第二章 地球を救えヒーロー
みんなどこに行ってしまったのだろう。
リーダーが死んでから一晩経ったが、まだ信じられない。
あれはこの星の生命体からの攻撃だったのだろうか。それすら私たちには分からない。
川の近くの橋の下に隠れたものの、他の仲間たちは無事だろうか。
母星が滅びた私たちの第二の故郷になるはずだったこの星は、
私たちが思っている以上に大きく変化を遂げた。
125万年前は木々や自然が満ちており、まさに我々の惑星のようだった。
だが、今は見たことがない物が地上に溢れている。
この星は変わり過ぎた。不時着先を間違えたのだろうか。
ざわめきが聞こえて、思わず茂みに身を隠した。
いやな感じがする。そういう予感だけは必ず当たるものだ。
この星の知的生命体らしい。
だが、不時着地点で見た個体より小さく背中に尾?ひれ?甲羅?とにかく何か背負っているらしい。群れで近くまで歩いてきたようだ。
幼体なのかもしれないが、コミュニケーションを取ってみる価値はあるかもしれない。
だが、リーダーのように殺されたら?そういう考えが頭をよぎる。
手足が震え動けない。彼らの背中は遠ざかって行く。
意を決して彼らの方へ向かい声をかける。
「待ってくれ!私は仲間を探しているんだ。探すのを手伝ってくれないか?」
彼らは私に気づいたようで、笑顔でこちらに走ってくる。
良かった。やはりこの星の知的生命体は友好的で、コミュニケーション能力がある。
次の瞬間、彼の中の一人が甲羅で私を殴打した。次々と別の個体も私を殴打する。
意識が遠のき、視界がフェードアウトする寸前、腹部が急激に熱くなった。
そして数秒後激痛がやってきた。意識が痛みで引き戻され私は叫んだ。
「あああああああああああああ、なぜだ!なぜこんなことを!」
殴打は止まらなかった。彼らの中の一人が持っている刃物に私の血が付いていた。
恐らく、彼が私を刺したのだろう。なんて、野蛮で残酷な生き物。愚かで低俗だ。笑顔で別の生き物に刃を突き立てるなんて。
彼らは笑いながら全員刃物を持って振りかざした。
刺さる寸前で命を落としたのが唯一の救いかもしれない。
宇宙人六十九人 地球のヒーロー七十億人
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