~22~ 水中の月
「待たせてごめんね~、四季!」
「ごめんなさい!」
「え、なんで......え、ロリコン?」
「違ーーーーう!!!」
我が妹、春は側にいた乃愛ちゃんを見て俺をロリコンと判断した。いや、無理もないよね。だって、着替えて帰ってきたら知らない銀髪美少女小学生(見た目が)と話してるんだから。
俺がもし春の立場なら無言で警察を呼ぶだろう。
「あ、乃愛ちゃん!? なんで!?」
驚いたように彼女の名前を呼んだのは南乃だった。それに応えるように南乃へと走っていき飛び付く。
「美七冬ちゃんだあああ!!!」
「わあ、遊びに来てたの!? 偶然だねえ!」
「うん! 四季くんと美七冬ちゃんに会えるなんて嬉しい!」
「私もとーっても嬉しいよ! ふひひ」
本当、仲良いいな。二人の抱き合う様子を眺めながら俺はその場にかがみこむ。......ちょっとどっか座っていい?一分くらいで大丈夫だから。
「え、で? 誰なのさ、この銀髪幼女?」
「春さん! とりあえずその目やめない!? マジで怖いから!!」
闇魔法を酷使しその対価に心を奪われた魔法使いなのだろうか?と錯覚してしまうレベルの真っ黒で光の映らない瞳でこちらを見ている。
【俺の妹は闇魔法使い】~心を蝕むその魔法は感情を食らい最強魔法へと至る~
ってラノベが始まりそうだ。......とか考えとる場合じゃないぞ。説明せねば!
「前に行ったカフェの店員さんだよ。 ......こうみえてお前と同い年だ」
「「え!?」」
隣で同じように話を聞いていた日夏も、口に手をあて驚いていた。
そりゃ驚くよね。どうみても小学生だからね。俺も最初そうだと思ってたしな。
「え、あなた中学生なの?」
春が乃愛へと聞く。
「うん......」
人見知りモードにはいる乃愛が怪訝な表情で春を見る。ジト目がよりジト目になっていてとても可愛い。
「そうか......なるほど、ね」
「春ちゃんと同じかあ! あ、あたし西垣 日夏って言うの。 よろしくね!」
日夏は、その名の通りの夏を表すような眩しい笑顔で、手を差し出した。
「あ......うん。 し、白川 乃愛、です。 よろしくお願いします」
乃愛は日夏の手を握り、少しだけにんまりと笑う。その隣の春も腰に手をあて頷きながら自己紹介を始めた。
「......誤解してごめんなさい。 うちはこの北条 四季の妹。 北条 穂四春よ。 よろしくね。 ちなみにあなたと同じ中学生よ」
「わ、私と? 高校生の方だと思いました......大人っぽいですね。 羨ましい」
「......そうかな。 うちは貴方の方が羨ましいけど」
その時タイミングを見計らっていた、おじいちゃんこと白川 永一さんが挨拶をしはじめた。
「いやはや、乃愛、沢山のお友達が出来て良かったのう。 遅れながらわしは白川 永一と言います。 乃愛の祖父です。 よろしくお願いします」
深々と頭を下げる筋肉もりもりのおじいちゃん。その体を服越しではあるが見たことのある南乃はともかく、他の日夏と春はじっとみいっていた。
「あ、よ、よろしくお願いします。 日夏です」
「......お、ねがいします。 穂四春です」
隣にいた乃愛へ耳打ちをする春。すると乃愛も春へと耳打ちをした。
「す、すごい筋肉だね、おじいちゃん......」
「すごいでしょ! かっけーよね......へへ」
「え、あ、う、うん。 かっけーね!」
しかし――
ロリコン疑惑発生イベントに焦っていたのでそれ所ではなかったのだが、着替え終わった彼女達の衣装、それは携帯ゲーム、つまりソシャゲであればピックアップモノの水着姿であることを決して忘れてはいけない!
まず南乃!彼女の着ている水着はおとなしめなモノで淡い水色。しかしながらその二つのたわわのせいで、皆に注目されてしま......って、うお!?
辺りを見回すと明らかに、南乃、日夏、春、乃愛を見ている男達が通行者を装って歩き回っていた。
しかしそれは仕方の無い事。この圧倒的四人の美女を一度でも目の当たりにすれば、きっと俺でさえも太陽の周囲を回る惑星のように、いつまでも彼女達の周囲を歩き回るだろう。はい、逮捕ー!
でもさー、日夏は日夏でフリル付の黄色とオレンジのビキニでこれは見るなと言っても無理があるし、春だってスタイル良すぎ(あ、胸はないよ?)だから、地味な感じの白のセパレート着ててもすげー魅力的だし、乃愛ちゃんにいたっては銀髪碧眼の水着じゃなくても目立ちすぎる容姿っていう。
もう無理だよ、これは見るなと言われても。しかし一緒にいるマッスルボディ永一さんのお陰か、誰もナンパに来ない。ありがてえ!
前に春とデートしたときは一時間に一回ペースでナンパされてたからな。しかしもう手慣れたもので「うち、中学生なんだけど良いの?」と軽く撃退していた。
「ふむむ。 これはプールへ逃げ込んだ方が良いですな......」
「た、確かに......恥ずかしいね。 に、日夏ちゃん春ちゃん、乃愛ちゃん......いこ?」
すると乃愛ちゃんが俺の服のはしを摘まむ。
「......僕、ちょっと四季くんとお話ししたい」
話か。俺も永一さんと話したいことあるし、それじゃとりあえず女子三人でプールに入っといて貰おっかな。
「俺も永一さんと話したいことあるから、みんな先に遊んでいてくれ。 あ、ナンパきたらソッコーこっち(永一さん所)に避難な」
「あいよー! 四季はやくね」
「お兄ちゃん......ロリコンじゃないんだよね。 信じるからね」
いや、やめろや!!日夏と南乃にもしかしたらって思われんだろーが!!
「四季、くん......待ってるからね」
「あ、おう。 まあ、ゆっくり涼んでて!」
にこりと笑う南乃。前髪で隠れた笑顔でも俺には眩しかった。
◇◆◇◆◇◆
遠目に彼女ら三人がばしゃばしゃ遊んでるのが見える。春が日夏のくすぐり攻撃の餌食でピンチになってるが、まあ、大丈夫だろ。なんか涙目になりながらこっちに手伸ばしているけども、きっと大丈夫。
永一さん、俺、乃愛ちゃんと三人そろってパラソルの下に座り込む。俺はあの日永一さんのカフェへ行った時から気になっていた事がある。それは南乃と話した事でもあるが......って、え?
「......だめ?」
乃愛ちゃんが俺のあぐら(脚)の上に座りだした。
「あ、いや......だめ、ではないけど」
「ほっほっほ! 本当に気に入られましたなあ、四季くん。 乃愛は人見知りが酷いのにここまで懐くとは」
「え、そうなんすか?」
「......なんだか、四季くんは......ずっと友達だった感じがする。 なんでだろう」
「あー、でも俺も乃愛ちゃんとは喋りやすいかも? 俺も人見知りなんだけどな」
「え、そうなの......? じゃあ......おそろい。 ふふっ」
ああああああああああAAAAAAAAAAAA!!!!!!かわええええええええええええEEEEEEEEE!!!!!
やべえよ!これはやべえ!!!マジで天使だろ!!!なんか遠くで「このロリコン!!」って聞こえた気がするが気のせいだ!!!俺はこの天使を全力で楽しませる!
「ば、ばか四季ぃいいいーーー!!! あひゃひゃ」
「オラオラオラオラオラオラ!!!!!」
「も、もう良いよ!! 気にしてないから! 日夏ちゃん!!!」
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