第十四章 我々は
今日も奴らが来た。常に身を潜めて息を殺して通り過ぎるのを待つ。毎日毎日嫌になる。あれに連れ去られた仲間は数人見たことがある。奴らは何のために私たちを探しているのだろうか。ただの破壊衝動なのか、敵対心なのか。全く分からない。
捕まえてどこかに連れていく。行先は分からない。でも友好的ではないことくらい見ればわかる。「行ったか?」「行ったらしい。」同行した二人と息をつく。他の仲間は今頃何をしているのだろう。生存反応は次々と減ってついに60人を下回ってしまった。
「いつまで、こうして逃げ回るんだ。」「集合信号出せば仲間に会えるかもしれないが、移動させるリスクを負いたくないし、負わせたくないのさ。」「でも大分奴らからの逃げ方もわかってきたし、きっと大丈夫だろう。」そんな風に笑い合う。でも、その日の追手は違った。仲間の脳天が目の前で突然破裂した。着陸時のリーダーと同じやられ方だ。気づいたらもう一人の仲間とはぐれて走り出した。
走って走って逃げ続ける。そして何かにぶつかった。見上げると奴らと同じ形の生き物だった。もうだめだ。次の瞬間、そいつの脳天も破裂した。一体何が追いかけてきているのか。全く分からない。振り向けば死ぬ気がして、ただただ走り続けた。
息が切れて立ち尽くす私を何かが包んだ。奴らが笑顔でこちらを見ている。私は捕まったらしい。でも死ぬよりずっと良い。あれを見た後だからかもしれないが心からそう思った。
私を捕まえた奴らは私を別の奴に渡すと、私は化け物に乗せられ、何かを腕に刺されると、うとうとして気絶してしまった。起きると手足は固定され動けなくなっていた。目の前の人間たちはにやにやしながらこちらを見ている。周りにいる仲間二人もその状態だ。「おい、ここはどこなんだ?」私は仲間に尋ねた。だが、目の前の人間が微笑んで答えた。「ここは研究所だよ。ようこそ、宇宙人。我々は地球人だ。」
宇宙人残り57人 地球人70億人
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