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東京いんべーだーず  作者: 鯖鮨 握
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第五十七章 帰還の時

 宇宙人が地球人の明確な脅威になってから数日が過ぎた。各国の政府機関では避難を考えたり、あえて立ち向かう意思を示すために会議を普段通り実施する組織がいた。今となってはどこが爆発してもおかしくないのだ。地球上を見えない爆弾が這いずり回っているような現状を打破するために自衛隊や、人間側の宇宙人たちを送ったもののその成果は芳しくなかった。

 日本は各国に宇宙人を輸出した責任を問われており、まるで日本が宇宙人という兵器を世界中に撒き散らしたような印象になってしまっているのだ。日本がまだ爆発の被害を受けていないことも、その原因の一つだろう。だが日本の宇宙人たちはこちらに付いたのだから当然だ。この状況で日本を責めるはお門違いもいい所だが、世界が冷静さを欠くのも無理はなかった。

 連日連夜の電話会談や閣議に追われ、息も荒くなる。せめてもの救いは、日本の政治的施設が被害を受けていないということだ。だがそこに現れたのは、宇宙人だった。味方ではないことをその目は物語っていた。SPが私の前に立ち盾になったが、もう遅かった。議事堂は吹き飛んだ。

 

 深夜のテレビに今まで見たことが無い文面のニュース速報が流れた。国会議事堂が爆破、原因、死傷者数ともに不明。そのニュースは世界を駆け抜けた。原因は不明と出ていたが、最近の動向からみても宇宙人の仕業とみて間違いないだろう。

 サイレンの音が聞こえる。会見できる政治家は生きているのだろうか。我々が全貌を知ることができるのはいつになるのだろうか。そんなことばかり頭が巡った。


 私たちは後ろ盾を失ったのかもしれない。日本の主要な政治施設が爆破された。人間側のエイリアンとして私たちを引き入れてくれた国家の施設が、恐らく同胞の手で破壊されたのだ。兵士たちは口には出さないが、我々に対しての感情も変わってしまったはずだ。

 我々に与えられた任務も終わりが近づいていたとはいえ、この状況では特別居住区として私たちの生活を保障してくれるかも怪しいだろう。だが、最後まで戦うだけだ。今のところ拘束に成功したのは一人、残りは自爆や射殺される未来を選んだ。国内の動物園に拘束されているのも一人、我々を除けば残り約10人エイリアンがいる。彼らの場所は掴めないままだ。強力な爆弾を持った連中は中でも何人いるのか不明のままだ。

 彼らを救うのか殺すのか。インベーダーは生きているのか。それを突き止めなければならない。人間がドアを開けてゆっくり入って口を開いた。「動物園に取り残されたお前らの仲間なんだが、逃げ出したらしい。」悪いニュースは続くものだ。

「逃げ出したのか?どうやって?」「警備の人間が殺されていたり、さっきの爆発事件の事を考えると、宇宙人が日本に再び上陸したと考えられる。そいつらに助けられたのだろうよ。」「日本に帰ろう。上陸した連中を探し出して拘束する。」「残りの連中は?」「俺だけでいい。他の仲間は引き続きこの任務に当たらせろ。」「分かった。」人間を殺す宇宙人。インベーダーかもしれない。奴と決着を付ける良い機会だ。飛行機に乗り込んで日本を目指す。ゆっくり眠れるのはこれが最後かもしれない。


 宇宙人残り15人 被害者70億人


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