お手伝い お城の掃除編
「次はどこいくの?」
「次はメイドの部屋ですね。」
「メイドさんの部屋に行くの?」
「そうだよ。そこでお掃除のお手伝いだよ!メイドさんには色んな仕事があるけど、今回はお城の掃除をしてくれるところ。拭き掃除や掃き掃除をしてくれるんだ。」
「城の掃除は1日に何回もしてるんだぜ。常に城を綺麗に保ってるんだ。」
「すごいね。」
「失礼します。メイド長、いらっしゃいますか?」
「はい。なんでしょうか?」
すごい綺麗な方だ… なんか海系のモンスターっぽいな。人魚というより魚人って感じかな。
綺麗だなぁとポーっと見惚れてしまう。その視線に気がついたのか、いぶかしげな声で「どうしたんですか、姫様。私に何か?」と聞かれてしまった。
「あっ、その、綺麗だなって。つい見惚れてしまいました。」
「あら、そういうことね。ふふ、ありがとう。」
ひぇー、微笑みを頂いてしまった!対応もスマートだし、やっぱり慣れてるのかな。
「よかったな、ばぁさん!若作りが成功していて!」
「…はぁ?お前!待て!ちょこまかと逃げるな!」
「へへーん!捕まえてみろよ!」
おぉ!さっきより身長が伸びて、でっかくなってる!
「ケル。いい加減にしなさい。はぁ。」
「ねぇ、どういうこと?」
「メイド長さんは寿命が長い種族でね。パッとみ、綺麗に見えるんだけど…年齢がね、もうだいぶいってて。若い子たちには負けないって頑張ってるんだけど…」
「なるほど…」
そして、数分の格闘ののち、ケルがビンタをされて決着がついた。
「ほほほ。お見苦しいところをお見せしました。」
「いえいえ。」
「ちぇ、本気の俺たちだったら勝てるのにな。」
「あなたがふっかけた喧嘩で私たちが手を貸すわけないじゃないですか。」
「うん。そうだよ。大体ケルが悪いし。」
「それで、貴方達は何用で?」
「こいつがさ、みんなの手伝いをしたいんだってよ。だから、何か手伝えることないか?」
「そうですか。うーん、今は階段掃除の時間だから、そこかな。」
「分かりました!道具はどれですか?」
「あそこの箒とかモップがセットになってるやつよ。本当に大丈夫なの?無理してやらなくてもいいのよ。」
「いえ、取ってきます!」
雑巾で直の床拭きだと思ってたけど、モップがある!最高!
「掃除する場所は、西側をお願いできるかしら?」
「はい!いってきます!」
「勝手に1人で行くな!」
「走ると危ないですよ。」
「待って!みんな!」
「よし!どうよ、この綺麗さ!」
学校の階段掃除を思い出したわ。まず、上の階から箒でほこりを掃いて、次に雑巾がけ。あっ、今はモップがけか。
「えぇ、とても綺麗ですわ。よく磨けてます。」
「わっ!メイド長さん!」
いつの間に… やっぱり異世界。ひと味違うわ。
「まさかここまでやるとは、思いませんでした。掃除上手なんですね、貴方。」
「ありがとうございます!」
えへへ、美人にお礼言われた。はぁー!ありがてぇ!
「なにデレデレしてんだよ!お前!」
「えー!いいじゃん、別に!」
「そうよ、ケル。美人を前に鼻の下が伸びるのも当然よ。」
「はぁ?お前はババァだろ!」
「なんですって!」
「ストップ!ケル、そんなにつっかからない!メイド長さんも、年齢のことでいちいち怒らない!」
「うっ、分かったよ。」
「えぇ…」
ホワホワしてる性格してる人からのトドメの一撃。きっついなぁ、特攻つきますこれは。
「では、次はどこ行きましょうか?」
「次はもう決めときましたわ。」
「えっ?」
「次は洗濯部門ですわ。班長には伝えておきました。」
「わ、分かりました。そちらに向かわせてもらいます。」
「いいのですか?エトワール様。」
「うん。期待しもらってるってことでしょ。頑張ろう!」
「うふふ。姫様、お願いしますね。」
「はい!」
ふー!美人にお願いされちゃった!
私はテンション爆上げで次へ向かった。