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東京いんべーだーず  作者: 鯖鮨 握
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第七十章 未来のために

 宇宙人たちは残り三名、そのうち一体の座標は研究所を指している。そこにいる個体は残念ながら救い出すことは難しいだろう。だが、残り二匹は言ってしまえば野良だ。救出できるとそう思っていた。

 だが、そこに待っていたのは兵士に捕獲された個体だった。恐らく数日早ければ翌朝に輸送が始まってしまう。だが、こちらには武装もなく強奪は難しい。助けることはできないかもしれない。だが、一つだけ手があった。モジュールを使用して、奴らを誘い出しキャンプを手薄にすることだ。

 モジュールの集合信号を起動させ、運送用のトラックに投げ込む。キャンプを覗くと兵士たちが慌ただしく出撃の準備を始めて立ち去っていくタイミングに立ち会った。物陰に意識を潜め、トラックを追う彼らの車両を見送る。残ったのは僅か数名の兵士だ。今ならば救い出せるはず。

 テントの陰に隠れながら、ゲージを盗み出し野営地を後にする。宇宙人は驚いた顔をしながら、ゲージの中から私を見つめていた。屋外でゲージの外から麻酔をかける。必死で意識を保とうとしているようだったが、その意識はすぐに消えた。

 手術は無事に成功、腕のモジュールは摘出に成功した。目が覚めると彼は腕を擦って怯えていた。だが、こうでもしなければ、彼らを救えないのだ。我慢してもらわなければ。機内持ち込みの荷物として彼を持ち込む。特殊な器具が入っているから検査にかけると機材に影響が出ることを言い訳に、入れ子状になっているケースの中身を見せ、検査をかわす。以外に騙されるものだ。科学者という肩書が人を信用させるのかもしれない。

 ラボで最初の一匹にまた、事情を説明してもらう。「こいつは出しても問題ないよ。感謝しているらしい。」ゲージを開けて外に出してやると彼は喜んでいるようだった。残りは一人。彼を救い出せば計4名、私は宇宙人を救出したことになる。恐らく現代の人間からは愚かで恐ろしく見えるかもしれない。だが、後世の人間から見ればきっと素晴らしいことをしたと信じたい。何かとんでもないことをしている時、渦中にいる人間の共通の祈りかもしれない。今の時代に受け入れられないとしても、後世では認められると信じたいと。

 最後の一体を助けに出かけよう。私の行動が、世界を変えられると信じて。


宇宙人残り2人 先駆者70億人



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