第三十一章 追跡の終わり
宇宙人風情が自ら死を選ぶとは思っていなかった。だが、あそこで自ら死ぬということは、仲間がいるということだろう。もはや、東京だけでなく周辺の関東圏も含めて掃討地域の対象にした方がよいだろう。
警察に通報し、その場を立ち去る。元警察だし、今となってはテレビにも出ている。しかも何人も鉄パイプで殴った人間だ。中にはきっと死んだ人間もいる。厄介ごとはごめんだった。
だが、次の日の一面は決まった。東京以外にも宇宙人が出るのだ。奴らを根絶やしにするためには関東圏全体での殲滅作戦が必要だ。もしかしたら日本全体に潜んでいるかもしれない。あの日、目の前で少女からエイリアンを奪われた日から俺はモジュールを手放せなかった。国が管理している研究機関が持っているモジュールとは別の俺が宇宙人から奪ったものだ。集合信号を奴らが出せば、そこに押しかけ宇宙人を血祭に上げる。それが俺の仕事だ。集合信号はもう確認できないことだし東京に帰ろう。
東京外でも宇宙人出没―ラジオで速報が流れた。外出を控えるように指示が出た。急いで家に帰るとしよう。そう思った矢先、集合信号が光った。しかも近い。恐らくさっきの奴らの仲間だろう。ハンドルを信号の方に切る。
目的地に着いた。どうやら奴らは集合住宅の一室に潜んでいるようだ。ゆっくりドアを開け、一匹を鉄パイプで殴打したが、殺し損ねた。さっきの奴とは違い、油断してうたた寝はしていなかったのがいたかった。慌てて三匹が窓の外に逃げ出した。階段を駆け下り車に乗り込み追いかける。集合信号を消さない限り、どこまででも追いかけてやる。
だが、集合信号は逆にこちらにどんどん猛スピードで迫ってきていた。良いだろう。車ではねてやる。そう思いアクセルを思い切り踏み込んだ。だが、向こうのスピードが速すぎるのに気づいたときにはもう遅かった。私の左目が最期に捉えたのは、突然角から現れた巨大なトラックだった。
宇宙人残り40人 狩人70億人
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