」

「そうそう。先月からフクレドリが来ていたから夜中に何人かで見回りをしていたんだ。追い払うだけなら簡単だしね」

「依頼書にはフクレドリが五羽ほどいたとありましたけど、五羽が同じ畑に?」

「いや、僕はさっき言った畑で二羽見つけたんだ。それで追い払うのに喧玉を投げてね。そうしたら他にも三羽ぐらい飛び去って行ったってわけだよ」

 喧玉というのは掌大の大きさの球で、魔力を込めた後に地面などに投げて軽い衝撃を与えると大きな音が出るようになっている。主に気の弱い魔物などを追い払う為に使われているものだ。

「なるほど、フクレドリはどっちに飛び去って行きました?」

「向こうだね。丁度、小昇竜の山の方だ」

 この辺りではショウリュウの滝を擁する山を大昇竜の山、そしてそこから少し東にずれた位置に連なっている山を小昇竜の山と呼んでいる。小昇竜はその先に大きな街もなく、ほとんどの観光客からも見向きもされない山で人の出入りは少ない。それ故に魔物が棲みつくことがあるのだ。瑞葉は今回も例にもれずそうなのだろうと思う。

「ありがとうございます。えっと、あと他に……」

「特に何もなくても一応何か変わったことがあったか、とだけ聞いておくといい」

 言葉に詰まる瑞葉に竜神が後ろから声をかける。突然に声をかけられた際に過剰に驚いていた瑞葉を周囲が不審がっていたが、瑞葉は何事もなかったかのように咳ばらいを一つして仕切り直す。

「何か変わったことはありましたか?」

「うーん、いや、私は特には何も思わなかったよ」

「なるほど、でしたらとりあえず質問は以上で、で大丈夫でしょうか?」

 瑞葉はちらりと振り向き竜神の顔色を伺う。その彼女は少し考え込むようにして目を閉じている。瑞葉が何か問題があっただろうかと胃のきりきりする時間は数秒ほどだった。

「フクレドリはここで作物を食べていた、のかそれとも持って帰っていた、のか」

「え、ああ。どうでしょう。何分暗かったものでそこまでは……。魔物に近付いてというのも恐ろしいですし、石原の旦那様も見回りの際は怪我をしないことを最優先にと言ってくださっていたもので」

「気にしなくていい。もしわかればという程度の質問に過ぎない。見回りの時、他に誰かフクレドリを目撃していたのかな?」

「去っていく姿は他の者も遠目ですが見たと言っていました」

「なるほど、一応話だけ聞いておきたいね」

「でしたらご案内します」

 全ての目撃者の話を聞き終えるのに小一時間。それが終わると情報の整理が始まる。

「結局、小昇竜にフクレドリがいるってことでいいのか?」

「可能性は高い、と言うべきだね。実は小昇竜が通り道でしかない場合もあり得る」

「フクレドリってそんなに長く飛べるんですか? 確かあまり長くは飛べないと聞いたことがあります」

「そうだね、その通りだ。さっきのはあくまで可能性で、十中八九小昇竜に群れで居座っているだろう」

 推測が多分に含まれているが話の流れはこうだ。畑が荒らされ始めたのが約一か月前、その少し前にどこからかフクレドリの群れが小昇竜へと棲みつく。食料を求めて周囲を探索するうちにそれらは石原の大荘園にある作物に目を付けた。目撃証言を集める内にフクレドリが足で何かを掴んでいるように見えたという証言があったため持って帰った食料を群れで分けている可能性が高い。

「五羽で終わりってことはないだろうね、あいつらの生態から考えて」

「どんな生態なんだ?」

「ふむ、瑞葉。答えられるか?」

「え、と、いえ、すみません。そこまではちょっと……」

「そうか」

 そうか、という一言に失望の色が混じっているなどと言うことはない。しかし瑞葉は勝手に悪い妄想を繰り広げ俯き竜神の顔も見れなくなっている。そんなことは露知らず竜神はもう一人の冒険者の方へ眼を向ける。

「ハクハクハクはどう?」

「え、あ……」

 自然と視線が集まる。ハクハクハクは自身が注目の的となっていることに耐えられず顔を覆う長い前髪の上から更に手で覆って身を守ろうとしている。

「ハクハクハクなら知ってるさ」

 無責任に放たれる言葉はロロのものだ。

「昨日さ、一緒に晩御飯食べながら聞いたんだけどさ、いっぱい努力してるんだぜ」

 ロロの言葉は無責任だ。しかしその一方で強い信頼を感じるものだ。無責任で無根拠だとしても自身を信じ肯定してくれる何かに背を押される。そういうことがある。今のハクハクハクがそうだ。

「えっと、前にその、討伐依頼に行った時に聞きました。ふ、フクレドリ、は臆病で、大きな群れを作るって。その中から数羽が食料を探しに行くって。それで、フクレドリは、少ない食料で生きられる魔物で、一度食料を持ち帰ると、その、一週間ぐらいは、生きられる、らしくて、はい……」

「……うん、正解。よく覚えていたね」

 その時の竜神の目は優しそうで、まるで教え子を見守る教師の様だった。

「さて、食料を取りに来たフクレドリは五羽だった。大抵の場合はその4~5倍が群れの大きさだから二十羽程度はいると思っておくといい」

「二十ぐらいなら俺一人でもどうにかできるぜ」

 ロロは背中に差した剣を握り構える。その頭の中にはフクレドリを怒涛の勢いで切り伏せる自身の姿が浮かんでいる。そんな中、ふと思い出したように瑞葉が口を開く。

「フクレドリって確か死ぬときに破裂して衝撃波を出すと聞きましたけど、本当なんですか?」

「ああ、そのことか。二人はジムニーの農場で手伝いをしてる時にフクレドリには手を出さないように言われなかった?」

「そういや追い払うのを手伝ったことあるけど絶対に殺すなって言われたっけ」

「あれはその衝撃波のせいだよ。周囲の作物が駄目になるから追い払った後に冒険者に討伐を頼むんだ」

「へー、衝撃波ってどんな感じなんだ?」

「何の防御もなく受けたら人だって吹っ飛んで死ぬぐらい」

 そう言った竜神の様子は普段と変わらなかった。だからこそロロも、瑞葉も言葉を失う。

「随分前だけど新人が腕を折ってそのまま引退したこともあったかな。大昔は畑に来たフクレドリを数人で袋叩きにしてみんな大怪我するようなこともあったらしいけど、まあこれはどこまで本当なんだか」

 フクレドリは臆病で弱い魔物だ。一般人でも囲んでしまえば殺すことができてしまう。しかしそんな魔物でも毎年多くの一般人や冒険者に大怪我を負わせている。

「……日が落ちる前には片付けたいね。とりあえず小昇竜へ行こうか」

 

 小昇竜への道のりに変わったところはない。石原の大荘園を離れしばらくは大昇竜の山から引かれた水路を辿り、その水路が大昇竜の方へと曲がったところでその道を逸れることになる。道を逸れてからは整備などされておらず長い雑草が少々邪魔ではあるが、小昇竜が見えている以上は辿りつけないということはないだろう。

 一行はロロを先頭に先へ進む。ロロは自らの剣で雑草を薙いで進む。

「ロロは剣を武器にしたのか」

「まあな、冒険者と言えば剣だろ?」

「んー、まあミザロなんかは剣を使っているか。うちのチームにも二人いるし、主流ではあるのか?」

「竜神さんは何を使うんですか?」

 見たところ竜神は武器らしいものを身に着けてはいない。軽装で物を隠すような場所もなく、ぱっと見では彼女が冒険者であるとさえ思わないだろう。

「私はこの肉体が武器そのものさ」

 竜神は身長が高く、新人三人の中で最も背の高いロロよりも更に頭一つ分以上抜けている。その身は筋肉質で無駄な肉がつくことはない。瑞葉は以前にどこかの冒険者に絡まれた時も頭を掴んで振り回していたのを思い出していた。

「あと一応、このグローブには特殊な金属が編み込まれていてね」

 言いながら竜神は小石を拾いそのまま自身の目の前に放り投げる。三人の視線が小石に集まり、その直後。ひゅっ、と風を切る音と共に竜神の拳が小石を粉々に砕いた。砕かれた小石の粒が三人の顔に散る。

「こんな風に結構固いんだよ」

 小石が吹っ飛ばずに砕け散るってどういうことだ、絶対グローブ関係ないだろ、そんなことは口が裂けても言えない。

「瑞葉は杖かな」

「え、あ、はい。その、私はあまり力に自信はないと言ったらミザロさんが杖がおすすめだと。足場の悪いところでは歩行の補助に使えるし、鈍器にもなるので一石二鳥だと言っていたので」

「そうだね。山歩きなんか多いから体力を温存するのにいい選択だろう」

 実際、冒険者の中には主たる武器と別に歩行補助の為に杖を持ち歩く者も多い。特に山河カンショウの国では険しい山も多いので山岳歩行の為の用意を怠る者はいないのだ。

「ハクハクハクは相変わらずだね」

「う、あ……、はい」

 ハクハクハクは歩行補助の為の杖を手に持ち背に大きな盾を背負っている。これは彼女が冒険者になってから変わらない装備だ。

「でかい盾だよな。重くないのか?」

「え、あ、ちょっと、重い、かも」

「重いんだ」

「じゃあハクハクハク結構力強いんだな。俺よりも実は強かったりして」

「え……、いやそんなこと……」

「ハクハクハクの素の力は貧弱もいいところだ」

 横から竜神が口を挟む。

「外套でわかり辛いけど体の線が細い細い。前も言ったけどもう少し食って鍛えた方がいい」

 ハクハクハクは自分の身を隠すように全身を外套で覆うようにしているが、時折除く手足は細く弱弱しい。背の低さも考えれば年齢を一桁と言い張ることだってできそうだ。

「だったらそんな大きい盾なんて持ってられないんじゃないのか?」

「丙族は普通の人より魔力が多い。身体強化で補えるのさ」

「あー、そういうことか」

「だが、いざという時の為に肉体を鍛えるのも大事だよ。魔力を浪費することはない」

 ハクハクハク、そしておまけで瑞葉に耳が痛い言葉だった。体力など一朝一夕で身につくことはずもなく、自らの肉体に対して常日頃から強く意識を持てということだろう。

「ちなみに君ら魔物に遭遇したらどう戦うつもりだい」

 それに対しての回答は三人で前日に考えていた。

「とりあえず俺が前に出るぜ」

「私とハクハクハクは後方から援護のつもりです。昨日ハクハクハクは遠距離からの魔法攻撃が得意だと聞いたので、それが妥当かと」

「……まあいいと思うよ」

 竜神は何か思うところがあるようだったが、そのことに関しては特に何も言わなかった。

「私は最初は手を出さない。何かまずいことが起これば別だけど、まあ何も起きないことを祈っておく」

「任せとけって。全部俺が倒してやるぜ」

 力強い歩みでロロが進む。ロロには緊張も不安も迷いもまるで無いように見えた。その背中は後ろを行く者に憧れを抱かせるだろう。そして、ある者には強い重圧を感じさせるのだろう。


 小昇竜の山、一行は警戒しながら道なき道を進む。

「こんな険しい山だったんだな」

「整備するという話もなくはないけど、人手不足でね」

 木々の枝葉が視界を遮り、人の頭ほどある石や土に埋まる木の根が足を取る。ロロが先を行く際に多少は障害を取り除いているが、それでもとても歩きやすいとは言えない。

「その木の実には気を付けた方がいい。あれの汁が付くとかぶれる」

「そんなのまであるのか」

 そんな厄介な山を歩くこと一時間ほど。

「……ここまで随分かかったな」

 近くにいる者にだけ聞こえる小声でロロが言う。

「研修で山歩きなんかやるわけよね」

 瑞葉も自然と小声で呟く。二人の様子にハクハクハクは緊張して杖を握る手に思わず力が入る。彼らの視線は一様に同じ方を向いていた。その先には木の実をついばむ生物。それは人の腰ほどの大きさがあるトサカのついた雀のような見た目をしている。そして時折頬を膨らませてくるるると鳴き声を上げる。そう、あれこそがフクレドリだ。

「ここからが本番だ。気を引き締めな」

 ロロが剣を抜く。瑞葉が杖を構え魔力を練る。ハクハクハクが盾を前方に構える。距離にして十数歩、フクレドリは未だ人の影に気付いてはいない。ロロが前へ出る意思を示すように二人の顔を見るとそれに呼応して二人が頷く。

 フクレドリの討伐には気を付けることが二つある。一つ目はあれらは臆病で気が弱い為に何かあればすぐに逃げ出してしまうということだ。二つ目は死んだ直後、膨れ上がった体が破裂して周囲に衝撃波を出すということだ。逃がしてしまえば討伐は失敗、衝撃波に巻き込まれれば大怪我を負う。この三人の冒険者がその問題に対応できたかというと。

「怪我はない?」

「ああ、問題なしだ」

 周囲には三か所ほど細い木々が圧し折れ地面が抉れたようになった場所もあるが、その一方でロロの身体には傷一つない。

「まあよくやったと言っておこうか」

 竜神が後方の林から姿を現してそう言う。少なくとも彼女から見て今の一連の流れに問題は無かった。

「ロロは、思ったより筋がいい。身体強化を得意と自称するだけはある」

 先の戦闘、先陣を切ったのはロロだった。全身を魔力で強化した彼はほんの三歩でフクレドリの傍まで駆け抜け、そのまま一刀のもとに一羽を切り捨てた。直後、フクレドリが破裂するまでの間に距離を取る。その動きに迷いはなく衝撃波は傍の木や地面を吹き飛ばすだけとなった。

「瑞葉も、さっきのは風の魔法かな?」

「はい。えと、飛んで逃げられないように翼を攻撃しようと」

「なるほど、距離があるのに上手く当てられるのは才能だろうね。魔力や魔法の精密な制御は得意不得意が分かれる分野だ。上手く伸ばせば良い長所になる」

 一羽目のフクレドリが破裂した頃、本来であればそれを合図に他の二羽が逃げ出すのだがそうはならなかった。瑞葉はたっぷりあった時間でそれぞれに風の刃を浴びせる準備を終えており、ロロが攻撃を仕掛けるのと同時に残りの二羽を飛び立てない状態へと追いやっていた。そうなれば後はどうということもない。地面を走るフクレドリなど子供でも追いつける。ロロは一羽一羽を確実に怪我をしないように殺したのだった。

「今ので三羽だけど、他にもまだいっぱいいるんだよな」

 ロロがそうして話題を変えたことに理由はなかったのか、それとも気を遣ったのか。どちらかはわからずともハクハクハクは一人胸を撫で下ろす。竜神は少しの間視線を彼女に向けていたがやがてロロの方に向き直り返事をする。

「ああ、おそらく今の三羽は山中で食料を探す役だろうね。少し離れたところに群れがいるはずだ」

「さっきの音で逃げたりしませんか?」

 フクレドリの破裂音はかなり大きなものだった。それなりに離れていたはずの瑞葉たちも思わず耳を塞ぐ程の音である。相当な広範囲で聞こえているだろう。

「逃げない、とは言い切れないが大抵の場合は問題ない。群れの本体は往々にして飛ぶことができない妊娠している個体がいるからね。それを守る為にむしろ集まっている頃だろう」

「妊娠? 鳥なのに?」

「なんでかは知らないけどね。とりあえず出発しようか。今ので向こうも警戒しているだろうし今までより気を張っていこう」

 先を促す竜神の言に従い、今まで同様ロロを先頭に一行は先へ進む。ハクハクハクも構えた盾を背中に背負い直して歩き出す。その足取りは重く、足が止まりそうになるのを必死でこらえていた。


 およそ十五分ほど山中を歩き一行はとうとう群れの本体を発見する。木々が生い茂る中に一際目立つ巨木。その根元に十羽ほどのフクレドリが身を寄せ合っているのが見える。

「もっといるんだよな?」

 ロロの問いに竜神は答えない。その瞳は何かを期待するように三人を見つめている。

「……ロロ、上」

 瑞葉が指をさしながら小声で言う。その先には上に伸びた木の幹、そしてひしめく枝葉、それに身を隠すようにしてフクレドリの姿がある。

「あいつらが周囲を哨戒してるのか」

 幸い今の場所は気付かれていないようであれらに特段目立った動きはない。しかし居場所がばれたなら囲まれる可能性がある。普通の攻撃は対して怖くはないが破裂に巻き込まれることを考えると倒すこともできない。

「私五羽ぐらい見つけたけど全部だと思う?」

「……いや、わからん」

 竜神は既にこの周辺にいるフクレドリの位置を全て把握していたが敢えて口には出さない。五等星の冒険者に三等星以上の冒険者が同行するのは彼らに経験を積ませるためだ。可能な限り手を出さず主に助言をする立場を求められている。もっともそれを抜きにしても現状で口出しが必要とは考えていなかったが。

「あ、あの」

「ん、どうしたハクハクハク」

「わ、私、大体だけど、わかるよ」

 そう言ってハクハクハクは次々と指をさす。その先を目を凝らして見れば確かにフクレドリの羽や頭が僅かに覗いている。

「ハクって目がいいの?」

「え……。いや、目はあんまり……。でもあの、魔法でわかる、かな……」

「そんな魔法あるのか。便利だなー」

 敵の場所はわかった。数も把握した。後はどう攻めるかだ。数分の作戦会議が行われる。

「竜神さんは手伝うのか?」

「必要とあらば手伝おう」

「ならそこで見ててくれよ」

 不敵に笑うロロ。新人ながら自信満々の彼の姿を人は若さと勢いがあって良いことだと笑うか、それとも根拠のない自信は身を滅ぼすと戒めるだろうか。それがこれから決まるのかもしれない。

 最初に動いたのは瑞葉だ。彼女はゆっくりと魔力を練り上げると自分たちとは離れた位置にあり、かつ身を隠せる茂みが多い辺りを起点に風の魔法を放つ。風は大した強さも鋭さもなく、ただ茂みを揺らして音を鳴らした。そしてそれはそこに何かがいると思わせるに十分だろう。

「き、木の上のフクレドリが、そっちに向いた、と、思う」

 ハクハクハクの言葉通り樹上のフクレドリの注目が誰もいない茂みに集まっている。数秒の静寂、それからゆっくりと二羽のフクレドリが樹上から降りてくるのが見えた。

「流石に全部は降りてこないか」

 全部が降りて来たなら位置がばれるのも覚悟のうえで瑞葉とハクハクハクが魔法を全力で放ってそいつらを倒す予定だったが、今回その作戦は使えそうもない。

「とりあえずあの二羽は行動不能にするよ」

 瑞葉が再び魔法を放つ。今度は降りてきた二羽の元へ鋭い風の刃を起こした。風は二羽の翼を切り飛び立てなくする。

「くるるるるるるるるぅ」

「ごめん、私の魔法じゃ倒すのはやっぱ無理」

 地面に落ちた二羽のフクレドリは翼を切られて飛ぶのは難しいだろうが、死んではいない。寧ろ周囲に警戒を促すように高らかに鳴き声を上げている。

「残ってる上のやつらは? 動きそう?」

「え、と、たぶん、動揺はしてる。すごく、警戒してる、みたい」

 明らかな敵の出現にフクレドリたちは先までよりも警戒を密にしている。樹上で枝から枝へと移動しながら監視の輪を広げているようだ。

「じゃあもう一回、行くよ」

 今度は別地点の茂みへ風の魔法。再び何かいるように見える程度に茂みを揺らす。しかしそれから少し待ってみても降りて来る影はない。

「警戒は、してる。多分、みんなあの茂みに、注目はしてる」

「じゃあそろそろ俺の出番だな」

「気を付けて、無理はしないでね」

「ああ」

 ロロが移動を開始する。フクレドリが注目しているであろう茂みを迂回し、目指すは巨木付近。今彼らが狙っているのは巨木に身を隠している群れの本体だ。瑞葉が上の注意を引いているうちにロロが近付いて一撃離脱を狙う。群れが固まっているのならば一羽でも死ねばそれの破裂に巻き込まれ群れが壊滅するだろうという算段だ。樹上のフクレドリには逃げられるかもしれないが、動揺した隙を突いて瑞葉とハクハクハクが攻撃を仕掛ければ何羽かは倒せるはず。そしてそれだけ倒せばしばらくこの山にフクレドリが棲みつくことはないだろう。十分に依頼を達成できる。

 竜神は新人たちの奮闘を後ろから見つめている。彼女は一抹の不安を覚えている。ハクハクハクの索敵能力は高く、樹上のフクレドリの位置を完璧に掴んでいる。ロロも先の戦闘の様子を見るに問題はない。道中で発見さえされなければ群れが気付く間もなく一羽殺して作戦が成功すると見ていた。ロロが発見されないかどうか、その鍵は瑞葉が握っている。

「……ロロは」

「う、ん……、まだ、半分ぐらい」

「……そう」

 瑞葉の魔法制御は竜神の想像を上回っていた。彼女が風の魔法を狙い通りの遠方に発生させた時は思わず感嘆の声を上げそうになったほどに。しかしその制御技術に対して彼女の魔力量は未発達だ。魔力と集中力を大きく削る遠隔で発動する魔法を連続で使用し続けることが果たして彼女に可能なのか。

「はあ、はあ」

 息が切れ、汗が伝う。瑞葉は自身が思う以上に消耗していた。考えてみれば彼女はこれほどに魔法を連続で使用したことがなかった。ロロが群れに辿り着くまでこれを続けることがどれほど過酷な事か彼女は今になって初めて気付かされたのだ。徐々に想定した位置とずれた場所に風が発生するようになっている。そして茂みからずれた場所に発生した風に樹上のフクレドリが違和感を持ち始める。

「……あと、どれぐらい?」

「もうすぐ」

 瑞葉は胸の辺りに痛みを感じ始めていた。魔力の使い過ぎで魔力を生み出す源の魔臓が悲鳴を上げている。それでも彼女は次の魔法を発動させようと。

「瑞葉」

 竜神が瑞葉の肩に手を置く。

「ここまでだ」

 それが身を案じての言葉だということは瑞葉もわかっていた。しかし彼女はまだ魔力を練ろうとしている。目標の茂みを見つめて、指をさし、風の魔法を。

「わっ」

 瑞葉の身体が空を舞う。竜神が真上へ放り投げたのだ。やがて重力に従い落ちて来る体を竜神は片手で受け止める。

「魔力の使い過ぎは魔臓を痛めることもある。若い才能を潰すまいとする気遣いを感じてほしいね」

「……はい」

 地面に降ろされた瑞葉は流石にそれ以上は反抗しなかった。しかし心配事はある。

「ロロはどうするんですか?」

「もう着いたな」

 既にロロは群れから最も近い茂みに身を潜めている。剣を抜き狙いを定めている。巨木の幹の根元に集まる十羽ほどの群れ。その中で外側にいる一羽に向けて、今、地面を蹴る。

「くるうううううぅ!」

「気付かれた!」

 樹上の一羽が鳴き声を上げて飛んだのとロロが地面を蹴ったのはほぼ同時だった。鳴き声に反応し群れの視線がロロに突き刺さる。速度に乗ったロロはもう止まれない。

「ロロ!」

 瑞葉の叫び声、それは思わず上がったものだが一瞬フクレドリたちの気を引いた。竜神はもしもの事態に備え身を前傾に、いつでも跳び出せる体勢だ。ハクハクハクは変わっていく情勢に狼狽え体が震えて動かない。

 そう、物事の情勢は移り変わる。それが急であればあるほど心を大きく乱される。それは人も魔物も変わらない。もしも心を乱さずひたむきに前へ進むことができるなら、それはどれほどの強みなのだろう。ロロはフクレドリの動きの変化に気付いている。瑞葉の声も聞こえていた。自分の置かれている状況を認識した。しかし迷いは生まれなかった。

 剣が一羽の魔物を切り裂く。群れにいる他の個体は既に彼に向けて飛び立たんとしている。更に上空から数羽が逃がすまいと向かっている。

「よっし!」

 ロロは大きく後ろへ跳んだ。彼には目の前の訪れた現実が想定外だったところで関係ない。ただそこからいいと思える方へ行動するのみ。

 パァン、と大きな音を立ててフクレドリの死骸が破裂する。その衝撃波は周囲にいたフクレドリを吹き飛ばす。ロロのいた地点には少し煽られる程度の突風が来た程度で大した影響はない。しかし、大きな問題があった。

「そんな、効いてない!?」

「先に気付かれたからだよ」

 フクレドリは死後の破裂で同士討ちをすることがある。しかしそれには例外があり、破裂すると事前にわかっている場合だ。この場合は衝撃波が来る前に体を膨らませることで衝撃波に乗って吹き飛ばされることでほとんど被害を受けないようにすることができる。

「フクレドリもやるなあ」

 そして衝撃波に乗って大きく移動したそれらはロロを取り囲むように散らばった。

「狙ってその辺に来たのか?」

 当然、答えることはない。純粋な速度ならロロに分がある。しかし少しでも移動を阻まれれば一気に囲んで袋叩きだ。更に殺して破裂させると今度は逃げきれない公算が高い上に、敵はその衝撃波に乗って一気に移動するので逃げきれない。危険な状態にあることはロロにさえわかっていた。動きが止まったのはどうしていいかわからないからだろう。

 恐怖が体をすくませることがある。今の瑞葉がそうだ。自分の失敗を自分で責め、来る未来に怯えて動けない。何かしなければいけない、しかし焦る心と裏腹に体は震え頭の中は混乱し考えもまとまらない。

 恐怖が体を動かすことがある。来る未来が自分にとって望ましくないものである時にそれが来ないようただ我武者羅に。自分がどうしてそういったことをしなくなったのかも忘れて。

「まあやるか」

 そう呟いてロロは剣を構える。悩んでいても状況は好転しない。むしろより包囲網が盤石になるだけだ。周囲はどこを向いてもフクレドリとその向こうに見える木々ばかり。どの方向なら突破できるかはわからない。ならばどこでも一緒だろうと瑞葉たちがいない方向へと狙いを定める。

「上に跳べええええ!」

 この山の隅から隅までに響かんばかりの声を上げたのは竜神だ。ロロの反応は早かった。声が聞こえたとほぼ同時に地を蹴って上へ、上へ。しかし空は、飛べる魔物の領域だ。

「は?」

 周囲のフクレドリが当然のように軌道を変えて宙を舞うロロへと羽ばたく。しかし彼の目にそんなものは映っていなかった。

 遠くで木が宙を舞っている。根元から無理矢理に圧し折られそのまま空中へかちあげられたように。いやそれだけではない、地面にあった枝葉や石も巻き込み渦を巻くように何本もの木々が向かってくる。それは先までロロがいた地点の辺りへと向かっている。いいや、今も勢力を増すように大きくなるそれはもっと高く跳ばなければ彼をも巻き込むだろう。

「まっ、たく」

 いつの間にか竜神がロロの真下にいた。直後、彼女の足元の大地が石の壁となり隆起する。それはあっという間にロロがいた高さへ、そして竜神が彼を引っ掴むと更に高く、高く。

 ズゴドオドドドドッドドドドドッドドオオオォォ。

 フクレドリの破裂音が飲み込まれるほどの轟音を立てて石壁にぶつかる。木々が粉砕され石壁が抉れるほどの威力、巻き込まれて無事でいられるものはそうはいないだろう。少なくとも巻き込まれた魔物たちは一羽たりとも生き残ることはなかった。竜神に助けられ高所からその様子を見ていたロロはぽかん、と開いた口が塞がらないようだった。

 局地的な竜巻のような恐るべき魔法の発生源たる一人の少女は目の前で起こった出来事を見てへたり込む。またやってしまったと、自責の念に駆られている。

「今のって、ハクが?」

 隣にいた瑞葉が尋ねる。一部始終見ていたのだ、疑いようもなかった。しかし想像を遥かに超えたことが起こった時に信じられないと思うのは決して珍しいことではない。ハクハクハクは問いかけに答えなかった。それは後悔と自責のあまり反応できなかったのであり、こんな結果を求めていたわけではないからであり、何よりもそれを認めればまた自分は一人になると思っていたからだ。結果を見て考えてほしい、ロロを助けようとしたのだと誰が思うのだ。普通はこう思うだろう、あの少女は仲間ごと魔物を殺そうとしたのだ、と。

「竜神さん、今のは?」

 時を同じくしてロロもまた竜神に尋ねる。

「どのことだい? 足元の壁なら私だよ」

「さっきの木が飛んでたやつは?」

 その問いに答えるべきか、竜神は少し迷っていた。彼女は基本的に面倒見が良い冒険者だ。自分が関わった新人がどうなったかをよく気にしている。それ故にハクハクハクがなぜ今のようになってしまったかを知っている。ロロは何のためにこの問いかけをしてきたのか。竜神は表情からそれを読み取ろうとしたが、ただぼんやりと折れた木々や抉れた大地を見ているようにしか見えない。

「あれは……、ハクハクハクの魔法だ」

 結局、彼女はそれを明かした。或いは彼に何か期待のようなものをしていたのかもしれない。

 竜神が躊躇いがちではあるが答えを発した時、ハクハクハクもまた瑞葉の問いに答える。瑞葉が見つめる中、緊張と恐怖でぎこちなく、しかし確かに頷くことで。そして彼女はそのまま俯いて恐怖に背筋を振るわせる。

 そして、ロロと瑞葉は奇しくも同じような言葉を発した。

「すっげえ!」「すっごい!」

 二人共が同じような大声で、竜神は顔をしかめ、ハクハクハクはぎこちなく振り返り不思議そうに瑞葉を見る。

「ハクハクハクってあんなに凄かったんだな! 竜神さん見た? 木がさ、宙を舞ってさ! 俺だってあんなに高く投げられないぜ? うわああ、もっと近くで見たかったああ!」

「あんなに凄い威力で撃てるの? 私なんかよりずっと凄いじゃん! 昨日すごく自信なさそうにしてたから威力とか全然出せないのかと思ってたじゃん! もう、ちゃんと教えといてよ」

 竜神もハクハクハクも二人の勢いに圧倒される、或いは呆れている。だからと言って二人が止まることなどないが。

「この下の壁も抉れてるし。ていうか、これ竜神さんがやったの? それもすげえ! この壁とハクハクハクの魔法がぶつかるとこもっとちゃんと見とくんだったなあ、絶対瑞葉に自慢できたのに」

「見てよあれ、この辺全部吹っ飛ばしてさ。あの壁はハクのじゃないよね? 竜神さんのかな。でもあれも結構抉っちゃってさ、凄いじゃん! 私、ショックだよ、ハクが魔法撃つとこ見逃しちゃったんだよ? ロロに絶対自慢できたのに!」

 この場に魔物はもういない。ハクハクハクの魔法に巻き込まれ破裂したか、竜神が石壁を隆起させたときにまとめて串刺しにしたからだ。そのせいでロロと瑞葉を止める者はおらず、竜神とハクハクハクはしばらく無言で二人が興奮してしゃべり続けるのを聞いていた。そして合流してからもまだうるさい二人に竜神は大きな溜息を一つ、ハクハクハクは困ったように苦笑いを浮かべるのだった。


 冒険者たちが山を下りる。その顔は明るく、興奮冷めやらぬと言った具合の様子もある。依頼主が良い報告を待っているだろう。自然と足早になってどんどん進む。ロロと瑞葉の初めての依頼は成功に終わる。冒険者として確かな一歩を踏み出したのだ。


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