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東京いんべーだーず  作者: 鯖鮨 握
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第十章 市場

 この星の生命体にさらわれてからどれくらい経ったのだろうか。化け物だと思っていた巨大な生物は我々にとってのクジラのようなものらしい。陸上しか移動できない物の外壁は丈夫そうだ。座り心地はクジラの方がよいが。

 突然生物が止まると、男は私を入れている籠を運び出した。どうやら目の前にある建物に連れていかれるらしい。中には男が一人、そして仲間が二人閉じ込められていた。そして、仲間の檻に入れられた。私を誘拐した男は言い争った後、何かを受け取ってそそくさと立ち去って行った。

 しばらくすると外が騒がしくなった。巨大な幕を抜けて沢山の生命体の前に引きずり出された。私たちと同じく舞台の上に上がる個体は、木槌の様な物を振りかざして場を盛り上げているようだ。舞台のでは生命達がまばらに札を上げている。あの札にはどんな意味があるのか。全く想像がつかない。舞台上の個体が勢いよく木槌を振りかざすと、拍手が起こり、また幕をケースがくぐっていく。我々はそれぞれ別々のケースに入れられ布をかけられたようだ。私を運ぶ個体は化け物にケースごと背後に私を置いた。

 先ほどの建物の大きさに勝るとも劣らない、大きな建物の前についた。ケースから出されると、巨大な刃物を持った男が近づいてきた。瞬く間にその包丁は私の首に振り下ろされた。


 宇宙人を食べる。今まで様々な動物を食べてきた私だが、宇宙人を食べた初めての人類になれるそのためなら10億程度惜しくはない。うちのシェフは手際よく調理に移った。あっという間に宇宙人の首を落とすと、内臓を抜き、血を抜いた。水で洗う感覚は、白身魚に近いらしい。「なら、寿司にしてくれ。」そう命ずると、シェフは酢飯を仕込み始めた。大きな食卓に前菜やワインが並ぶ。これから初めての味に出逢う幸福感を飲み干すために私はグラスに手を伸ばした。


宇宙人残り61人 捕食者70億人

読んでくれてありがとうございます。

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