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東京いんべーだーず  作者: 鯖鮨 握
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第八章 さまよう者

リーダーが撃たれたあの時から、どれくらい経ったのだろうか。私ともう一人は、同じ方向に逃げてまだ一緒にいる。一人でいる恐怖感を避けるためか、危険が迫った時に盾にするためか分からない。いつもなら、仲間として過ごしているが、減っていく仲間たちの生命反応がどんどん減っていくのに合わせて会話も減っていった。道中、四足歩行の生物に追われたりもしたがどうにか生きている。

 とぼとぼとさまよっていると私たちに集合信号が出た。かなり距離はあったが、私たちはそこを目指すことにした。だが、すぐに反応が消えた。でももしかしたらそこに仲間がいるかもしれない。そういう儚い希望を抱いて進んだ。

疲労も限界に達したころ、仲間が口を開いた。「もうやめないか?」「まだ反応地点まで距離がある。」「仲間がまだそこにいるか分からない。現に反応も消えている。」「ほかに行く当てもないだろ?」大きくため息を吐いて彼はしゃがみ込んだ。

「故郷に帰りたい。」「滅びた惑星に?」「ああ、ここに比べたらずっと良い。追われることも死ぬことも無かった。」「でも。」「ああ、もう帰れない。第二の故郷も地獄だった。125万年の間に一体何が有ったっていうんだ、この星に。」隠れてさまよう、その生活ももう限界だった。

「もう限界だ。」「そんなこと言うなよ。」「自分で自分が嫌になる。怒らないで聞いてくれ、君を盾にするために今まで一緒にいた。さみしいとか怖いとかもあるが…私には君が盾にしか見えないんだ。」「…奇遇だな。私もだ。」極限状態の時考えることは同じらしい。仄暗く互いに微笑んだ。「もうごめんだ。」そう口走ると彼は走り出した、大通りの方へ一直線に。

そして巨大な生物の前に飛び出て、ぶつかった。鈍い音と一緒に彼は遠くに飛んで行ってしまった。もしかしたら、止められたのかもしれない。でも、止められなかったし止めなかった。

目の前で仲間が死に周りにこの星の生命体が集まってきた。生命体は謎の機械を取り出し、死体に向けている様だった。見つかる前に逃げなくては。こんな時でも自分のことしか考えていない事実に嫌気がさした。そしてその時、再びあの場所で集合信号が鳴った。私は信号に向けて歩み始めた。


宇宙人残り63人 カメラマン70億人


読んでくれてありがとうございます。

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